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拉麺ポテチ都知事34「マスクを外せ、とケンドリックは言った」

先週HEAVENESEの豊洲公演が終了した。来場された方々全員に感謝。残念ながら「マスク着用していない観客が多い、それを注意しなかった」という理由で豊洲Pitからは出禁となってしまったが(事前に着用協力のお願いはしていた)、とはいえ楽しく健全に息苦しい世の中で声を上げていくしかない。

さて久々の更新となってしまった。さらに5月14日に35歳になった。「自分がアラフォーってマジか」と驚きつつも、お陰様で何とかサヴァイヴできている。そして誕生日前日にリリースされたケンドリック・ラマー『Mr. Morale & The Big Steppers』が個人的にはバースデイプレゼントだった。

正直、正確に批評するほどアルバム全体を聴き込めていないが、ネットの批評や池城美菜子氏の解説なども読みつつ、私と同年齢の彼が表現したかったことの片鱗は感じとれたと思う。

Twitterにも書いたが、例えば医療用マスクを指す楽曲「N95」は冒頭からポリティカリーコレクトに挑んでいる。この曲の解釈に関しては日本語だと誤訳(池城氏は的確)が多く、まともな解説がほとんどない。この機会に少し触れたいと思う。

冒頭は以下だ。

“Hello, new world, all the boys and girls
I got some true stories to tell
You're back outside, but they still lied”

いきなり“boys and girls”がジェンダーフリーの観点からキャンセル対象である。コレクトするためには“Everyone”などに言い換えなくてはならないが、これについては楽曲の終盤に「まじでクソなのは、キャンセルカルチャーだ(What the fuck is cancel culture)」という節があるので、敢えてやっているのかもしれない。

そして問題は“lied”。現在形“Lie”は「横たわる」/「嘘を付く」の両義を持つが、大概の日本語訳はここを「彼らはまだ横たわっていた」とする。そこから「Covidの感染者を連想させる」という趣の解釈に持ち込むのだが、もし「横たわる」だとすれば過去形は“lay”であるはずだ。だから“lied”は「嘘を付いている」とする必要がある。

とすれば、こんな意味になるだろう。

“やあ、新たな世界、少年少女の諸君。本当のことを教えてあげるよ。みんな外に出れる様になったけど、奴らはまだ嘘をついていたんだ”(小池訳)

「奴ら」が誰を指すのかは特に考察しないが、この部分から察するにケンドリックはロックダウンについて懐疑があると考えられる。とすれば、今ネットに流布している多くの日本語訳は全くのミスリードだ。彼らが単純にミスを犯しただけなのか、それとも陰謀論じみていると早々にジャッジしてしまったのかは定かではないが、彼がそう歌っているのは確かである。

また執拗に繰り返される“take off(外せ)“。ケンドリックは34回(当散文の連載回数と一致)も嘘や虚栄、偽善、偽りのwokeなどを外せ(捨てろ)と訴えているが、これらすべてがマスクのメタファーだ。散見される「タイトルに反し、歌詞内にはマスクについての言及がない」という解説はそれを見落としている。この曲でラップされているのは「すべてのフェイク(=N95)を外せ」ということなのだから。

さらに深読みすれば「マスクそれ自体がフェイク」とケンドリックが考えている可能性すらある。着用するかしないかが既に政治的な意味合いを持つし、科学的に考えれば効果が疑わしいことを否定するのも難しい。私に関してもまったくの無意味とまでは言わないが、万能ではないし、風邪をひいていない限りは付けない。

なおMVが2020年後半に撮影されていたことから、この曲はその頃には完成していたと考えられる。つまり、その頃から彼はこのメッセージを準備していたのだろう。

無症状PCR陽性者なども含まれる「感染者」が減っていないのにも関わらず、日本政府は新型コロナ対策の基本的対処方針を変更。屋外では周りの人と距離がとれる場合や距離がとれなくても会話をほとんど行わない場合には着用の必要はないという。

<ならば今までのマスク着用の実質義務化は一体なんだったのか?>という大いなる疑問はさておき、ケンドリックも外せと言っていることだし、そろそろ日本も普通に素顔で歩けるようになってほしいものだなあ。

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