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ホテルと自由なナイトカルチャー

全国各地での緊急事態宣言が解除され、少しずつ日常が戻りつつあるように見えます。

HOTEL SHE, KYOTOも6月より再スタートを切りますが、夏の京都を彩る数々のナイトイベントは中止を余儀なくされ、祇園祭りや五山の送り火、鴨川の納涼床もいつ始まるのか未定な状態です。

海外からのお客さまが当面戻ってこないことが確定している中で、国内旅行需要がもし増えたとしても、そこで京都が選ばれる理由は残念ながらほとんどありません。

そもそもこれまでホテル産業は、その地の歴史的・文化的な観光資源との共依存関係で成り立っていました。そんなベースラインさえここ数年は破壊され、ホテル独自が『旅の目的地』になることが求められています。


ビルの上に舟をつくったホテル

マリーナ・ベイサンズは、日本とは異なるアプローチで観光大国になったシンガポールの、まさに象徴的な存在です。

50年しか歴史がなく、マレーシアから急に独立させられたその国は、日本のような歴史的・文化的な観光資源はほとんどありません。だからこそ、ビルの上にバカでかいプールを乗っけて、ホテル前のラグーンではディズニー顔負けのショーが行われ、裏庭に未来都市のような植物園が作られました。

もはやシンガポールという”国”に行ってるのではなく、マリーナ・ベイサンズが旅の目的地となり、旅程を組んでいる人がほとんどだと思います。


夜更かしできる国

もちろん、急にホテルの上に舟を浮かべるのは無理な話ですが、ふと思うと魅力的な観光地のほとんどは、ナイトカルチャーが盛んな都市であることに気がつきます。

シンガポール以外にも、台湾やバンコク、上海など、そこでの旅の思い出は魅惑的な夜の情景が浮かびます。せっかく旅にきてるんだから夜まで楽しみたいという気持ちもありますし、きっと動物的本能として夜の方が人間はテンションが上がるのです。

マリーナ・ベイサンズは夜をメインに楽しんでもらえるように設計されていて、面倒なチェックイン・チェックアウトは客室で一瞬で済ませられますし、ナイトプールやショーの他にも、カジノやバー、植物園はなぜか深夜2時まで営業しています。


ホテルと自由なナイトカルチャー

もともと日本はナイトカルチャーの選択肢が他国に比べて少ない気がしますが、今年はより一層夜の街が閑散としそうな雰囲気です。

もちろん観光で日中は楽しんで、夜はホテルでゆっくり...もいいのですが、年内はホテルの中で過ごすお籠り旅が増えるはずので、であればホテル自体がナイトカルチャーの発信地となるような努力をして、コロナ収束後も長期的に価値が残るような取り組みをした方がお得だと考えています。

ホテルは終電やタクシーに乗ることなく寝室に戻ることができます。至極当然な話ですが、プライベートスペースとパブリックスペースが共存する空間はホテル以外にはほぼ存在しておらず、時間の概念を超越してコンテンツを提供できる唯一の箱と言えます。

街では時間が制約となり、自宅では友人との物理的な距離が制約となって、未だ生まれていなかった『夜だからこそ映える体験』というのが実は山のようにあるのではないか、と思っています。

固定された椅子に永遠と座り続けないといけない居酒屋や、爆音流れるナイトクラブではなく、ホテルだからこそ提供できる、自由で柔らかいナイトカルチャー。0時過ぎてから始まる体験って、なんだかとてもロマンチックに思えます。




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