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そもそもイマーシブシアターってなに?

こんにちは、HOTEL SHE, KYOTOの花岡です。泊まれる演劇というホテルを舞台にしたイマーシブシアター のプロジェクトで企画・プロデュースを務めています。

先日関西の劇団や演劇関係の方が多く集まる場所に行ってきました。
そこで「今度うちのホテルでイマーシブシアター やるんですよ!」って話をしたんですが、ほぼ全員から???という顔をされ、思った以上にイマーシブシアターという概念が浸透していないんだな...と実感しました。

そこで今日は ”そもそもイマーシブシアター ってなによ?” という話をしようと思います。


イマーシブシアターってなに?

まずイマーシブ(immersive)自体の意味をGoogle検索で調べると

イマーシブ(immersive)とは「没入型の」の訳あり、仮想空間でありながらあたかも物理空間に入り込んだ印象を与えることを意味する。

と出てきます。イマーシブシアター を直訳すると『没入型劇場』や『没入型演劇』となります。

そして泊まれる演劇の公式サイトではイマーシブシアター について、

イマーシブ・シアターとは、2000年代にロンドンから始まった“体験型演劇作品“の総称。旧来の「観客が客席に座り、舞台上の演者を鑑賞する」という構図を打破し、新たな作品と観客の関係性を作り出す公演となっています。

と紹介しています。

つまり何が ”イマーシブ(immersive)=没入型” なのかですが、固定された座席や舞台はなく、お客さんが建物内を自由に回遊しながら鑑賞する、このスタイルが一般的な演劇と大きく異なる点となります。


さらなる没入度を追求したイマーシブシアターの名作『Sleep No More(スリープ・ノーモア)

では立体空間で演劇すればイマーシブシアターなのか?と言うと、個人的には違う考えています。イマーシブシアターの革新性は『作品と観客の新たな関係性を作り出す』という点にあるためです。

例えば米NYのオフ・ブロードウェイでロングラン上演されている作品『Sleep No More』では、座席がないだけではなく、観客を一演者として捉えた演出で構成されており、まるで映画の登場人物となったような感覚を味わうことができます。

▼Sleep No Moreのプロモーションムービー

この感覚を生み出すための構成要素は「観客に(登場人物としての)設定がある」「役者が観客を認識しコミュニケーションをとってくる」「舞台美術を触ったり食べたりすることができる」など様々ですが、どれも既存の演劇の枠組みでは測れない演出ばかりです。

つまり舞台と客席、フィクションとノンフィクション、役者と観客などあらゆる境界が曖昧でシームレスに繋がっている、その心地よさこそがイマーシブシアターを鑑賞した時の感動の源なのです。

(上海でも上演されている同作『Sleep No More』の鑑賞レポート。一部ネタバレがありますのでご注意ください。)


日本国内でのイマーシブシアター

日本国内では公演場所が立体空間である、という実現ハードルの高さからイマーシブシアターの公演事例自体がほとんどありません。

最も有名なものはユニバーサルスタジオジャパンのハロウィン期限定のアトラクション『HOTEL ALBERT(Ⅰ〜Ⅱ)』でしょう。呪われた高級ホテルの宿泊者と言う設定で、館内を彷徨いながらあらゆるホラー体験をしていくというものです。(これだけ聞くとお化け屋敷のように思えますが、ホラー演出重視のお化け屋敷とは異なり、重厚なストーリーが楽しめる心理ホラーアトラクションです。)

アルバート

『立体空間を使った物語体験』と言う意味では、(少し誤解が生まれそうな気もしますが)大晦日の「ガキ使24時」はダウンタウン視点ではイマーシブだろうし、「キス我慢選手権」も劇団ひとり視点ではイマーシブかもしれないですね。

いずれにしても鑑賞者個人に濃厚な没入体験を与えるには、体験人数を絞った上でさらに世界観を具現化する資本力が必要。ニューヨークやロンドンとは異なり、演劇コンテンツ自体がビジネスとして成熟しずらい土壌だと必然的に実現ハードルは高まってしまいます。


ホテルとイマーシブシアターの親和性

ホテルではシンプルな宿泊機能だけでなく、いつもよりも少しだけドレスアップして一夜をお過ごし頂くなど、非日常体験を提供できる空間だと考えています。もちろんカフェやレストランでも提供は可能ですが、滞在時間の長さや衣食住に紐づいたサービスなど、ホテルほど総合的にお客様の身の回りを彩ることのできる場所はありません。

そう考えると、濃度の高い世界観/演出を求めるイマーシブシアターと、非日常性を備えたホテルはとても親和性が高いのでは、と思うのです。


【宣伝】 ホテルを舞台にしたイマーシブシアターを上演しています。

京都・大阪で上演している泊まれる演劇は、世界でも類を見ない宿泊型イマーシブシアターの作品です。実際のホテル内を自由に歩き回ったり、観客にも役割が与えられることで、まるで物語の世界に入り込んだような没入体験をお楽しみいただけます。「物語体験」はチェックインと同時にスタートし、あらかじめ決められた開演・閉演時間は存在しません。

必ずや幻想的な一夜をお見せいたしますので、是非遊びに(泊まりに)来てください。


泊まれる演劇 公式WEBサイトはこちら
泊まれる演劇では多様なイマーシブシアター作品を継続的に上演しています。

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