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UVERworld KING'S PARADE 男祭り REBORN at NISSAN STADIUM 6 vs 72000


UVERworldは女性ファンに支持されているバンドで、
男性ファンはほとんどいない。
そんな世間の評価をひっくり返す。
その反骨精神から彼らの「男祭り」は始まった。
スタートは700人キャパのライブハウス。
そこから徐々に動員数を伸ばし、
2013年には日本武道館、翌年に横浜アリーナと徐々に規模を広げ、
遂には2019年に東京ドームで「男祭り」を開催。
無事にチケットをソールドさせ45,000人の男性CREWを動員し、
この「祭り」の歴史は幕を閉じた。

そして、約4年の歳月を経て、文字通りの再誕を果たし、
日産スタジアムで72,000人の男祭りを開催。
チケットはソールドした。

昨日とは打って変わり、会場を埋め尽くすのは男、男、男。
とにかく赤い服を着た男どもしかいない。
正確に言えば、バックステージ側に
無料招待枠のラッキーガールと呼ばれる女性CREWが
招かれているが、それを含めてもとにかく野太い雄たけびが各所から響く。

場所がスタジアムなので、
ある意味それは由緒正しい光景なのかもしれないが、
雰囲気が昨日とはまったく違い、
すぐにでもカチコミに行くぞと言わんばかりに
血の気の多い野郎どもの声があちこちから聞こえてくるのだから
非常に治安が悪い。

昨日と同じくDJ誠果のコーナーが終了すると、
日産公演開催のムービー、
過去のライブ映像が流れ、モニターには「15」の数字が映し出される。
秒読みが始まり、カウントが「0」になると上昇したステージから
メンバーが姿を現す。

昨日の祝福ムードとは一変し、
"ENIGMASIS"から"Don't Think.Feel"へとなだれ込む。
1曲目は東京ドームと同じだ。
開始早々にシャウトを連発し、サビでは「歌えぇ!」と
会場を煽りまくるTAKUYA∞。
勢いをそのままに"ナノ・セカンド""7th Trigger"と
昨日と同じナンバーを立て続けにお見舞いする。

「今日はもう、うまくやろうとか丁寧さとかないからな!!死ぬ気で来いよお前ら!!」
72,000人の野郎どもに啖呵を切るとそのまま"Fight For Liberty"を披露。
クラップが起こったかと思えばすぐさま大合唱。
この日はとにかくどの曲でも合唱が目立つ。
ライブで観客が曲を歌うのはナンセンスだという問題は、
どのアーティストでも起こりえるテーマだが、
こと「男祭り」に関して言えばこの問題は杞憂だ。
なぜなら、基本的に奴らはその場に「勝負」しに来ているのであって、
「曲を聴きに来ている」わけではないからだ
(この辺りは文字通り「考えるな、感じろ」精神で汲み取ってほしい)

UVERの曲は基本的にキーが高く、
男性では歌いづらい楽曲が多いがそれももはや関係ない。
声が裏返ろうがしゃがれようがとにかく歌うし叫ぶ。

「一番アガれるヤツ誰だって聞いてんだよ!テメェか!?おいテメェか!?全力でかかってこい!!」
もはや途切れることをしらない
TAKUYA∞のボルテージをそのままに"KINJITO"へと移り
「ここでは地位や名誉なんてクソほど役にも立たねぇ。一番価値があるのは俺の声だ!スペシャルゲスト!ANARCHY!!」

勢いを殺さずにそのままコラボ曲へ突入し、
ヒップホップ界のキング・ANARCHYがステージに登場。
あいさつ代わりにシャウトをかますとそのままラップの掛け合いに入る。
CD音源以上に野太い声で会場を煽りリリックを紡ぐ姿は、
ヒップホップ界のキングと呼ばれるにふさわしい立ち振る舞いだ。
なぜリュックサックを背負いながら歌っているのか疑問に思ったが、
調べてみるとヒップホップ界では自分の荷物を盗難防止で
常に身に着けてステージに立つという文化があるらしい。
自分のスタイルを表現したうえで、UVERのステージに立ち
圧倒的な存在感を放つその姿に、賛辞の雄たけびをもって男どもが応える。
昨日のSHUNTOと同じく「楽しめよ!」とシンプルに挨拶を述べるとANARCHYはステージを後にした。

ここでTAKUYA∞は一度ステージを去り、真太郎がマイクを手にする。
「男ども楽しんでますか!?んじゃお前ら脱げや!」
言うと早々に真太郎は着ていたシャツを脱ぎ捨て、
ボクサーかと見間違えるような引き締まった肉体を晒す。
「お前らが恥ずかしがってどうすんねん(笑)この後も長いんだから全然脱いでええで!」
その言葉にいそいそと服を脱ぎ始める男子CREWたち(笑)。
信人はすでに感無量らしく
「今すぐ楽器置いてそっち(観客席)行きたいわ!」と心情を吐き出す。
「やめろ!演奏せい!(笑)」ともちろん止められていたが。
TAKUYA∞はステージに戻ると
「え、何お前ら脱いでんの?気持ち悪っ!」と至極当然の反応。
昨日は1曲目に披露された"VICTOSPIN"から中盤ブロックがスタート。
TAKUYA∞は昨日と同じく、真太郎のドラムを聴きながら
「ご機嫌なんだからこんなのいらねぇだろ!」と
例によってアクリル板を取っ払ってしまう。
セットを破壊するなと爆笑する男どもをよそに、
きっちりマイクスタンドだけを設置し直す
スタッフに思わずサムズアップを送ったのは僕だけだろうか。

「誰もお前のことなんか見ちゃいねぇよ!声出せるんなら全力で歌え!歌えないなら心の中で歌え!」

まるで某リベンジャーズのヒヨってるやついる?いねぇよな!と
言わんばかりの啖呵を切ると
"WE ARE GO"へと移り、再び合唱がスタジアムに鳴り響く。
「そっち行くからな!」
昨日と同じくトロッコで移動しながら披露された最初の曲は、
自分が聴きたかった"Wizard CLUB"だ。
あまりの興奮具合に、気づけば服を脱いで
上半身裸状態になってしまうくらいに
この曲は聴きたかったのでめちゃくちゃ嬉しかった。
続けざまに"激動"がお見舞いされ
アニメからUVERにハマった男性CREWたちが歓声を上げる。
これは持論なのだが、おそらく初期の頃からリアルタイムで
UVERを応援している男性CREWは、
ほぼ確実にアニメ作品が好きな人が多いハズなのだ。
理由としては、当時のソニーの方針ももちろんあるだろうが、
シングル曲にアニメタイアップが付くことが多かったことがあげられる。
デビューシングルの"D-tecnoLife"はBLEACHのOPだったし、
"激動"はD.Gray-manのOPだ。
小学校から中学時代に観ていたアニメ作品の楽曲をUVERが手がけていれば、
その流れでアルバムを聴くようになっても不思議ではない。
自分は完全にこの流れでUVERを知り、アルバムを聴くようになったが、
当時のファン層などは全く気にしていなかったので、
初東京ドーム公演の男女比率が極端に傾いていたことは
だいぶ後になって知った。
図らずも初期から応援している男性CREWの中には、
同じようなアニソン好きもきっと多いはずだ。

バックステージに移動しながらも、目が合ったCREWの反応を見るや
「お前最後までそのテンションじゃなかったらブッコロスからな!」と
鬼気迫る激を飛ばす。バリバリ戦闘モードだ。

その後は昨日同じく"RANGE"が披露されると、
今度は連番していたフォロワーが聴きたがっていた
"BABY BORN & GO"が披露され、立て続けに"REVERSI"と
懐かしいナンバーが続く。
バックステージのラッキーガールたちに手を振ると、
音が遅れて聴こえる状況を気遣う。
「周り男ばっかだよ。気持ち悪いね?(笑)怖くなったらスタッフ呼んでね」とやさしさをにじませると、
一転して野郎どもに向かって
「おいお前ら。俺らのアンセムだぞ!"23ワード"」と楽曲を宣言。
「Who we are」の合唱が日産スタジアムを包み込む。

「俺足のサイズが左右で若干違うんだよ。んで、片方の靴だけ穴開けて、足の指が出るようにしてるんだけど、この前それをファンストで話したら『見せて!』っていう反応が多くて。でもただ足の指が出てるだけだから見せたくないなと思いながら、せっかくだから見せたら・・・『最悪』『もう二度と見せないで』って。ふざけんじゃないよ!(笑)お前らが見たいっていうから見せたのによ。本当に甘くて苦い子たちだぜ。"ビタースウィート"!」

楽曲がスタートするが、演出かトラブルかが遠くてわからなかったのだが、
前半の演奏が一切聴こえなくなってしまう。
TAKUYA∞の声だけがアカペラ状態で響き、
徐々に手拍子が聴こえるようになった—と思ったら
再び楽器隊の音が鳴り始めた。
おそらくトラブルだったのだろう。
しかしわずか数十秒で持ち直してしまう
対応力に改めてこのバンドの柔軟性を思い知る。

ここから後半戦がスタート。
昨日と同じく"Massive"を演奏しながらメインステージに
メンバーが戻るとTAKUYA∞も合流。
「俺たちが感じたものがかっこいい。それでいいんだよ。周りの評価なんか気にするな!愛笑む!山田孝之!」
本日2曲目となるコラボ曲でゲストの愛笑むと山田孝之が登場。
愛笑むは軽快にステージに繰り出すが、たいして山田孝之は
「私はなぜここに?」とでも言いたげな、
何とも言えない表情で終始棒立ち。
というかこの人、ゲストで来るたびずっと棒立ちで無表情なのである。
しかし歌う場面はきっちり決めてしまうところが面白い。
「集まってくれたお前たちに愛されるだけで十分だけど、きっともっと多くの人たちに愛されちゃうんだろうな」
"One stroke for freedom"では歌詞の一部を日産ならではの
フレーズに変え、この瞬間の喜びを分かち合う。

日も沈みかけ、空色もだいぶ暗くなってきたところで、
いよいよ祭りは終盤へと近づく。
「考えるな。歌え」と曲のテーマを宣言し披露された
"Don't Think.Sing"を皮切りに一気に会場はボルテージを上げる。

「毎日10Km走ることが偉いわけじゃない。今日ミーグリで話した人は、足が義足だった。車椅子で会場に来てる人がいることも知ってる。大事なのは実際に走っているかじゃない。心が動いているかどうかなんだ」

不思議と、強い言葉ではなく、
語るように紡がれたMCからつながった"PRAYING RUN"。
盲目的に真似事で10Km走り始めることが正しいわけではない
(もちろんランを完走できるのならそれは十分にすごいことだが)。
大事なのは、それくらいの想いをもって心を動かせているかどうか。
身体的にではなく、精神的に情熱を持っているかどうかだ。
そんなことを気づかせてくれたこの曲は、
何度聴いても心に突き刺さってくる。

「予告ホームランぶちかまそうか、日産!」
TAKUYA∞のインスタで事前に予告していた、"Touch off"のことだ。
「昨日のライブ以上の一体感を創ろうぜ」と
ストーリーで彼は男どもに呼びかけていた。
その予告に応えるかの如く、ステージから湧き上がる火柱に
負けじと「FIRE」コールを全力で返す。
そのまま熱量はさらに増し、"零HERE ~SE~"から"IMPACT"へなだれ込む。

「この数年、1日2回ライブやってたりしたら、もう俺喉が無敵になっちまったんだよ。だから今日は喉の寿命全部くれてやるよ。だからお前らも死ぬ気でかかって来いよ!どっちが先に倒れるか、本気のぶつかり合いしようぜ兄弟!」

正直、この時の"IMPACT"はあまりにも熱量が高すぎて、
記憶が少し抜けてしまっている。
覚えているのは、昨日以上に飛び跳ねたことと、
喉の限界を超えた状態で叫びまくったことだけだ。

「俺はまだ倒れてねえぞ!ライブが出来なくなったら配信したし、半分しか客が入れられないなら1日2回ライブをした。とにかく止まらずに進み続けた。そしたらこんな強靭な身体になっちまったんだよ。その中でいろいろ考えたよ。あの東京ドームの光景がもう一度観たいな。けど最後って言ったし、何か理由がないともう一回やるって言えないし・・・とか。でも、それを考えるのがダサいなって気づいた。だからインタビューで答えたんだよ。『なぜもう一度男祭りをやることにしたのか』って聴かれたときに『理由はないです。俺がやりたくなったから』だって!一々理由付けしてる方がダサいんだよ。伝えたいことは今日、伝えるんだ」

今度言おう。今度やろう。その遠慮で、
永遠に会う機会やチャンスが奪われてしまう。
この数年でそれを体感した人も多いハズだ。
だからこそ。
生き物である以上明日が来る保障なんてどこにもないからこそ、
このバンドは一回一回のライブを全力で挑むんだろう。
"EN"の一つ一つのメッセージが昨日以上に強く心に響き、
僕らも合唱で応える。
途中、TAKUYA∞はステージに転がり、
合唱を聴き入っているように感じる瞬間もあった。
何事もなく立ち上がったので身体的な不調ではないだろう。
もしかしたら、男CREWがTAKUYA∞を倒した瞬間だったのかも知れない。

「この数年でファンと話す機会が増えて、いろんな奴に会ったよ。俺に鍼を打ちたいって言った整体師、カメラマン、インタビュアー、さっきの義足のヤツからは、『TAKUYA∞さん、義足送りますね!』って笑顔で言われた。
ハンデをポジティブに変えてるんだよ。凄いよな。もう、このバンドは俺らだけのものじゃないんだ。このバンドはあなたの人生でもあった。"THEORY"!」

昨日と同じく、ラスサビでは何本もの花火が上がり楽曲を派手に演出する。
この辺りから月も出始めて、
ちょうどステージの真上に差し掛かろうとしていた。
「俺たちはみんな、このバンドじゃなかったら輝いてたわけじゃない。
みんな輝ける場所にいるからこそ、大きな光を放つことができるんだと思う。俺たちは流星群からはぐれたちっぽけな彗星なんだよ。だれも夜空を見上げなくなったころ、ぽつんと流れるような。そんな俺たちを見つけてくれたのはみんなだ。今日はありがとう。みんなも、それぞれ輝ける場所がある。その場所を見つけられることを祈ってる」

ステージの上に昇る月も僕らを見守ってくれているような気がした
"AFTER LIFE"。
すでに戦いは終わり、健闘をたたえ合う時間が訪れていた。
克哉が両手を広げて音楽を浴びている姿が目に映る。
その姿は、きっとギターを弾き始めた当時の少年の姿と
リンクしていただろう。

「間違いなく今日、やり切ったと実感できるよ。もしこの男祭りを機に、UVERworldのファンやめたいってやつがいたら、構わないよ。でも、お前がUVERworldの何の曲が好きだったかだけ、教えてくれよ。そしたら、それ以上の楽曲作ってまたお前を迎えに行くからよ!」
正真正銘のラストを飾った"MONDO PIECE"。
昨日とは違い、隣同士の男と肩を組み、大団円で幕を閉じる。
TAKUYA∞はマイクを終始観客席に向け、
イヤモニを外して合唱を聴いていた。
ある種のお約束とも言えるこの光景だが、
その一言では表せられないカタルシスを誰もが感じていたハズだ。
ときおり会場を見渡すと、横に揺れながら
笑顔で合唱するみんなの姿が視界いっぱいに広がる。
本当にここにはUVERが好きな男CREWしかいない。
そんな当たり前の事実をかみしめた。

「ありがとうございました。今日感じた情熱は、この日産スタジアムの扉の向こうに持って行ってくれ。今日だけで終わらせるんじゃないだ。また、お互いかっこいい生き方を貫いてまた会いましょう。新しい時代に足跡つける。俺たちがチームUVERworld!よろしくどうぞ!!」

盛大なかき回しの末、真太郎がドラムを刻み、歴史的時間は幕を下ろした。
お祭りの最後をたたえ合うように抱き合う男CREWたちの前に、
TAKUYA∞は
「あ、そうだ。インスタライブするんだ。この後発表があるんだよ!」
とスクリーンを指さす。
予想はしていたが、やはり秋から始まるツアー告知だ。
最新アルバム「ENIGMASIS」を主体としたツアー、そして、
満を持して始まる女祭りツアーの詳細だ。
バックステージのラッキーガールたちからも嬉しい歓声が上がる。

「昨日今日と、本当に日本全国いろんなところからみなさん集まってくれて、ありがとうございます。今度は僕たちが、みなさんの街へ遊びに行くので、また会いましょう!」

真太郎の声にみんなが笑顔で応える。
TAKUYA∞曰く、今回の男祭りで動員できた正確な人数は
70,000人ということらしい。
初手目標の72,000人にはわずかに届かなかったようだ。
しかし、それでも事実上70,000人の男性を動員できたのは事実。
これだけでも誇るべき快挙だ。

「またやろう!」と笑顔で感謝を述べ、
TAKUYA∞を始めとしたメンバーはステージを後にした・・・と思ったら、
彰が一人ステージに残っている。
昨日は違い、彰だけで記念撮影を行い、70,000人の男が各々手を掲げる。
まぁ、写真を観たところであの密度の中から
自身を見つけることは不可能なのだが。

「今日はありがとうございました。また会いましょう!」と
シンプルに締めの言葉を述べると、彰もステージを去る。
残されたのは今日の健闘をたたえ合った70,000人の勇者と、
それを見守ったラッキーガール。
そして、ステージのはるか後方から僕らを見下ろす月だった。

10年先、20年だって一緒にいたい そう願ってしまう
このバンドは、やっぱり唯一無二だ。

【セットリスト】
0:ENIGMASIS
1:Don't Think.Feel
2:ナノ・セカンド
3:7th Trigger
4:Fight For Liberty
5:KINJITO
6:FINALIST
7:VICTOSPIN
8:WE ARE GO
9:Wizard CLUB
10:激動
11:RANGE
12:BABY BORN & GO
13:REVERSI
14:23ワード
15:ビタースウィート
16:Massive
17:来鳥江
18:One stroke for freedom
19:Don't Think.Sing
20:PRAYING RUN
21:Touch off
22:零HERE ~SE~
23:IMPACT
24:EN
25:THEORY
26:AFTER LIFE
27:MONDO PIECE
END:LONE WOLF

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