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UVERworld premium THE LIVE at NISSAN STADIUM

UVERworld史上初となる72,000人動員の野外スタジアム公演。
去年の12月に告知が解禁され、開催が近づくにつれて
数多くのミュージシャンや芸人、タレントまでもが
応援メッセージを発信し、いかにこのバンドが多くの人たちに
愛されているかを実感したが、
その真髄はやはり当日になって思い知らされた。

自分の座席はステージ下手側のスタンド席。
花道もほど近く、ステージ全体を俯瞰して観れるので
見栄え的には全く問題なし。
開演時間までの西日が多少きつかったので冷感シートや
日焼け止めを使用して暑さをしのいだ。

開演時間の17時を少し過ぎた頃、
アリーナの最後尾—バックステージ側で歓声が上がる。
観てみると誠果(Sax,Manipulator)がステージ現れ、
会場のBGMに合わせてサックスを披露し始めた。
BGMもよく聴いてみると「ゼルダの伝説」だったり、
Queenの「We Will Rock You」だったり
馴染み深いものが多い。DJ誠果の選曲だ。
個人的には「We Will Rock You」を聴いたときには
(アニサマの開演前みたいだな)と思って笑ってしまった。
DJに合わせてカメラが何人かの観客の姿を捉えると、
彼らは見事なダンスを披露して会場を沸かせる。
中には警備スタッフの姿も混ざっていたのは気のせいだろうか。
観客のダンスパフォーマンスが終わり、
UVERの楽曲から数曲がDJとして披露されると、
誠果は拍手の中颯爽とバックステージを後にする。

ステージ左右に設置された大型モニターに
本公演が告知された時の映像が流れ、2019年の東京ドーム公演、
翌年に行った配信ライブや制限を設けた上で行われた
有観客ライブの映像が流れる。
2020年から世界は確実に変わってしまったが、
それでもこのバンドは止まることなく進み続けてきたんだと
改めて映像を観て実感した。
映像は暗転し、「15」の数字が徐々に「0」に近づく。
おのずと秒読みが始まり、「0」になったと同時に歓声が沸き上がる。
最新アルバムからSEの"ENIGMASIS"が流れると同時に
ステージを覆うように設置された横長のモニターが徐々に上昇し、
遂にステージの全貌があらわになる—と思ったら、
どうやらそのステージ自体も一緒に上昇している。
スタンドの2階席と同じくらいの高さ(約5メートルほどだろうか)まで
ステージが上昇すると、スモークとともに真太郎(Dr.)の
ドラミングが一気に炸裂する。
会場の広さゆえ、歓声が時間を置いて左右から聴こえるのを
感じながらその光景を眺めていると、
"VICTOSPIN"のコーラスが流れ、
いよいよ日産スタジアム公演初日が幕を開けた。

新曲にも関わらず、CREW(ファンの名称)は完璧にコール&レスポンスを
熟知しており、一曲目で完全に会場を掌握してしまっている。
ステージで演奏する6人の周りをドローンが飛び回り、
その映像がモニターに反映されるが、一緒に歌詞が映し出される光景も
UVERではお馴染みの構成だ。
サビの合唱を72,000人で歌う光景は確かに圧巻であるが、
あまりの規模間に観客席ですら音が遅れて聴こえるレベルだ。
この状況下の中でも一切音がずれることなく演奏できるスキルが
純粋にすごいと思ったし(もちろんプロなので当たり前ではあるけど)
どの楽器の音もちゃんと聴こえるように調整されているところにも、
このバンドの精密さを感じた。
楽器隊の数や、同期の音が多ければ
それだけ各音量のバランス調整が難しくなる。
どの音も大きければ良いというわけではもちろんない。
素人なので大きいことは言えないが、全楽器、
そしてボーカルの音がCD音源と同じレベルで、
しかも大規模な野外スタジアムで聴けるという環境は、
並大抵の技量では成し遂げられないだろう。

「始めようぜ日産!」
TAKUYA∞が空に大きく右手を掲げると、
誠果のサックスが鳴り響き"ナノ・セカンド"へとなだれ込む。
72,000人が拳を突き上げ、曲に合わせてジャンプすれば、
当然会場も大きく揺れ動く。
かつて京セラドームをジャンプで揺らしまくって
出禁になってしまった過去を持つバンドだが、
果たして日産ではジャンプの制限ってあっただろうか?と
思わず心配になるレベルで大いに揺れまくったかと思うと、
そのまま"7th Trigger"へと移り休ませる暇を一切与えない。
合唱、ジャンプと続き今度はクラップで曲に応えるが、
その光景は大きな海原のようにも観える。
TAKUYA∞の口笛も心地よく響き、青空が広がる光景とマッチしていた。

「無謀と言われた夢になんども飛び込んだ俺たち6人のPRIDEを見せてやる!!」

2011年にリリースされた、アニメ「青の祓魔師」OP"CORE PRIDE"だ。
この曲を聴くと、当時高校生だった時の自分を思い出す。
このバンドほど大きな夢を持っていたかと言われると全く自信はないが、
高校生最後の部活の公演で絶対になにがしかの記録を残したいと思い、
夏休みに通し稽古に明け暮れた日々を思い出して、
不思議とエモさを感じてしまう。
どの楽曲にも、一人ひとりのドラマがある。

「俺たちのギターヒーロー!彰!!」

TAKUYA∞が指をさすと、
彰(gt.)のギターから美しいアルペジオが鳴り響く。
何度聞いてもこのギターには酔いしれてしまうし、
彰がいるからこそこのバンドは輝ける、と
雑誌でTAKUYA∞が語った意味が分かる気がする。

「まだまだ消えるな 心の火を
まだ忘れたくない 胸の熱さを
まだまだ消えるな 心の火を
まだまだ行けるぞ 行けるぞ」

順風満帆にヒットセールスを記録している
アーティストが書いた歌詞なら、
熱いメッセージとしてしか受け入れることはできないだろう。
しかし、常に挑戦を続け、無謀な夢や野望を追い続け踏破してきた
彼らだからこそ、このメッセージは響く。
ただの「熱い言葉」と捉えるか、それ以上の何かを感じられるか。
少なくとも日産スタジアムにいた72,000人には、
言葉以上の想いが届いていたはずだ。

UVERは確かにライブシーンではフェス、ワンマンを含め
確立した世界を持っているし、十分に評価されているバンドだが、
果たして一般の認知度はそれに比例しているかと言われると、
シビアだが決してそれはイコールではないだろう。
世間的に「バズってる」曲は少ないだろうし、
名前は知ってるけど曲は聴いたことない、と答える人が多いと思う。
あるいは、昔ドラマの曲で聴いてたけど
最近はテレビに出ないので知らない。と答える人もいるかもしれない。
一般層に受け入れられるには、テレビの出演は今でもほぼマストだ。
いかにSNSで曲がバスっても、明確なメディア発信源としても
テレビの影響力は大きい(放送されているテレビ番組の歴史も関係しているかもしれない)。
基本的に彼らはテレビに出ることを活動の軸にはしていないし、
出る時期もアルバムがリリースされるタイミングなど、
要所要所に限られる。
今年は来るこの日産スタジアムに向けて、
いくつかの大きなテレビ番組に出演したが、
アイドルや他J-POPアーティストと比べれば出演数は少ないだろう。
にも拘わらず、この二日間の公演は両日ともにソールドした。
しかも、二日目は男祭り。文字通りの男子限定公演だ。

「UVERworldが日産スタジアム2Day埋まるわけがない。二日目は男限定?無理無理!」

「成功した途端に手のひらを反す者どもに告ぐ。俺たちが"NO. 1"」
だからこそ、この歌が強く響き渡る。
かつて初東京ドーム公演1曲目のために作られ、
その後幾多の夢の実現の度に無謀を踏破した証明として歌われた、
ある種の賛歌ともいえる楽曲だ。

人差し指を空に高く掲げると、TAKUAYA∞は
「ここでこのライブのピークを創るぞ!」とすでに
終盤ともいえるMCを披露。
世界の中心は此処日産スタジアムにある。
72,000人の、間違いなくこの日が過去最大ボリュームで歌われた
"IMPACT"が炸裂する。
コロナで声出しが禁止された中でも
封印されることなく披露されてきたこの曲は、
その当時はジャンプすることで楽曲に応えてきた。
そして、声出しが解禁された今、
声とジャンプで最大限この楽曲に応えることが出来る。
その喜びに心を震わせたのはきっと自分だけではないはず。
まちがいなく序盤にして本公演のハイライトを刻んだ瞬間であった。

TAKUYA∞がステージから捌けると、真太郎がマイクを持ち会場を見渡す。
「改めましてUVERworldです!東側のみなさんは西日大丈夫?」
まさに自分がいた東側に話題が振られ、
長時間日光に晒されていたにも関わらず
歓声をもって応えると「めっちゃ元気やな!(笑)」と笑顔で反応してくれる。

「ライブが始まる前の、DJ誠果みなさんどうでした?(反応を見ながら)良かった?本人は出てくるときに『会場温めてくるわ!』って意気揚々と出て行ったけど、すでに(気温で)温まってたよね(笑)」と楽屋での裏話を漏らす。
TAKUYA∞がステージに戻ってくると
「もうこの時点でもやり切ってる。なんなら去年『日産スタジアムで演る』って告知した時点ですでに満足してた」と笑顔で語る。
2010年の初東京ドーム公演では、会場のキャパ、
現状の自分たちの力量に戸惑い、笑顔を見せることなく、
そして感謝の言葉を出すことすら満足にいかず、
悔しい思いをしたと話していたころとは違い、
すでにリラックスした表情がそこにはあった。
「結果がすべてじゃないだよ。夢、目標に向かってどう努力して、そこに向かったかが重要なんだと思う。日産スタジアム演るって決めた時、もしかしたら埋まらないって絶望した人もいるかもしれない。けど、俺たちは希望を捨てなかった」

「どこのどいつが俺たちの未来に絶望していたって、俺たち自身が、俺たち自身の未来に絶望することはない。それが"在るべき形"」

アルバムの中の1曲でしかなかったこの曲が、
今はライブでは欠かせない曲になっている。
2019年のロッキンジャパンでは3日目のトリを務め、
ラストを飾ったのもこの曲だ。
あなたの未来に誰もが絶望しても、
あなた自身が絶望していないのなら、かまわず進んでいけばいい。
シンプルで、でも無責任でもないこの歌詞に
勇気づけられた人はたくさんいるはずだ。

「20年前に作ったこの曲が、この日産スタジアムで歌えるのが嬉しいです。"CHANCE!"」

2nd singleでリリースされたこの楽曲は、
UVERworldをミクチャーバンドたらしめた原点ともいえる楽曲。
披露されることは決して多くはないが、
その代わり特別なステージでは必ず歌われてきた歴史ある1曲だ。
誠果のサックスが加わり、なつかしさと新しさが共存した曲に
酔いしれているのはCREWだけではない。

「やべぇ。真太郎のドラムの音が気持ち良い!」と笑顔でTAKUYAは叫ぶ。

「今日、ステージで楽しんでる俺らを観て羨ましいとか思ったのなら次の瞬間にこれを思い出せ!俺たちはあなた方と同じ場所にいた。証明完了。"Q.E.D."」

「後ろのみんな!UVERworldがそっちまで行くからな!」と
左右の花道に設置されたトロッコに各メンバーが乗り、
移動しながら楽曲を披露していく。
「この曲が聴きたかったって声もたくさん聴いたよ」と
言ってから披露された"シリウス"の後に、
個人的に夏の野外でずっと聴きたかった
"シャカビーチ ~Laka Laka La~"が鳴り響き、
会場からは文字通りの悲鳴が上がる。
「ロックオン!」の歌詞と同時にピンカメラに反応する彰を観て
多くの女子CREWはハートを射抜かれたことだろう(自分も撃ち抜かれた)
その後には"GOLD"のドラミングが響き、
立て続けに懐かしい楽曲が披露され往年のCREWはたまらない時間となる。
もっとも、その真髄はもう少しあとにやってくるのだが。

「やべ、(イヤモニから)音が入ってこない!まぁいっか!かわりにお前らが歌ってくれ!"RANGE"」

やはり大きい会場では無線のトラブルは避けて通れないのかもしれない。
スマホの電波も楽器やイヤモニに干渉してしまう、という記事を
読んでからは自分は必ず開演前にスマホの電源を切るようにしているが、
ここまで大きい会場では何が原因で無線トラブルが発生するか、
もはや未知数だ。しかしそのトラブルさえも今のTAKUYA∞には
障害にならない。
イヤモニを外してCREWと同じ環境下で歌い上げると、
TAKUYA∞と真太郎(+ドラムセット)を乗せたトロッコも無事に
バックステージに到着。

「(後ろのみんなに)逢いに来たよ。せっかくだしみんなもしゃべったら?」とMCを振られ、マイクを渡されたのはバンドリーダーの克哉(gt.)だ。
「そしたら、俺たちの始まりの合唱!聴いてください!」
僕らのリーダーから"Φ choir"の宣言だ。
メインステージのモニターには、お馴染みのリリックビデオが流れ、
バックステージではメンバーが演奏する。
どこを観ても楽しめるよう配慮されたステージで、
自分はモニターとバックステージを交互に観ていた。

そして、この日一番のサプライズとなる時間が訪れる。
誠果がTAKUYA∞に「次の曲やる?」と耳打ちした際、「やるよ」と
答えたところで、すこし神妙な面持ちで話し始める。

「日産スタジアムのセトリを決めるときに、この曲を入れようか迷ったんだけど、今日はちゃんと歌おうと思う。俺には血の繋がってないおじいちゃんがいて・・・ちょっと複雑な事情でね。で、亡くなった時にそのことに気づいたんだよね。苗字が違うから。でも、血のつながりなんてなくても本当のおじいちゃんみたいに接してくれたし、その当時の想いを綴った曲があって。本当は最初の東京ドームの時に歌おうと思ったんだけど、なんか演れなかったんだよね。でも今日は、演ろうと思う。もう今日しか演らないし、今後も演る予定はないです。今日が最初で最後。聴いてください。"モノクローム ~気付けなかったdevotion~"」

曲のエピソードは知っていたし、これを聴いていたときは
まだ高校一年生だった。当時はまだライブを観たことはなかったけど、
この曲は個人的にも思い入れがある曲なので、
まさかこの日、この曲を聴けるとは思わなかったので、
感動とも、感嘆とも言い難い、言葉にできない感情を胸に抱きながら
曲を聴いていた。
メインステージのモニターには、
今日しか観ることができないリリックビデオが流れ、楽曲に色を添える。
日差しが和らぎ、涼しい風が吹く会場に鳴るこの曲は、
不思議とスッと胸に入り込む感覚があった。

「ありがとう。今日、この曲が歌えてよかったです」

歓声はない。しかし鳴りやまない壮大な拍手が、
いかにこの楽曲が大切にされていたかを物語っていた。

「音のメッセージ届けるよ!"Massive"」
恒例のインストコーナーでは
CREWの手拍子も重要な楽器になるこの楽曲が選ばれた。
TAKUYA∞はバックステージから姿を消し、
残ったメンバーは二手に分かれて再びトロッコに乗る。
信人(Bass.)のスラップベースや誠果のサックスに歓声が上がり、
移動時間をかけて曲を披露し、メインステージ戻ると
TAKUYA∞が「イヤモニ復活!」と軽快に登場。
「何年もやってればこんなトラブルあるって!それでももう一回、それがだめならもう一回。それを繰り返して此処まで来たんだろ!?なぁSHUNTO!!」

トラブルさえも次の楽曲のトリガーに変える。
声に呼応しステージに現れたのはBE:FIRSTからSHUNTOだ。
披露されるのはアルバムでコラボした"ENCORE AGAIN"。
自分は観るのは初めてだったが、本当に19歳?と思ってしまうくらいに
貫録があるし、当たり前だけどめちゃくちゃ歌がうまい。
女子CREWの歓声にパフォーマンスで答える姿勢が
とてもストイックに映った。
ゲストの登場だと、普通は少々のMCを挟むのがセオリーだが、
SHUNTOは歌い終わったあと「ありがとう!UVERworld愛してます!」とだけ
言い残し颯爽とステージを後にした。
あくまで一楽曲のパーツとして自分を魅せる。
そこだけに情熱を注ぐ姿勢にも熱さを感じた。

その後もアルバムの曲が披露される。
「オズの魔法使い」からインスパイアされた"echoOZ"
ファンクラブでのやり取りから派生して生まれた"ビタースウィート"、
新たな一体感を生んだ"Don't Think.Sing"。
このころには日は落ちて、徐々に暗闇が空を覆い始めていた。

「この二日間のライブのために、いろんな人がメッセージを送ってくれた。そして、みんな好きな楽曲が次の曲だって言ってくれるんだよ。けど、この曲は俺が歌わないと意味がない。絶対に響かないんだよ。走り続けるために歌い続ける"PRAYING RUN"!!」

TAKUYA∞がなぜ毎日10Km走り続けるのか。その答えがこの曲にある。
全部やって確かめりゃいいだろう。言うだけならだれでもできる。
しかし、本当に毎日10Km走り続け、食生活に気を配り、
トレーニングを欠かさずに仕事に打ち込める人間がいるだろうか。
音楽の才能はない。彼はインタビューでそう言い切っている。
だからこそ、少しでもその才能を勝ち取るための努力を惜しまない。
そして、その努力を努力とさえ思わず、楽しみながら挑んでしまう。
彼は超人ではない。超人になろうとする過程を
臆することなく進んでしまう別次元の"超人"なのだと
この曲を聴くたびに思う。
スタジアムで響くこの楽曲は、
不思議とスポーツの聖地だからか、とても馴染みよく響き渡る。

その熱量を落とすことなく、僕らの心の導火線に火を灯す"Touch off"。
ステージから火柱が上がり、
「FIRE」のコールは間違いなく序盤の"IMPACT"の領域を超えていた。
完全に日が落ちたステージに火柱が何度も吹き出る光景は
野外ならではの迫力を放つ。
TAKUYA∞はアドレナリンが沸騰し、
思わず真太郎のドラムに設置されいるアクリルパネルを
吹っ飛ばすシーンも。
それを観た克哉が驚きながらギターを演奏するシーンがシュールに映った。

「ライブが出来なくなって、音楽業界全体が止まったって思われたあの日以降も、俺たちは絶対に止まらなかった。配信ライブやって、キャパが半分なら昼夜で二回ライブやって、通常のキャパ通りみんならライブ観れるようにしたり。匍匐前進でも前に進み続けた先にこの光景があるんだよUVERworldが今一番届けたい曲とメッセージです。俺たちは進み続けるけど、お前はどうすんだって話!"EN"!」

2020年から歌詞を変化させながら、この変動する時代を経て生まれた楽曲。
サビの合唱をいつかみんなで歌おうなと約束した数年間。
その約束が、この日産スタジアムでついに果たされたのだ。

「It's gonna be the one 行こう 行こう
(唯一無二の存在になるだろう)
We wanna see What's there 行こう
(俺たちはそこにあるものを見たいんだ)
I’m gonna go go
(俺は行く)
Are you gonna go?
(お前は行くか?)」

歌詞がモニターに表示され、72,000人が合唱をもって応える。
2021年に音源として発表された楽曲は間違いなく
この日にようやく完成したのだ。
どこまでもシンプルで、語りに近いこの楽曲は異質かもしれないが、
自分は何度もこの曲に救われているし、
同じ境遇の人はきっと多いハズ。
72,000人それぞれに違った人生があり、その人生はその人だけのものだ。

「いろんな人たちに会ったよ。将来UVERworldのインタビュアーになりたいってやつ、カメラマンになって撮りたいってやつ。整体師になりたいってやつもいた。俺たちの人生は俺たちだけのものだよ。誰にも譲らない。けど、このバンドは、あなたの人生でもあった。"THEORY"」

かつての楽曲をアレンジして生まれ変わったこの曲も、
今のUVERworldを表す一曲だ。
ライブで聴くたびに実感する。確かにこのバンドは僕の人生でもあった。
ラストのサビではステージから何本の花火が上がり、歓声が鳴り響く。
同日に隅田川で花火大会があったらしいが、
個人的にはこっちの花火のほうが何倍にもきれいに観えてしまったはずだ。

「強い人にはなりたいけど、弱い人の心がわからない強さは要らない。つらい時に、寄り添える強さこそが本当の強さだと思うから。最後の曲です。"ピグマリオン"」

去年のロッキンジャパンでも最後を飾った楽曲。"EN"とは違った視線で歌われたこの曲は、普遍的なテーマをもって僕らの心に入り込む。
「泣いてる間だけでも良いから
抱きしめて欲しい それだけだったんじゃ無い
泣いてる間だけでも良いから
離さないであげて それで愛し方を知るから」
SNSで傷つけ合い、現実世界でも傷つくことが当たり前の世の中で、
少しでも寄り添うことが出来るなら。
そんな普遍的なテーマこそが、本当は一番大事な心理なのかもしれない。

「普段俺らはアンコールやらないんだけど、今日は特別だよ。今日を機にUVERworldのファンやめても構わない。けど、その時は、何の曲が一番好きだったかだけ教えろよ。そしたら俺たちはその曲以上の楽曲作って、またお前を迎えに行くからさ!」

おそらく本当に本編は"ピグマリオン"で最後だったのだろう。
しかし特別な日に最後を飾る楽曲といえば、もうあの曲しかない。
"MONDO PIECE"のイントロが鳴り響くと、どよめきが起きてから、
安定の大合唱が始まる。
TAKUYA∞もマイクを会場に向け、CREWの歌声に耳を傾ける。
祝福ムード全開で曲を終えると、
"7日目の決意"がエンドロールで流れながら本編は幕を閉じた。

メンバー一人ひとりが締めの挨拶を述べ、
信人は涙を浮かべながら「今日はありがとう。お前ら最高や!」と
笑顔を浮かべ、真太郎が挨拶を述べたあと、
締めに彰にマイクを渡そうとするが・・・
花道をぐるっと回っているため帰ってこない。
「彰さん、もう締めるよ(笑)」と言うと
マイペースにメインステージに戻ってくるところが彰らしい。

記念撮影を終え、「明日(男祭り)来る奴らは覚悟しとけよ!」と
言い残すと彼らはステージを後にした。
UVERworldを好きになってほぼ14年。
様々なライブに参戦してきたが、この日が間違いなく
一番のステージとなった。
とはいえ、二日目ももちろん参戦したのでその内容も追って記載する予定。

大きい会場でライブをすることがすべてではないけれど、
この日の公演はやはり特別だった。
このバンドは僕の人生でもあるんだね。

【セットリスト】
0:ENIGMASIS
1:VICTOSPIN
2:ナノ・セカンド
3:7th Trigger
4:CORE PRIDE
5:NO. 1
6:IMPACT
7:在るべき形
8:CHANCE!
9:Q.E.D.
10:シリウス
11:シャカビーチ ~Laka Laka La~
12:GOLD
13:RANGE
14:Φ choir
15:モノクローム ~気付けなかったdevotion~
16:Massive
17:ENCORE AGAIN
18:echoOZ
19:ビタースウィート
20:Don't Think.Sing
21:PRAYING RUN
22:Touch off
23:EN
24:THEORY
25:ピグマリオン
26:MONDO PIECE
END:7日目の決意

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