NY市キャッシュレス禁止に見える憂い

ニューヨーク市議会が1月23日、クレジットやデビットを持つことができない低所得コミュニティ(とりわけ有色人種)に配慮し、キャッシュレス店を禁止にする法案を通し可決されたようです。
一応、高齢者や個人情報保護も引合にし、”消費者が支払い方法を選択できる仕組み”が支持されたものと思われます。

今後、NY市長の署名から9ヶ月後に施行されるのとことで、早ければ今年10月から開始するようです。

口座開設の壁

【以下、一部記事引用】
ニューヨーク市の昨年の発表によると、11%の世帯(354,100世帯)が銀行口座を持たず(unbanked)、21.8%の世帯(689,000)は、口座を持っていてもチェックキャッシングやペイデイローンなど銀行以外の金融サービスを利用している(underbanked)。なかでもブロンクスは市内の他の地域よりも割合が高く、unbankedが1.7倍、underbankedが1.4倍となっている。なお、全国水準は6.5%(unbanked)、20%(underbanked)。

今回気になったのは、キャッシュレス推進がどうのではなく、禁止の背景に潜む生活者の実態です。
日本では赤ちゃんでも銀行口座の開設が可能で、むしろ誰しもが開設できないことが不自然とも思えるのではないでしょうか。日本にいる外国籍の人でさえ滞在期間など一定条件さえクリアすれば、銀行口座を開設することは可能です(もちろん必要書類や印鑑の準備がありますが)。
アメリカでは、留学生も開設することが可能です(こちらも必要書類等の準備がありますが)。それでも、口座開設を行わない(あるいは行えない)壁あるのだと思います。

SSNの壁

SSNとはソーシャルセキュリティナンバーの略で、アメリカ市民もしくは長期滞在者に与えられる社会保障局が発行する9桁の番号で、いわゆる社会保障番号です。留学生でも取得することが可能ですが、取得にはパスポートやビザ、居住を証明する書面などが必要です。
このSSNですが、一般にはアメリカ市民でない場合、合法的に就労が可能な移民のみ取得可能です。なので、もしかしたら低所得コミュニティの人達が取得できない事情や背景などさまざまな要因があるのでは、と思えてしまいます。

日本のキャッシュレス化は徴税用の個人特定への布石

日本では経産省主導のもとキャッシュレス定着化に向け、キャッシュレスキャッシュバックなどのキャンペーンが加熱し過剰な競争が生まれてる感がしますが、ここにきてこのNY市や他州に見られるキャッシュレス禁止の風潮が広がっているのは、キャッシュレス先進国アメリカにおける生活者の実態や本質が見えた気がします。今後日本でも同様の課題になるんだろうなとも思いましたが、現金からの脱却は出来ずキャッシュレス化にはならないと思うので、要らぬ心配でしょうか。

ただ、キャッシュレス(=電子化)推進が、マイナンバー制度の影武者になり、個人の出納可視化による徴税の手段になるのではと思っています。


【参考】
https://www.us-lighthouse.com/life/daijiten/social-security-number.html
https://www.lieugaksquare.com/us/info/bankaccount.php


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