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Hasselblad X1DII-50Cを3年使ってみて

みなさん、こんにちは。こちらのエントリではHasselblad X1DII-50Cを使い始めてはや3年以上経過しました。ということで、これまで使用して感じていることを書き記しておきたいと思います。

はじめに

Hasselblad X1DII-50Cを購入した時のエントリは以下にありますので、よろしければそちらもご参照ください。

ここ最近もHasselblad X1DII-50Cを持ち出して撮影をしています。改めて使ってみて感じることは、「軽くて持ち出ししやすい」、「暗いところでも撮影ができる」、「バッテリーには少し気をつけたほうが良い」ということでしょうか。

ただし、「Hasselbladとしては」という前置きをしておいたほうが良いかもしれません。どういうことか。以下に思うことを書き記してみたいと思います。

軽くて持ち出ししやすい

Hasselblad X1DII-50Cの特徴はミラーレス一眼カメラとしての機動性の高さが挙げられると思います。これまでのHasselbladは中判カメラにデジタルバック(CCD/CMOSセンサーユニット)を取り付けていましたので、非常に大きく、重たいカメラシステムであったと思います。
※世間で言うVシステムやHシステムと呼ばれるものです。

どの程度か?というと、レンズ一式含めると3kg程度という感じでしょうか。このサイズは一般的な35mmDSLR系エントリーシステムと比べると、大きく重たいものだと思います。35mmDSLR系でもハイエンド機種+ハイスペックレンズを組み合わせると同等の重さになりそうな気がしますが、中判カメラで比べると機動性で大きく差が出てくることでしょう・・・。

カメラ自体が大きく重たいということもあって、カメラ自体を収納する際も結構な手間が出ます。カメラ自体が大きいためサイズに合うバッグがない、バッグに入れてもそれなりにクッション性の高いものを使わないと防護できないなどの障壁もあると思います。

Hasselblad X1DII-50Cは、こうしたこれまでの中判カメラの課題を大きく払拭した気がします。私はカメラを購入した際に揃えた45mmレンズを使っていますが、この組み合わせであれば、それほど苦にならない重さで、気軽に持ち出せるレベルかなと思います。とは言え1kg程度の重さはあるので、35mmやAPS-Cサイズのカメラと比べてしまうのはちょっと違う気もします。あくまで中判カメラのフォーマットの中では善戦しているという認識の方が良い気がします。

暗いところでも撮影ができる

暗部や夜間での撮影はかなり労力の掛かるものになりがちです。特に低ISOでの撮影はスローシャッターを活用するケースが多いため、必然的に手ブレなどの問題が出てきます。昨今のデジタルカメラは、高感度特性にも優れており、夜景を気軽に撮影できるようになりました。さらにはスマートフォンでの撮影においても、容易に撮影ができます。20年くらい前の頃には考えられなかったことだと思います。

とはいえ、解像度の高い撮影をする場合はデジタル一眼などのカメラがまだまだ優位にたっている状況です。カメラだけあってもだめで、露光条件や撮影手法の段取りも必要になってきます。結局のところは原理原則に則って準備をして撮影することが求められてくるのですが・・・。

こうした環境まで追い込まれると、当然ながらカメラシステムの差が出ます。デジタル一眼のメインストリームはAPS-Cサイズのセンサーを搭載したカメラで、その上に35mmフルサイズのデジタル一眼カメラ。その更に上に中判デジタルが出てくるという感じでしょうか。

カメラのフォーマットに加えて、レンズの解像度も大きな影響をもたらします。レンズも様々ですが、センサーの解像度が上がれば、レンズにも性能が求められてきます。そのためセンサーとレンズのバランスが大事になってくる。そこに画像処理エンジンとの兼ね合いも出てくるわけですね。

Hasselblad X1DII-50CはCMOSセンサーを搭載しており、ISO6400までの設定ができます。これまでの中判というと、ISO50 or 100で撮影するのが基本的な考えでした。しかしながら、CMOSセンサーを搭載した製品が登場した頃からその辺りの概念が変わりました。

今月私は旅行に出かけてきたのですが、その際にISO800や1600での撮影を行いました。せっかくの旅行なので、少しでも良い画質で残しておきたい。そういう用途には十分な性能を持っていると思います。単純に暗い場所で撮影できるだけでなく、Phocusで暗部を持ち上げる際もダイナミックレンジの広さが画像処理時の幅も広げてくれます。こうした調整の行いやすさも中判ならではの特徴かもしれません。

バッテリーには少し気をつけたほうが良い

良いところもありますが、気になる点もあります。その一つとして、バッテリーの持ちについてを書き記しておきます。先程旅行に行ったことを書きましたが、撮影を始めてわずか4カット目にて電源が切れるという自体に見舞われました。当然ながら、バッテリーは前日にフル充電してあります。1カット目の撮影後に99%のバッテリーが70%位になった時点で雲行きが悪く感じたものですが、その後あっという間に電源オフに陥ってしまいました。

今回は予備バッテリーを持っていったので、休憩時に予備バッテリーを入れ替えることで撮影を再開することができました。以前の撮影でも数十カット程度の撮影でバッテリー切れを起こすことがあったので、念のため・・・と思って用意したのが良かったのですが、こうしたことは一般的なミラーレス一眼ではあまり発生しない事象だと思います。

その後ホテルでバッテリーを再充電して、翌日使用しました。その際は特に問題なく撮影が行えた・・・ように思います。

こうしたことから、バッテリーの充電とカメラ側が認識しているバッテリー容量の差があり、エラーが出てしまったのでは?という考えに至りました。私が持っているSonyのα7も長期間カメラを使わないと放電でバッテリー容量がどんどん減っていくのですが、Hasselbladの場合は減った容量ではなく、100%と表示されている所から急激に変化するのが怖いところです。。。

実際のところはよくわからないのですが、長期間カメラを使わずにいると、バッテリーの放電が起きてしまい、誤認識を起こすのかも?しれないです。最近の電化製品もバッテリーは使い終えてから充電するようにアナウンスしている企業もありますので、正しく使うことを認識したほうが良いかもしれませんね。

あるいは、最近のデジタル一眼はPD充電機能がついていたり、モバイルバッテリーからの給電ができたりする機種も出てきていますので、Hasselbladにもこうした技術を採用してもらいたいと思った次第です。

終わりに

色々と書いてみましたが、3年使って思ったのは、本当に長く使える製品であるということです。個人的にはこの製品で必要十分な撮影ができているので、大きな不満もなく、これからも使い続けるだろうと思います。当然ながらもっと望遠ができれば・・・もっとマクロ撮影できれば・・・と思うことはあるのですが、それはレンズ拡充で対応できることなので、いつか買い足すかもしれないですね(苦笑

Hasselblad X1DII-50Cは現行の中判デジタル一眼カメラの中では、かなり整った状態のカメラだと思います。レンズも最新のテクノロジを駆使した仕様であり、センサーも5,000万画素と必要十分なスペックがあります。さらにPhocusを使えばレンズ毎の特性を加味した上でレンズ補正も加わります。

世間のミラーレス一眼も結構価格が上昇傾向にあり、CanonやNikon、Sonyのフラッグシップ機となれば、高画素(5,000万画素以上のセンサーを搭載)であったり、高感度特性も高く、連写性能も飛躍的に向上しています。機動性も非常に高く、カメラの技術向上は本当にすごいものがあると感じます。

決定的に差が出るのは、センサーの大きさによる解像度の違いみたいな部分担ってくるものと思います。なので、最終的にはどのような写真を撮りたいか?がすごく大事な論点になります。撮りたいものに合わせて機材を選ぶ必要があるということですね。

各メーカーの価格をたまに見ますが、その中で思うのは中判デジタルカメラはものすごく高い訳では無い、ということです(昔はとても高価なものでしたが)。特に35mm系メーカーのフラッグシップモデルと比べた場合、それほど大きな価格差は出ていないと感じました。ですので、本当に何をしたいのか、という撮り手の意志が今後ますます問われるのではないかと思った次第です。

大学を卒業後、約15年間写真スタジオ、写真機材販売、北欧カメラメーカーの日本法人立ち上げなど行う。その後ITベンチャーにてマーケティング業務に従事しながら大学院に通いMBAを取得。現在もスタートアップ企業にて奔走中。