「4号特例」

仲間の建築士たちとの研究会で熊本地震の現地調査報告が行われました。

新耐震以降の建物も倒壊している現状は、現行の建築基準法の限界を示しているのかも知れません。

日本家屋では、座敷に縁側があって、庭に面したこの開口部が大きく取られることが一般的です。

現在の住宅でも縁側こそ無くなってしまいましたが、リビングに面した開口部が2間または2間半も取られているプランが多く、その壁量の不足を柱や梁といった構造体で補ってはいますが、壁の構造的役割に勝るものはありません。

例に上がった木造二階建て住居では、壁量は十分あるのだが、筋交いが一方向に付けられていたり、火打ち梁の断面が細かったりと、地震の応力への対応が不十分なものが多く見受けられたそうです。

この業界では、300m2未満の木造2階建てなどの条件を満たした建物(「4号建築物」という。)について、建築士が設計・工事監理をした場合、建築確認の構造関係規定の審査を省略する「4号特例」という制度があります。

この「4号特例」を利用したからといって、審査を省略されている構造関係の図書類は、本来、用意しなければならないものです。悪意を持ってこの特例を利用する業界関係者がいるとは思いたくないものの、恐らくこの災害の教訓を得て、いづれは「4号特例」が廃止されると予想できます。審査する側とされる側、双方の人材不足という課題もあり、20余年にもわたる後進の指導を怠った業界のツケが出始めた感じです。

写真は刺激が大きいので掲載することはやめておきます。