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【臨床日記】脚長差と側弯症

今回もクライアント様に承諾を得て、歩行時の姿勢を撮らせていただき、かつ提示します。

レントゲンでは、3つのカーブを有する側弯症で、小学生のことからということで椎体変形も認めました。
ただ、特発性側弯症の典型である、生理的弯曲の消失はなく、また、胸部というよりは胸腰移行部をメジャーカーブとする非典型的なタイプでした。

おそらく機能性からの構築性であろうという推測ができました。

右脚の立脚では骨盤が側方へシフトし腰部に右側屈が出現しています。
同じく左脚の立脚では骨盤が右後方回旋し左腰部に左側屈が出現しています。
このように、腰部で下部と上部に違い違いの側屈が出ている稀な変形です。
複雑ですね。

実は脚長差が7ミリあり右が長く左が短い状態でした。
しかし、静止立位では左の骨盤が高く骨盤の形状異常が疑われました。
骨盤のレントゲンがないので確認はできていませんが、おそらく骨盤に変形があると思われます。

そして、静止立位では右股関節のみ内旋位でした。
前捻角に左右差は認めませんでしたので、脚長差の代償としての右股関節の内旋だと考えられます。

複雑ですが、幼少期からの代償ですので骨自体の変形もありつつ、なんとか体としては辻褄を合わせようとしてきたというのが分かります。

さて、アプローチとしてはまずは脚長差の補填です。
その後、バランス練習をしました。
基本的には、椎体変形があること、骨盤の形態異常も示唆されること、そして成人であることから側弯症そのものの修正は難しいと考えられます。
しかし、現状の歩行ではストレスが集積し結果的に、年齢をとるごとに悪化する可能性はありますので、ストレスの少ない歩行の獲得は重要となります。

こちらがアプローチ後の歩行の切り抜き写真です。

骨盤の左右への動揺が減っています。
体も上に伸び上がるようになり、歩幅が広がっています。
歩幅が違うので、初回歩行と純粋な比較はできませんが、本来歩幅が広がるほど骨盤の動揺は大きくなるはずですが、逆に小さくなっていることから、修正はうまくいっていると思われます。

この時に、特段歩幅を小さくしてとは指示していないので、自然歩行で勝手に歩幅は広がっています。

また、ご本人は前屈テストでもそうですが、歩いたそばから楽だという感想を持たれていました。

脚長差の原因は幼少期であり、かつ特段激しい運動もしていなかったということですので、未定ですが、何かしらの原因で客超が生まれその代償として、脊柱がここまで変形してきたと考えられます。

この方も、病院では原因は特定されず側弯症と言われるだけで、何もすることがないので悪くなったら手術という方です、、、。

やれることはたくさんあります。
この後にいらした方も、機能性で成人になってからの側弯の方でした。
同じく病院ではすることはないので、悪化したら手術と言われたそうです。
ちなみにその方は、仕事で重い荷物を片方の肩にずっとかけていらして、上半身由来の左側屈変形でした。

体幹を中心とした体操と、左肩で敢えて荷物を持ってもらうことで、歩きは格段に改善し、本人も体がブレないと驚かれていました。
何かしなければと、筋トレに通って、左右対称的なトレーニングをされてたようです。

基本的に側弯症のトレーニングは左右非対称のトレーニングになります。
必ず専門家の指導を受けるようにして下さい。

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