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錦絵から見るベーゴマ(ベーゴマ考46)

「錦絵」とは、浮世絵・木版画の一種で、多版多色刷り(カラー印刷)のことです。とてもカラフルで、錦(にしき:高級な織物)のように美しいことから錦絵と呼ばれました。

数は少ないですが、錦絵に貝独楽(ベーゴマ)が描かれている錦絵があります。
以前から知ってはいたが、2枚の錦絵について調べました

飛脚仲二の嵐吉三郎

飛脚仲二 嵐吉三郎
(「飛脚仲二 嵐吉三郎」「百松 松島屋島松」「くら吉 浅尾朝次郎」 )
1820年 文久3年9月 絵師:北洲画(春好斎 北洲)

上方の歌舞伎役者の名跡。屋号は岡嶋屋 この錦絵は2代目

嵐吉三郎(2代)は後の初代 嵐璃寛

歌舞伎俳優。5世まである。(1)初世(1769‐1821∥明和6‐文政4) 初世吉三郎の三男。俳名李冠のち璃寛。前名嵐吉松。1787年(天明7)に2世吉三郎を襲名。没する直前の1821年(文政4)3月に名跡を甥に譲り,初世嵐橘(きつ)三郎と改名。同年5月には初世嵐璃寛を名のり,〈大璃寛〉と通称された。美男役者で口跡もよく,花形ともてはやされた。1817年(文化14)上坂していた江戸の花形3世尾上菊五郎と人気争いから訴訟騒ぎが起きたほど

春好斎 北洲

松好斎半兵衛の門人でのちに葛飾北斎に入門したといわれている[1]。俗称治兵衛。初名は春好、後に春好斎、雪花亭と号す。大坂の椹木町、石屋橋東詰に住んだ。当初半兵衛門人として活動していたが文政元年(1818年)、春好斎北洲と改名し北斎が使った「よしのやま」の印を用いている。また翌文政2年刊行の北斎の絵手本『北斎画式』には、「摂陽浪花校合門人」として「雪花亭北洲」の名があり、以後の画風にも北斎風が窺えるという。ただし北洲が、北斎から実際に絵の指導を受けたかどうかは定かではない。
大判錦絵に限れば約300点を残したといわれ、上方では質量ともに最大量の役者絵を残した浮世絵師であった。北洲は流光斎如圭や松好斎の様式を受け継ぎ、それに役者が映える姿を強調する江戸の趣味を加味して、上方役者絵を完成に導いており、文政以降の上方絵の方向性を決定づけている。役者絵の中では、大首絵、舞台画に特色があり、読本、芝居根本などにも描いていた。文化6年(1809年)から天保3年(1832年)までにかけての作品が知られているが、文政期前半が北洲の最盛期で、半身像の大首絵に名品が多く見られる。


飛脚仲二は歌舞伎の役の名前であろうが、その内容は不明である。
だいぶ調べたが、それらしき内容は出てこない。その演目の中に貝独楽に興じる童が出てくるということであろうか。
少なくとも、この頃の上方では子どもたちが貝独楽に興じていた証拠でもある。
錦絵からわかることは、貝製で上部はカットされている。ちょうど江戸時代の武家屋敷で発掘された形である。
またゴザで回しているが、下は桶に見える。
双方とも右手で独楽を回したのであろう、見方によっては、この図が紐で独楽を叩いている様に見えなくもないので、こういった絵から、不精独楽(たたきごま)の誤解が生まれたのではないかと考える。

明治教育版画帖 塩せんべい

明治教育版画帖
作者:歌川国輝(2代)+他画
年代:19世紀初頭(明治初期)

「勉強する童児(店番をしながらその間に勉強する良い子供と、犬をいじめたり貝独楽で遊ぶ悪い子)」
文部省製本所発行の教育絵

明治初期、当時の文部科学省が発行した錦絵
障子をはる職人、石工職人、壁塗り、建具、米づくり、蚕の飼い方
海外の偉人の話やエピソード
良い子と悪い子のイラストなどがある。
子どもたちに読み聞かせるための絵本の初めといったところか

面白いことに、貝独楽(ベーゴマ)は悪い遊びの筆頭として
描かれている。

一緒に描かれている
悪い子どもの例は
・石を投げて相手に怪我をさせている子
・犬をいじめている子
・スズメを捕まえる
・塀を登る
・浮浪者をからかう
・旅人の馬にイタズラする

これらに類する「悪童」の類として貝独楽が描かれていることが
この当時、いかにベーゴマが禁止されていた
遊びであったかがわかる。

賭け事のことについては
ここをみてね

ここでもう一つの特徴は
地面で回していることである。
この場合、落としあったものとは思えず、
長回しで競ったものだと思われる。

この明治教育版画帖で紹介されている「良い子」は
みんな読み書きしている。

しかしながら、
ずっと机に向かっている子どもよりも
幼い頃に、いろんなイタズラしながら
「やりすぎた」「失敗した」
をたくさん経験した悪童たちの方が
人間味があるなぁと感じる。

きっとこの瞬間で勉強している子どもたちも
見えていないとこでイタズラして
悪さもする。

綺麗なだけの人間なんてありえない。

おっちゃん、もうええか??
ずっと勉強してるフリなんかしんどいねん。
そこの貝独楽うちも入れてくれへんか


そんなセリフが聞こえてくる気がする

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