アフターセブン放浪記 第8回「ブラックコーヒー」

私はコーヒーが大好きです。
どれぐらい好きかというと、平日は仕事場に着いたらまずは400ml缶コーヒーを一本購入して飲みます。
12時からの休憩では、コーヒーが頼めるお店なら注文してさらに一杯。頼めないお店だったり弁当持参の日は、そのままお店を出てコンビニでコーヒーを購入してやはり一杯。
土日も朝ご飯と一緒に一杯。すぐに出かける日ではないならそのまま家事を少し片づけたらもう一杯。出先のお店でも何か飲むときは基本的に一杯。

ぎりぎりカフェイン中毒の域に両足突っ込んでるくらいにはコーヒーが好きなのですが、正直言って「コーヒーを飲む」ということだけで満足してしまうので、あまりコーヒーの味は意識していません。
よく言えば安上がり、悪く言えば舌バカということです。

しかし、もう30代に突入してそれなりに経つにも関わらずこのままの舌でいいのだろうか…という危機感は密かに抱いています。
テレビでやっているような目隠しをしても高級品が当てられるくらいの舌は持たなくとも、せめて自分の好きなものくらいはハッキリと味が分かる男の大人でありたいものです。
そうでないとカッコつけられません。

ということで、代々木公園駅から徒歩5分ほどの所にある「FUGLEN TOKYO」に今日はやってきました。
このお店は1963年に北欧のノルウェーのオスロの町で創業した、コーヒーロースター「FUGLEN」の海外進出店です。
本家の「FUGLEN」は飛行機に乗ってでも飲みに行くべきとまで評された世界最高峰のお店です。
そんなお店の姉妹店ということは、コーヒーの味が保証されていることは間違いありません。

店内はこじんまりとした古民家をリノベーションした作りになっています。
平日夜にも関わらず多くのお客さんで賑わっており、うち半数以上は外国人のお客さんでした。

店に入り、レギュラーコーヒーを頼んでみました。
私はコーヒーには砂糖とミルクを入れると味が壊れてしまうので入れない派です。紅茶にはミルクと砂糖がよく合いますが、コーヒーはやはりブラックで飲むべきです。

肝心のお味ですが、口に入れた瞬間にフルーティーな香りが広がり、そのまま酸味と少しのさわやかめな苦味が味わえます。
コーヒーを普段たしなんでない人でも非常に飲みやすい味と思いました。
店内の暗めでムーディーな雰囲気と相まって、森の中の小屋で静かに味わう一杯を飲んでいるような感じで、ゆっくりと飲もうと思っていたのですがあっという間にカップは空になっていました。

帰り道、自分は決して舌バカというわけではないようだと考えていました。
目隠しをしてインスタントコーヒーとFGULENのコーヒーを飲み比べたとしたら、さすがに飲んだ瞬間に分かると思います。

ということは、私は本当にいいものに触れる機会が少ないまま大人になってしまった…ということかもしれません。
若いうちはどうしても安かろう悪かろうで選択してしまうことが多かったのですが、年を重ねていくうちに少しずついいものに触れていこうと思いました。

ただし、何事も高いものがいいもの理論で選んでしまうと「情報を食べて満足する」だけの人間になってしまいます。
選択はしても最終的な判断は自分の感覚に頼る、ということは忘れないで生きていきたいものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?