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noteは日々思うことを素直な言葉で紡いでいく場所。足元を暖かくしてくれる「おこた」の…

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noteは日々思うことを素直な言葉で紡いでいく場所。足元を暖かくしてくれる「おこた」のような場所です。

最近の記事

雨晴海岸 〜心の晴れを待つ場所〜

雨晴海岸は富山県高岡市の北部にある北陸随一の景勝地だ。 空気が澄んだ冬には、雪化粧をした立山連邦が海に浮かぶ。 もちろん、季節を問わず富山湾と能登半島の山々の 美しいコントラストを眺むことができる。 雨晴海岸の歴史は古く、 大伴家持が万葉集にてその景色の美しさを歌っている。 また、奥州に逃れる源義経が雨宿りとして岩場に足を止め、 そのことが雨晴という名前の由来になっている。 心がどことなく落ち着かない時、 私はしばしば海へと足を運ぶ。 寄せては返す波の形を茫然と眺め

    • 麦秋

      平地の半分を占めている小麦畑は、風にさすられながら刻々とその様相を変えている。深く傾いた夕陽は黄金色の絨毯に乱反射して目眩を起こした。 夜の気配を纏った空気はまるで秋のようだ。来てもいない夏が知らない間に過ぎ去ってしまったかのようで、心に小さな穴が空いた。 桜の開花と共に旅立った故郷がさらに遠く感じられる。 「またね」と手を振っていた君の笑顔がうまく思い出せない。 徐々に小さくなってゆく灯りが最後の光を放って消えた。震える足でゆっくり歩み始める。宵闇に消えてゆくその先に

      • ネコ型チラシ配りロボットとの遭遇

        3連休の中日、郊外のショッピングモールは多くのお客さんで賑わっていた。新型コロナウイルスの感染者は全国的に見て高止まりの推移を見せているが、当初言われてきた「新しい生活様式」を超えて、「さらに新しい生活様式」へと変化しつつあるように感じる。 小さな子供を連れた家族が多いだろうか、続いて友人同士、カップル。私以外におひとり様はいないのだろうか。すれ違う人々は皆、親しい人と会話をしながら楽しそうにショッピングをしている。 そんな中、ひときわ目立つ「おひとり様」にすれ違った。ネ

        • 晴れ時々雪

          北陸の冬の天候はとても変わりやすい。日差しが差し込んだと思ったら雪がちらついてきて、再び明るくなったと思ったら今後は雹がバチバチと音を立てて落ちてくる。 それはまるで空がヒステリーを起こしているかのようで、僕たちは文句の一言も言うことなく、ただそっと受け入れながら暮らしている。 今夕焼けが見えている。雲の上には晴天が広がっていることや、太陽が時間とともに東から西へと移動していることを思い出す。 カラスの鳴き声が響きわたっている。まるで「帰るのは今のうちだぞ」って周りにも

        雨晴海岸 〜心の晴れを待つ場所〜

          モバイルオーダーペイ

          スターバックスコーヒーのサービスに、モバイルオーダーペイというものがある。事前にドリンクの注文と会計をスマホ上で済ませておいて、来店時には待ち時間なく商品を受け取ることができるというサービスだ。 僕はまだそのサービスを使ったことがない。使いこなせれば楽なのだろうが、どうしてもはじめの一歩を踏み出すことが億劫に感じてしまう。今度使ってみようかな、また今後にしよう、その繰り返しである。 それに、僕はドリンクを受け取るまでの待ち時間が好きだったりする。それは1年間バリスタとして

          モバイルオーダーペイ

          好きだから選んだのではなく、選んだから好きになった

          幼い頃の夢はプロ野球選手、義務教育期間を経て学校の先生になることを夢見て、教職の単位を取るのが億劫に感じた私は今、旅館で接客をしている。 まさか自分が旅館で働くなんて夢にも思わなかった。そもそも家族旅行なんてほとんど行ったことがない。親は共働きだったし、男三兄弟は皆マイペースなもので、家族全員が集う時間や余裕はなかった。ましてや、旅館に泊まるなんてことは夢のまた夢の話。 それに、文化とか風習には堅苦しさを感じていた。どうして食事中は行儀よくしなければいけないのか、どうして

          好きだから選んだのではなく、選んだから好きになった

          「ほどほどに頑張れ」って言うけれど

          「ほどほどに頑張れ」って言ってくれた人がいた。 そう言われてもねぇって思う部分があった。仕事が終わらないことで他人に迷惑はかけたくないし。「ほどほどに」だなんて、自分を甘えさせるだけだと感じた。 後日、自分が仕事から帰ろうとした時に、奥の方でこっそりと仕事をしているその方を見つけた。定時の時間はとっくに過ぎているはずだ。そのことを言うと、 「まあまあ、、、」 と少し決まりが悪そうだった。 自分に対しては「ほどほどに」って言ってくれたのに、全然ほどほどじゃないじゃん。

          「ほどほどに頑張れ」って言うけれど

          それでも僕はクリームソーダを飲む

          街中にひっそりと佇む老舗のカフェだった。ガラス格子の重たいドアを開けると、オールバックのいかにも堅物そうなマスターがカウンターの中にいた。 「いらっしゃい」 お一人様ですと伝える人差し指が震える。マスターはチラッとこっちを見たが、何も言わず目を逸らす。「どうぞお好きな席へ」というメッセージだろうか。恐る恐るカウンターの一番奥の席に向かう。 席についてやっとお店の全体像が見えた。間接照明だけの店内は昼間でも夕暮れのような薄暗さだ。カウンター内には年季の入ったリキュールやコ

          それでも僕はクリームソーダを飲む

          梅の花

          車を走らせていると、鮮やかなピンク色をした梅の花が咲いているのを見つけました。もう少しで春がやって来るんだなあ。 一週間の天気予報を見てみても、まさしく三寒四温の季節。情緒不安定な季節を抜ければ暖かい日々が待ち受けているんだなあと思うと、もうちょっと辛抱しようという気持ちになります。 変化の前には不安定な日々がある。これは季節だけでなくて、私達自身にも言えることなのかもしれません。 頑張っているけれど、なかなか思うような結果が出てこずに一進一退の日々が続いてゆく。 時

          梅の花

          日記:「お世話になった人」

          今日は、お世話になった先輩の最後の出勤日でした。社会人1年目の私のお世話役みたいな感じでついてくれて、仕事面でも生活面でも親身になってサポートをしてくれた方でした。 「ここで働いている方々に甘えないためにも、異動を決意しました」と語っていた先輩。分け隔てなく愛情を持ってスタッフの方々と接して下さってきたのだと感じました。 まだまだ相談したいことはたくさんあるけれど、明日からはもういないんだなあ。改めて存在の大きさを感じながら、最後まで最後までお隣で仕事をすることができまし

          日記:「お世話になった人」

          雪の音

          夢が終わる。窓に映る鉛色の空が私をすぐさま現実へと引きずり込んだ。 ああ、雪が降っているのか。 曇りガラスの窓を開ける。目の前にある駐車場には足跡も轍もなかった。一晩で15センチくらいだろうか、雪は音を立てず静かに積もっていた。 車は出せるだろうが、雪を降ろす作業と徐行するだけの時間が必要となる。寒さに鞭を打たれた寝起きの体は、いつもより早く動き始めた。 何も考えずにただ準備を進める。普段であれば1時間かける身支度を40分で終わらせた。 ガチャリ。玄関の扉を少し開け

          雪の音

          ギブアンドテイクからの脱却

          「与えよ、さらば与えられん」 『嫌われる勇気』のキーワードの言葉です。私はその本質をわきまえることなく、言葉通り「与え続けることがよい」と思ってきた節があります。 徹底的に、ギブ、ギブ、ギブだ!!! ただ、ギブが義務であると思っていると、次第に「自分もギブされて当然だ!」と思うようになってしまったんですよね。 そうして、期待していた見返りが返ってこず、精神的に参ってしまうこともありました。 そのことで自分や他人を傷付けてしまい、更なる自己嫌悪に陥ってしまうことも。

          ギブアンドテイクからの脱却

          お天気屋な私と晴書雨読の日々

          最近noteを使いながら気づいたことがありました。それは、投稿を終えると「〇〇週連続投稿おめでとうございます!」って褒めてくれること。 私にとってすごく嬉しいことでした!自分の気まぐれなペースを受け入れてくれて、なんか暖かさを感じたからです。笑 ・・・ 去年の6月あたりでしょうか。休職状態になりまして、「何かしなくちゃいけない!」と毎日note投稿を義務付けた日々がありました。 もちろん、その期間中はたくさんの文章を読んだり書いたりすることができました。そのおかげもあ

          お天気屋な私と晴書雨読の日々

          一緒に頑張ってくれてありがとう

          私の職場には、毎月1回ありがとうを伝え合う週間があります。 一緒に働いている人の良かったところや助けてもらったところを見つけて、手紙に書いて伝えるというものです。 私はその集計係をしているのですが、いつも手紙に書いてある内容にほっこりしながら宛先の方に届けています。 なんて、おいしいお仕事なのでしょうか!笑 さてさて、先月も無事に終了しました!そして、集計を終えたところなのですが、その中にひときわ輝くメッセージがありました。 同期のみんなへ いつも支えられています

          一緒に頑張ってくれてありがとう

          ひとりぼっちの夕日

          夕日が見たくなって、海岸線まで車を走らせた。日没まであと15分。私が着いた頃には、ちらほら先客がいました。 大きなカメラを構えたおじい様方。大学生くらいの友人グループ。落ち着いた感じのカップル。可愛い柴犬さんとその飼い主さん。 うむ、ひとりぼっちは私だけだろうか。 勇気を出して車から降りた。若い集団の近くだと少し気後れがするので、気持ちワンチャンの近くに寄って夕日を眺めることにした。 ひとりぼっちの夕日。 寂しくない?いやいや、そんなことないですよ!(正直、少し強が

          ひとりぼっちの夕日

          自分軸を見つける本の選びかた

          そういえば本の選び方も変わったなあと、前回の文章を書きながら思いました。 なので、「自分軸を見つける本の選びかた」として、特に変わった2つの選び方を書いてみようと思います! ①書店で選ぶ実際に書店まで足を運び、表紙を眺めながら直感的に選ぶ機会が増えました。倫理の勉強で出てきた本とか、単純に表紙が面白そうとかで、手にとるようにしています。 また、そのことで電子書籍から紙媒体に移行しました。所有物が増えるデメリットはありますが、読んでいる時の質感が暖かくて好きだなあと改めて

          自分軸を見つける本の選びかた