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マクティーグを読んでしまった夜のこと

フランク・ノリスの「マクティーグ」を読み終えてしまいました。
マクティーグの面白さのせいで寝不足です。
さびしい。
トリナ並みにケチケチと読んでいたにも関わらず内容のあまりの面白さにページを繰るのをやめられなかったのです。

以下、素晴らしい解題を台無しにするようなぼんやりした感想。

この物語の素晴らしいところは、登場人物たちが立体的に“視えてくる”ところ。
ザーコフとマリアのエピソードなんて、悲劇的でパラノイア的なアラビアンナイトみたいだし、典型的旧世代ロマンスもきっちり書き込まれていたり。
トリナの異常な貯蓄癖は、まるで消えてしまったマリアの金の皿の暗示みたいでもあって唸ってしまった。
“gold” “money” “death”
がある意味主人公なんだよな〜。
マクティーグの野性、というか獣性を、私はどうしても憎むことができなかった。

各人が必ず持っている浅ましい本性を、ここまで、なんというか、嫌悪感なく(個人の所感です)描いているのがまだ30前後の若者だったのだと思うと、ゾッとするような天才だったのだなぁ、ノリス。
もっと沢山の作品を遺したかっただろうに。

ラストには、デスヴァレーの荒涼たる風景のなかに、確かに私はマクティーグと共に立っていたと思う。

「マクティーグ」には、読者を登場人物と同じ場所、同じ時代に実際に連れ込んでしまう魔法がかかっている。フランク・ノリスの異常なまでに緻密で強度ある描写力のほかにも、なにか魔力が宿っているとしか思えないものをこの作品は放っている。

カナリアやコンチェルティーナなどの小物も効いていたなぁ…。

とにかく面白かった。
読んでいるあいだ、ずっと夢中で幸せでした。

幻戯書房さんと翻訳者の方に最大の感謝と賛辞を捧げます。


さー、今日は(も)忙しいよ〜!(泣)
がんばるぞー↓↓

•ө•)♡ありがとうございます٩(♡ε♡ )۶