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【「助けのバトンリレー」〜助けてくれた方々へのお礼の気持ちを込めて〜】


寒波でとても冷え込み、南国鹿児島でも山間部では雪が降っていたその日の夕方、頼んでいた荷物を受け取って、自宅へ帰ろうと車を走らせていた。
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帰宅ラッシュで上下線とも混み合う国道の真ん中で、赤信号待ちから青に変りアクセルを踏んだのにいきなり車が全く動かなくなった。運転席正面パネルの警告灯がいっせいに点滅し始める。バッテリーが上がったんだ!
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突然の事態にビックリして心臓がバクバク鳴り、スマホを握る手が指先が震え出した。とりあえず急いでハザードランプを点灯させ、「こういう時こそ落ち着いて・・・大丈夫、大丈夫・・・」と自分で自分に声をかける。
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「まずは家に居る夫に電話して事態を知らせ、次にロードサービスに連絡して車をどうにかしてもらわなくちゃ。私はどうしたら良いのだろう?このまま車に乗っとくのかな?」などの考えが頭の中をグルグル。
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とにかくその場で出来ることからすぐに行動に移した。が、夫の携帯に電話したつもりが、なぜか義父の携帯にかけていた。それだけパニクってたのね(笑)。その電話に出てくれたお義母さん、かけ間違いに気づいてワン切りした嫁をお許しください。
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ロードサービスが来てくれるのを待つ間、追突事故の危険から身を守るため車外に出るよう指示されたので、自分は歩道まで避難したものの、車は国道の真ん中に置きっぱなしで一車線潰している状態なので、通行の妨げになり道行く車たちに大迷惑をかけていた。
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それを一人ではどうにも出来なくて涙目になりながら路肩近くに突っ立っていたら、男女4〜5人グループが道路向こう側から車の周りにわらわらと集まってきてくれて、ハンドルを握る者・車を押す者・後続車の誘導をする者などその場でササッと役割分担を決めて、見事なチームワークで車を路肩の幅広部分まで移動させてくれた。
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お礼を言って名前や連絡先を聞いたけれど、彼らはあっけらかんと「そんなの全然気にしないで。寒いから気をつけてね。」と名乗らず、かえって私を労ってくれて、そのまま歩き去っていった。助けてくれて本当にありがとう。
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ロードサービスが到着し、もちろん至急バッテリー交換をする必要があるということで、日曜の夜という時間帯でも開いている、交換するバッテリーの型番在庫を持っている修理工場をその場で探してくれ、車を運んでくれた。
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実は翌日には前々からとても楽しみにしていたお出かけの予定がスケジューリングされていたのだけれども、こんなことになり出かけられない可能性も考えられたので、慌てて先方に連絡を入れた。
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ドタキャンを申し訳ながる私に、「理由があなたやお子さんの体調不良とかではなくてホント良かった。会うのはまた今度で良いよ。楽しみはとっておくとワクワクが続くから。」とまで言ってもらい涙がこぼれた。ご迷惑ご心配をおかけしたのに、本当にお優しい言葉で冷え切った心身にとても温かくありがたく染み渡った。
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結局その後2時間ほど経過して無事に自宅へ戻れたのだが、ホッとしてドっと疲れが出て思わず倒れ込んだ布団の中で、この世はなんて優しいのだろうと感動し、助けてくれた方々への感謝の思いでいっぱいになった。
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ロードサービスさん、若者グループの皆さん、修理工場さん、約束を延期してくれた友人、家族や身内。皆がそれぞれの立場で少しずつ関わってくれて、まるでバトンリレーのように助けを繋いでいってくれて、私は無事に日常に戻ることが出来た。
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それぞれの方々に恩返しは出来ないけれども、恩送りの精神で、次は私が助けのバトンリレーの中に入り、自分に出来ることで何か人さまのお役に立てたら一助になれたら幸いだ。あの時の皆さん、助けてくださって本当にありがとうございました。

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