【中小企業診断士 / 初学者向け】ついつい忘れがち・2次試験への向き合い方

1日に4人の社長から電話があり、慌てて駆けつける。すごい勢いで会社の歴史やら自慢やら困っていることを話される。ひとしきりマシンガンのように喋り終わえたあと、目の前にいる社長に聞かれる
『で、どうしたらいいですか?』と。

後日提案書持って行きますね!とか数時間じっくりとヒアリングさせてください、では間に合わない。君に頼むことにするよ!とは言われないだろう。

その場で、『たくさんある強みの中で、御社はこの点が軸になりそうです。こういう方向性で行くことで、社長のやりたいことが実現でき、会社も成長していくと考えます!』くらいの方向性を示せなければならない。
なるほどそういう考え方もあるのか!と思ってもらわなくては、コンサルタントとしての価値を認めてもらうことは難しいだろう。

整理されていない情報を組み立てる。因果関係で繋ぐ、問題の真因を探り、重要な課題を抽出する。それも自分の経験だけでなく、広い学門領域、学術ベースの理論を拠り所にして考える。

各事例には80分を当てられるが、実際に与件を読み、解答を組み立てることに使える時間はせいぜい30分程度。
しかし、このくらいのスピードで思考ができないと、ゆくゆくは厳しいというメッセージとみることもできる。

同期の中でも特に優秀、頭の切れる人材がいた。彼はメーカーからコンサル業界へ転職。その後も人事領域を専門に経験を積み、現在は誰もが知っているサービスを展開する企業でHRの責任者を務めているようだ。

10年以上も前、飲み会で、どうしたらそんなに頭が切れるのか?聞いたことがある。
すると、話を聞く時に、同時に頭の中でロジックツリーを描くようにしている。もう無意識レベルになった。と語っていた。

え、同時に?!そんなことできるの?と驚いた記憶がある。

コンサルタントも新米は意識して使うことから始まり、思考のスピードを上げるべく、言葉通り血肉とするため、血の滲むような努力をするそうだ。

事例の読解にしろ、コンサルタントのような頭の使い方にしろ、残念ながら一足飛びにはできないようだ。ノウハウ本を読み漁ってできるようになるなんて誰も思わない。つい願ってしまうかもしれないが。数少ない神に選ばれし人材をのぞき、思考や筆考の積み重ねなしには得られないスキルだ。

新卒のコンサルなら、諸先輩たちが仕事を通じて厳しくトレーニングされていく。
こちらは資格試験なので、自ら然るべき姿勢で事例と向き合い、同じように学び取らないといけない。

2次試験と向き合いつくした猛者たちからよく聞く話。それは国家試験である以上、題意があり、必ず解答は1つである。ということ

実際は想定した答えと異なっても点数を与えることはあるだろうが、必ず出題者が想定した答えがあるはずだ。これはこの会社、社長の抱える課題とそれに対する答えが明確にある、ということだ。いかようにも解釈ができるね〜というスタンスではなく、神の一手を求めるがごとく、一筋の答えを探してゆく。

もちろん現実として、答えがただの1つだけというケースは少ないかもしれない。
しかし、国家資格の中小企業診断士としての使命を踏まえた上では、自ずと方針か絞られることも事実だ。

経営に対する監査の役割を求められているのではない。伴奏、支援とは社長だけに考えさせることでもない。対等に向き合うには、まず少なくとも、その会社の課題に対して自分なりの答えや方向性を明確に持つことが求められるだろう。

2次試験の対策。
それは事例と向き合うときは真剣勝負であること。そして、目指すべきレベルに到達するまでは泥水をすするように愚直に努力し続けること。

そうすれば本番でも与件を軽んじることや、ポエムを書くという失点につながる最大リスクをおかす可能性は、おのずと低くなるはずだ。

2次試験は上位2割に入り込むことで合格を勝ち取れるといわれている。
8割の人がやらない、やりきれないことを愚直にやりとげた人に門が開かれる試験ともいえる。

さあ今日も冷や汗をかきながら、事例の中で困っている社長と向き合おうではないか!

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