気持ちの良い書店

6/3 この日は遅めに出勤した。するといつもの出勤時にはしまっている店が開いていて何だかいつもの通勤路とかなり違って見えた。

そんな風にいつもと違う風景を眺めながら歩いていると何だか懐かしい雰囲気を漂わせた小さな書店が目に入ってきたので中に入ってみた。まだ開店まもないようで店を営んでいる老夫婦が一生懸命届いた本を荷解きして目立つところに平積みしていた。

なぜ懐かしいのか考えながら狭い店内を物色していて気付いた。そうこの店は、ヘイト本や自己啓発本を全く置いていないのだ。決してきれいな書店ではないが他の書店ではなかなか手に入らないような面白そうな本が結構置いてある。なんだか大学生協の書店や大学近くの古書店で本を探していた頃のことを思い出した。それが私を懐かしくさせた理由であることに気づいた。

きっとこの書店は、「売れれば何を売ってもよい」という考え方ではなく、読んでほしい本を売る書店なのだろう。今時東京のど真ん中にこんな書店があることに驚いた。

探していた本はなかったが、面白そうな本が他にあったのと、(ささやかではあるが)この書店を買って応援しようと思い、「安倍三代」(青木理、朝日文庫)、「ペスト」(カミュ、新潮文庫)、「感染症と文明-共生への道」(山本太郎、岩波新書)を購入した。

会計を済ませた後、書店の店主は、私が目当ての本を見つけられなかったことに気づいたのか、「欲しい本があったら取り寄せしますから」と言ってくれた。転職したらこの書店の近くを通ることもなくなるが、この書店を応援するために取り寄せをお願いしようと思っている。

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