部下の成果物に「そもそもなぜ?」と本質的な指摘をすべきでない3つの理由

現場で度々見かける「今それ言うなよー」なあるあるネタ。
重要なポイントで上司に成果物のレビューをお願いすると、上司が資料を見ながら「そもそも、どうしてこうなの?前の工程でもっとこうするべきだったのでは?」みたいな本質的な指摘をする。指摘の内容は上司が正しい。しかし部下としては「今言われても、、リリースは明日。。(とりあえず黙って承認してくれ)」

私もエンジニアリングマネージャーになり、上司役としてこのパタンに入ってしまった。
あるチームの週次振り返りに突発的に参加して「そもそも〜なぜ〜」みたいな指摘をした。現場からは「それ今考えないとダメですか?」と言われた。内心、「いやむしろ今でしょw」と思ったが、課題感が合ってないしフラッと立ち寄った上司の深堀りに効力はないので、「たしかにね。一旦保留にしよう」と言いました。

部下の成長やパフォーマンスの向上が成果に直結する上司にとって、このような指摘を受け入れられないのは大きな問題。
ではどうすればよかったのか?
これについて考えた結果、指摘のタイミングを少し変えるだけで大きな成果が得られる方法に行き着いたので紹介します。

今回の記事が、部下に何を言っても響かないと感じる方、育成する時間が足りないと感じている方のヒントになればと思います。

成果物のレビューで「なぜ」のような本質的な指摘と深堀をしてはいけない

考えた結果、行き着いは結論は以下のとおりです。
・成果物のレビューで「なぜ」のような本質的な指摘と深堀をしない
・レビューでは課題に対するリカバリの議論に徹する
・深堀りは、それだけを考える会議を関係者を集めて別途開く

「いや、上司が本質的な課題をスルーしちゃダメだろ!?」と思われるかもしれませんが、スルーすべき理由は3つある。 
・レビューの目的に合わず響かない
・レビューの会議では深掘るには時間が足りない
・レビューイ1人しか成長できない
それぞれ説明します。

レビューの目的に合わず響かない

まずレビューの目的は何か?それはプロジェクトを成功させることです。
レビューによって課題を見つけ、リカバリします。例えば成果物に考慮漏れがあったら、漏れた部分をスケジュールも加味してどうリカバリするか?をみんなで議論します。みんながソフトウェアの完成を目指して議論している場で、上司が「なぜ漏れたのか?」と過去を振り返る問いかけをしてもなかなか響きません。

レビューの会議では深堀るには時間が足りない

また仮に上司の問いかけに向き合ってくれたとしても、レビュー中に議論できるのはせいぜい15分程度なので、本質的な深堀りをするには時間がたりません。結局本質的な改善には繋がりません。

レビューイ1人しか成長できない

最後に深堀りによる成長効果ですが、レビュー時の深堀りでうまくいったとしても、成長できるのはレビューに参加している人だけです。
私の場合は3つのチームを見ていますが、おそらく1つのチームにある課題は他のチームにも同様にあります。
たとえばそれが若手特有の課題であれば、他のチームの若手にも同様の課題があります。
その課題を1チームだけいる場で議論するのはもったいないですね。それもチームごとに議論するなら会議に3回参加する必要があります。私の体は1つしかないので、チーム数が増えるほど育成の時間が増えるやり方は非効率です。

以上より、レビューで「なぜ」のような本質的な指摘と深堀をすべきではないという結論に至りました。

で、どうする?

課題を指摘しないで良いの?と思われそうですが、もちろんよくありません。見つけた課題については、別途議論の場をつくります。
そこには他のチームで同様の課題を持ってそうな人も呼びます。また、各チームには経験豊富なベテランもいるので、その方にも師匠役として出てもらいます。
このように1つの課題について多様なメンバーで議論する場を作ることにより、課題の解決だけでなく、お互いの共通理解にもつながります。結果としてレビュー時に議論するよりも濃厚な場になります。また過去の話を「あるあるネタ」のように議論すると個人攻撃にもなりにくく心理的安全にもなりやすいと思います。

まとめ

部下の成果物に「そもそもなぜ?」と本質的な指摘をすべきでない理由を述べました。
このやり方に切り替えて2週間くらいになりますが、徐々に効果も出てきました。
そちらについてはまた後日アウトプットします。
まだまだ始めたばかりの施策で試行錯誤が必要ですが、ご意見等ありましたら、いただけると幸いです。
ではまたー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?