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「最悪だ…」演劇女子部「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」を観たよ。

実は私、元演劇部で 数年だけど劇団にも所属していたので
お芝居はひとより 多めに観ている方だと思っているのだけど

この「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」ほど
後味の悪いお芝居を観たことがない。


観終わった直後に頭に浮かんだ言葉。

「最悪だ…」


それは、最高の誉め言葉としてのもの。

現に私は その日のうちにDVDを通販で注文し
翌日には この感想文を書いている。


この ミュージカル「LILIUM-リリウム 少女純潔歌劇-」(以下「リリウム」)は
2014年の作品で、モーニング娘。などハロー!プロジェクト所属アイドルにより構成されている
「演劇女子部」から、モーニング娘。'14とスマイレージの選抜メンバーにより演じられた。

つまり、もともと女性アイドルグループのファンに向けた舞台であった。

それが、彼女たちのファンのみならず
多くの(特に女性の)演劇ファンからも 支持を集めていることを知ったのは 2020年7月下旬。


2018年に、妹に見せられた
「モーニング娘。’17コンサートツアー2017秋~We are MORNING MUSUME。~工藤遥卒業スペシャル」
で、私は(40歳にして初めて)見事 モーニング娘。の虜となり
彼女らのこれまでのライヴDVDを買い漁ったり YouTube動画を見まくる日々を過ごしていた。


そんななか、彼女たちが芝居を打つ「演劇女子部」なるものの存在を知る。

前述したように、もともと演劇好きである私は、いつか見たいと思いつつ
どうしてもライヴDVDを優先してしまい「演劇女子部」関連のDVD購入は後回しにしてきた。


ところが 2020年7月、動画配信サイトU-NEXTで「リリウム」を期間限定公開するという。

U-NEXTは、他動画配信サイトと比べると 若干割高なこともあり 契約を迷っていたところ
ハロプロ関係とは一切関係ない、以前からのフォロワーさんが

「リリウム」を、この機会に是非見てほしい!!

と、熱く切望するようなツイートをしているのを目にした。

しかも、一人ではなく 3~4人ほど見かけたのだ。

「あれ、この人ハロプロ好きだったのかな…?」とプロフィール欄を改めて見に行ったが
ハロプロ好きと書いているひとは ひとりもいなかった(それも悲しい話だけれど笑)


がぜん興味が湧いて、リリウムについて検索してみると

「TRUMPシリーズ」という シリーズ化している舞台に行き当たった。


「TRUMPシリーズ」とは、2009年、大阪の小劇場で産声を上げた舞台『TRUMP』と
その続編であり、10年経ったいまも新作が上演され続けている人気作品だそうで

実は「リリウム」はこの「TRUMPシリーズ」の中の1作品だったのだ。


「TRUMPシリーズ」という言葉は、実は以前から知っていた。

なにか人気のシリーズ作品らしい…ということくらいで
それがアニメなのか漫画なのか…くらいの認識だった。

はー、演劇だったのか、とこの時初めて知った。


そして、「リリウム」の視聴を強く推していたフォロワーさんたちは
この「TRUMPシリーズ」のファンであった、ということがわかった。

演劇ファンたちが、女性アイドルの いちミュージカルをこんなに推してくれるほど
「リリウム」そして「TRUMPシリーズ」はスゴイ作品なのだと理解したら

もういてもたってもいられなくなり、私は Netflixを解約して
U-NEXTの契約を済ませた。(解約は言わなくていい情報)


以下、「リリウム」のストーリは、Wikipediaから抜粋する。

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舞台は吸血種の少女たちが療養するサナトリウム。

ある日シルベチカが失踪して友人のリリーが行方を探すが、
皆は「シルベチカなんて知らない」という。

シルベチカの存在はリリーの妄想なのか悩む中、
日ごろ単独行動しているスノウが「彼女を探さないで」という。

シルベチカ失踪の謎、そしてサナトリウムの真実が解き明かされる時、
少女たちの残酷な運命が浮かび上がっていく。

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衣装や舞台背景のデザイン、そして寄宿舎を思わせる療養所(サナトリウム)で暮らす 吸血種の少女たち。
とにかく、ザ・ゴシック!といった雰囲気が、オタク心をくすぐる。


女のコ同士の わちゃわちゃっとした かわいらしいじゃれ合いは平和そのものだが
リリーの感じる違和感により、その平和がどんどん崩れ去る様子は
観ている間、ずっと「この先どうなるんだろう…」という期待感を持たせてくれた。


そしてラストは畳みかけるような不幸、絶望。

(ネタバレは記事の最後にまとめるが)
その表現方法やセリフまわしが いちいちエグい。

思わず目を覆いたくなるような場面が(特にラストに)4回はある。

10代のアイドルたちにやらせる演目か…?と思っていまうほど。
(そこが良いところなんだけど)


主演のリリーはモーニング娘。'14から 鞘師里保。

出演者は、当時全員10代で、メインキャストは14~16歳のうえ
ほぼ演劇未経験だったり、中には今回が初舞台という子もいたそう。

ちなみに私の推し、マーガレット役の佐藤優樹ちゃんは当時15歳。(聞いてない)


この物語の中の少年少女たちも、まさに「思春期(劇中では「繭期」と表現)」の世代。

「たとえ演技力に未熟な部分があったとしても、逆にリアルに感じられて私は好き」

との感想を書かれているかたがいて、私も完全に同意した。

(私に関しては、ファンひいき目もあるのかもしれない)


ただ、脚本と演出に助けられている部分が多い、というか

(こんなことハロプロファンに言ったら怒られるかもしれないが
私もファンだから 貶し愛だと思って欲しいし、
最後に「推しメンの可愛かったところ」と題した
キモチワルイ感想文も記述するから許してあげて欲しいのだけれど)

ほとんど それに助けられていると言っていい。


ひとり、マリーゴールド役の 田村芽実さんを除いては。


彼女だけは、ダントツ実力者だった。

歌い方も音程もしっかりしていたし
セリフがきちんと感情に乗っていた。

当時15歳とは到底思えない、ミュージカル女優のポテンシャルを既に持ち合わせていた。


アイドル(スマイレージ)卒業から21歳となった現在も、ミュージカル女優として活動しているそう。

マリーゴールドがサナトリウムに入る前の前日譚「マリーゴールド」という作品も
「TRUMPシリーズ」の1つとして 2018年に公開されているそうで、ぜひ拝見したい。


本来なら、良作をたくさんのひとに見てもらうべく
プレゼンなどしたいという気持ちもあるけれど

この「リリウム」に関しては、物語のはじまりである
「TRUMP」を観てからでないと やりようがない、と感じたのと

検索すれば、「リリウム」も「TRUMPシリーズ」も
感想やプレゼン記事がまぁわんさか出てくるので(10年前から愛される作品だから当然だけれど)

いまさら私がわざわざプレゼンすることもないので

「リリウム」を観た感想にとどめておく。


【以下、ネタバレ有りの感想】


とにかくファルス役の工藤遥ちゃんが 男の子にしか見えない。

女の子が演じる男の子って、どうしてもナヨっとするものだけど
普段からサッパリした物言いではあるにしても、確実に演技力もあると感じた。

演劇女子部での活動が、のちに彼女に「女優」という道を示したのかと思うと感慨深い。


マリーゴールド役の田村芽実さんは、まさか当時15歳とは思えないほどのクオリティ。
寒くなりがちなギャグシーンも、感心するほど面白かった。

迫害されて育った少女が、存在価値を見出してくれたリリーに
異常なまでの執着を持つ様子も本当に恐ろしさを感じた。

マーガレットと親衛隊を噛んでイニシアチブをとるシーンは マジでびっくりした、
あ~やってしまった、そこまでなのか…と頭を抱えた。


リリーは本当に 鞘師にピッタリの役。

リリーの立場だったら、きっと鞘師はこうするんだろうな
という感じで、2人がうまくリンクしていた。

それだけに、最後のオチがさらに心臓をエグってくる。

鞘師を好きなほど、精神がしんどくなるシステム。


シルベチカの最後には、本当にハッとさせられた。

ただ、塀の外へ逃げていくだけだと思っていたから
ここでも私は 目を閉じて頭を抱えた。

まさか飛び降りるなんて。完全に油断していた。
しかも、ギリギリまでそれを察しがたい その演出も最高に素晴らしかった。

でも、薬が切れ 急激に老化した姿を恋人に見られたくない
だからもう一緒にはいれない、それなら死んだ方がマシ
と、14、5歳(の精神)なら思ってしまうよね…


ラストに 3段階のオチがあるなんて想像してなかったよ!

第一のオチ
リリーがファルス以外へのイニシアチブを使って 少女たちに殺し合いをさせる

優しくて清く正しいリリーが、まさかそんなことすると思わなくて
マジで一切予想できなかった。

それまでは、まぁ面白いけど 割とよくあるお話かなぁ…と思っていたんだけど
一気に物語に引き込まれた。

第二のオチ
800年の 気の遠くなるような年月を掛けて、ようやく完成しつつあった理想郷を一瞬で 完全に消滅させられて
気が狂ったように絶叫するファルス(ソフィ)が しばらくうずくまった後
「…まいっか、時間だけはあるからね」と立ち去る。

そうだったね、彼が狂ったのは「今」じゃなかった。

第三のオチ
フランダースの犬よろしく、サナトリウムの少女たちが 永遠の繭期から解放されてゆくけれど
「リリー、あなたとは一緒に行けないわ」と突き放されてしまうリリー。

え…まさか…?嫌な予感しかしない…

なんども短剣を心臓に突き刺すリリー。

なんてこと、こんな残酷な話があるかい…
まさに「最悪だ…」しか出てこなかった。


さて、以下は前述した「(ドルオタの)キモチワルイ感想文」であるから
ここでページを閉じて欲しい。(弱)※ネタバレも有り


【推しメンの可愛かったところ】

まさかまーちゃんとかえでぃが同時に出ると思ってなかったから
目が足りなかった…


マーガレットは恐らく当て書きだと思うけど、まーちゃんにしかできないというか
まーちゃんだから目を引くことができた役だなと…

「ばたんきゅう」あまりにも可愛くないですか…孫じゃん…

セリフの間の取り方が独特なんだけど、なんかクセになる…

こんなに愛くるしくて どうかしてる女の子が
マリーゴールドにイニシアチブを取られて
人を殺すよう命令されてしまうなんて、しかもその時「意識がある」なんて…

怖かっただろうなぁ…(涙)


かえでぃは研修生時代の大抜擢。
この頃からすでに動きが綺麗…。そして長髪…かわいい…

マーガレットの親衛隊で、アンサンブル的な存在だったけれど
マリーゴールドに噛まれるシーンはクレマチスが最後で
親衛隊の中では一番良い立ち位置をもらえたんじゃないかな、セリフも多めだったし。

なんなら まーちゃんより芝居上手だったもんなぁ(←


「リリウム」まだ一回しか見てなくて、細かい部分
(セリフを言ってないとことか)は見れてないので、まぁこんなところ、
初見で全員が持つ感想レベルです。

何度か繰り返し見て、また感想が増えたときには追記するかもしれないけれど

正直いま、もう一度見れるメンタルではなくて。

でも 手元には置いておきたくて、DVDは購入済なんだけど笑


とにかく、全ハロオタさんは(キャストに推しがいる方は特に)
観て損はない代物です。

まぁ、これから見るためにはDVD買わなきゃいけないのだけど…

「買ってよかった!」って思うと思いますよ、たぶん。

というところで、感想文、終わります。

ここまで読むひといるのかな…
長々とお付き合いくださり ありがとうございました。


40代主婦、職業フォトグラファー。 コスプレ撮影、アニメ・ゲームの感想、好きなアイドルのことなどの雑記がメイン。 世界一わかりやすい写真の撮り方も、すこしずつ増やしてゆきたいです。