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48.月を見上げても

ついに親友が日本から旅立っていった。大変なときいつも隣にいてくれた彼女と簡単には会えない日々が始まる。1年だけだし、彼女の夢のためだからと思ってもやっぱり寂しいなと思ってしまう自分がいる。


月はどこにいても見えるから、古来から相手を偲ぶ象徴だ。なのに私が月を見上げるくらいの時間は彼女は大学で頑張っている時間だし、彼女が月を見上げるくらいの時間は私がちょうど電車に乗って大学に向かうくらいだ。私の場合は同じ月を見ることすらできないみたいだ。


もっとこころの準備をしておけばよかった。新学期が迫っているのもあると思うけれどとてもこころの調子がよくない。

私の好きな本の中の1冊に藤崎沙織さんが著者の『ふたご』がある。この本の中では主人公が親友のアメリカ留学に際して今までの日常すべてに"最後の"と名前をつけて別れへの心の準備をするシーンがある。このシーンみたいにもっとたくさんの時間を一緒に過ごしておけばよかったなと思う。相手の準備が忙しいだろうから、とか他にも会いたい人がいるだろうし、とかバイトに行かないと、とか思わずにもっと一緒にいればよかった。それぐらい私にとって彼女の存在は大きくて。私もここで、頑張るしかないのはわかってて、彼女も頑張ってる。戦ってる。それはわかっているんだけど、どうしても少しだけ、しんどい。

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