28年ぶりの続編『ツイスターズ』の感想
ストーリー
ニューヨークで自然災害を予測して被害を防ぐ仕事をしている気象学の天才ケイトは、故郷オクラホマで史上最大規模の巨大竜巻が連続発生していることを知る。彼女は竜巻に関して悲しい過去を抱えていたが、友人ハビから必死に頼まれ、竜巻への対策のため故郷へ戻ることに。ケイトは新たに出会ったストームチェイサーのタイラーらとともに、前代未聞の計画で巨大竜巻に挑む。
監督
リー・アイザック・チョン
出演
デイジーエドガージョーンズ
グレンパウエル、アンソニーラモス
デヴィッドコレンスウェット
点数/感想 : 4点(5点満点)
あらゆる点で前作を超えている!!!
『ジュラシック・パーク』のマイケル・クライトンが脚本、『スピード』のヤン・デ・ボンが監督を務めた『ツイスター』の28年ぶりの続編。
しかし前作との繋がりはほぼない。
当初は原案としてクレジットされているジョセフ・コシンスキーが監督を務め、前作『ツイスター』でヘレン・ハントとビル・パクストンが演じたハーディング夫婦の間に生まれた娘が主役になる予定でしたが、ジョセフ・コシンスキーは直前に『トップガン マーヴェリック』でまさにそういう話を手掛けたばかりだったこともあり、途中で脚本を変更。前作とは繋がりのない独立した映画として製作されたそうです。
ジョセフ・コシンスキーは来年公開予定のブラッド・ピット主演作『F1』に集中するために監督を降板。『フリーソロ』や『ナイアド』のエリザベス・チャイ・バサルヘリィ&ジミー・チン監督夫婦や『プレデター ザ・プレイ』のダン・トラクテンバーグが監督候補として動いていたけど、最終的に白羽の矢が立ったのは『ミナリ』のリー・アイザック・チョン監督。
本作『ツイスターズ』は彼にとって初のハリウッド大作映画となりましたが、まずはリー・アイザック・チョンを監督に起用したのが大正解。本作は竜巻とそれを追うストームチェイサーたちを描いた作品ですが、真の主役は舞台となるアメリカ中西部のオクラホマ。
オクラホマは実際に竜巻の被害が非常に多い地域であり、今年2024年にも竜巻被害で死者も出ている。カウボーイ、ロデオ、牧場などアメリカの西部文化を象徴する地域である一方で、1920年代には"タルサ人種虐殺"やマーティン・スコセッシの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』などで描かれた事件などアメリカの光と闇の歴史が詰まっているこのオクラホマこそ本作の主役。
幼少期をオクラホマ州のすぐ隣に位置するアーカンソー州で育った自らの体験をもとに制作した『ミナリ』同様に本作もその土地の文化や風景、そこで生きる人々が描かれている。
今回リー・アイザック・チョンは監督に徹して、脚本は『レヴェナント 蘇えりし者』のマーク・L・スミスが担当。あの映画もフロンティア時代のアメリカ、その過酷な土地こそが主役であるかのように描かれていた映画でした。なので今回のこのタッグは凄く合ってると思います。
ともあれジョセフ・コシンスキーの原案をもとにマーク・L・スミスが脚本を書き、リー・アイザック・チョンは職人監督的に参加したとはいえ、明らかに監督の作家性が明確に刻印された映画であり、前作『ツイスター』やスティーヴン・クォーレ監督の隠れた傑作『イントゥ・ザ・ストーム』などこれまでの竜巻映画、そのどれとも違う、とてもとてもユニークな、リー・アイザック・チョンならではの竜巻映画でめちゃくちゃ面白かったです。
俳優陣も文句なし!
特にデイジー・エドガー=ジョーンズと
グレン・パウエルはますます人気に火が付くこと間違いなし!
デイジー・エドガー=ジョーンズの凛とした佇まいも美しい!細かいところで言えば彼女が着る衣装の設定やデザインが素晴らしい。衣装デザイナーのユーニス・ジェラ・リー曰く、ケイトの衣装は勇気ある女性としてリドリー・スコット監督作『テルマ&ルイーズ』のテルマとルイーズの2人を意識しており、ケイトの服の色は赤や緑、黄など知性や情熱を象徴する豊かな色合いが多い。しかし序盤の悲劇の後、トラウマを抱えながらニューヨークで孤独に生活をしているときの服の色は黒やグレーなど地味な色ばかり。そして中盤から昔のような情熱や自信を取り戻すと服の色が再び赤や緑、黄に戻る という… 上手い!!
グレン・パウエル演じるタイラーも
"生意気な目立ちたがり屋"という、昔のトム・クルーズを意識したと思われる演技と存在感。流石は次期トム・クルーズ笑
本作は2人の新たな代表作になるでしょう。
『トップガン マーヴェリック』に引き続き、古き良きアメリカ映画を現代的にアップデートし、あらゆる点で前作を余裕で超えている。
映画を見る喜び、楽しさ というのを、
改めて感じさせてくれる快作です!
あえて言うなら牛さんが飛ばなかったことが残念!笑
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