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day184 デザインに必要なのは画力でもセンスでもなく。

今日は夕方から、顔合わせを含めたデザインの打ち合わせだった。
夕食までちょうだいしての3時間。たっぷりと思いを聞くことができた。

クライアントさんはかつて印刷会社にチラシの発注をしていたのだが、全然反応がなくて困っていたという。

わたし自身、印刷屋あがりなのだが、大体の流れはこうだ。営業マンがクライアントさんのところへ赴きヒアリングをして、その内容を制作部署に持ってくる。そして更に担当者に渡されて作業する。
このときの伝言ゲームがうまくいっていないような気がする、と感じたのは、営業マンに同行して打ち合わせをしたときだった。

そして今、独立して自分でヒアリングするようになってからは、そもそもヒアリングする内容がお門違いだったのだと感じていた。
そのことを、今日の打ち合わせで確信した。

印刷営業は、ただの御用聞きではやれない仕事だ。モノ売りではなく、オーダーメイドのコトを売るのだから。印刷物は一見するとモノに思えるが、情報を伝えるという[コト]を売っているのだ。

そのために必要なのは、ヒアリングだ。
それは例えば、チラシを作成したいとクライアントさんが言ったとして、じゃあ原稿くださいということではない。
何故チラシが必要なのか?何のために?そもそもチラシは必要?という観点からアプローチする必要がある。
さらに、必要な情報だけが揃っていても、その先のお客さまには届かない。情報をちゃんと届けるためにもっとも大切なのは、クライアントさんの根底にある思いだから。

印刷営業に必要なのは、この[思いを聞き出す能力]だと思っている。もちろん、フリーランスのデザイナーにも必須のスキルだ。
そして、思いを聞き出すために重要なことがある。それは、自らのハートを開いておくこと。
思いを話したくなる相手というのは、先に思いを差し出してくれる人だから。

いいもの、いいコトをつくり出すためには自分のハートを開いて、相手の懐に入ることが不可欠だ。そう思うと、やっつけで仕事なんてできなくなる。


思いが乗らないチラシは、いくら作ろうと、制作会社を変えようと、効果は皆無だ。それどころか、不本意なところから仕事依頼がきたり、同業者に探りを入れられて嫌な思いをしたりもする。

解決策はただひとつ。
ちゃんと思いを乗せて発信する、だけ。

正直、その思いを聞き出すことができない営業マンが結構多いということを肌で感じている。
クライアントさんが話してくれないのではない、聞こうという姿勢(自らのハートを開くこと)が取れていないのだ。
思いを聞き出すことをせず、ただ原稿だけを取りに行くだけの仕事では、クライアントさんとの信頼関係を築けないどころか、成果の出ないチラシづくりに嫌気がさして離れていくのは明白だ。
思いを聞くのはいっけん雑談のように思えることだが、それが一番大切な部分。そのためにも自分のハートを開いておくことが肝心だ。

そして改めて思う。
わたしもしっかりと相手にハートを開いて誠実に向き合おう。自分の思いを言語化していくことだけが、相手に思いを語ってもらえる唯一の手段だから。

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