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day96 春の目醒め。

今年の冬は寒すぎて、とても長く感じる。
オザケンさんの『彗星』の歌詞を思わず口ずさんでしまうくらいに、今年の冬は長くて寒くて心凍えそうなのだ。

そして、そんなオザケンさんがその昔2人組だった頃の歌も同時に思い出す。

雪が解けて僕たちは春を知る
同じことただ繰り返す
喋る 笑う 恋をする
僕たちはさよならする
『すべての言葉はさよなら』より

春の歌は、いつもどこか物哀しい。
土の中から新たな芽が顔を出し始めるとき、それは同時に別れも意味する。

みんな土の中にいる時は、春のその瞬間を待つ仲間たちだったはずだ。しかし、気づいてみると持っている種子はひとりひとり違っていて、目指す場所が違うということを思い知らされるのだ。

岩手の春は、驚くほどに一瞬で鮮やかになる。
梅、桃、桜、木蓮、こぶし、福寿草、水仙、菜の花まで、みるみるうちに花が咲いていく。
冬に溜め込んでいたエネルギーが溢れ出す、美しくて力強い瞬間だ。

わたしが開業届を提出したのは2016年4月1日だった。この日の夕暮れが美しくて、ふと近くの公園に車を停めると、岩手山のちょうど真上に太陽が沈んでいった。

昨日、夕暮れ時に車を運転しながら、ふとこの景色を思い出した。

もうすぐ、4月がやってくるんだ!

うわぁ!と、謎の高揚感に包まれた。4月が来ることがそんなに嬉しいのか?と尋ねられたら、いやそこまででも、と答えるだろう。
でも、長くて寒くて心凍えそうな冬が終わり、一斉に花開く春がすぐそこまで待ち構えているのかと思うと、やはり嬉しいに決まっている。

水墨画のような世界だったり、氷がキラキラと輝く世界だったり、真っ白な世界だったりの冬が、もうすぐ終わりを迎えるのだ。
冬だってまったく嫌いな訳ではないが、春のほうがわたしは好きだなと思う。魔法使いが現れて、すべてが眠りから醒めていくような、そんな季節。

そうだ。先日、毎月のお楽しみであるリフレクソロジーサロンに行ったときだ。
毎回、その時の気持ちに合わせたアロマオイルを選んでブレンドしてもらい、さらにルームスプレーもつくっていただくのだが、今回のテーマが『春の目醒め』だったのだ!

わたしは恐らく植物や森の動物たちと一緒で、冬眠している状態な気がしていて、いよいよ春の芽吹きの匂いを感じて、目を醒ます時が来たのだと気づいたのかもしれない。

自分だけの種子を芽吹かせる。隣の人や、遠くの誰かと比べなくていいよ。わたしはわたしの花を咲かせるために、土の中で養分を吸収してきたのだから。

ちなみに、いつもお世話になっている、リフレクソロジーサロンの名前は『スプラウト』さん。出来すぎか。

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