CKDG3bA3患者における高カリウム血症治療薬とマグミット併用による効果減弱疑いの症例

とある腎臓内科通院中の腎不全CKDG3bA3患者さん。
腎不全による高カリウム血症のため、カリウム摂取制限あり。そのため野菜や果物を摂りにくく、水分摂取と排尿量のコントロールも困難なため便秘悪化しやすい状況。
糸球体濾過量低下により原尿量は減少するが、尿細管からの水の再吸収も低下し、尿の濃縮力も低下していると尿量は多くなる。
腎不全だからといって必ずしも尿量が少ないとはかぎらない。
この患者さんは透明に近い尿が約2500~3000cc/日は出ていた。
おそらく集合管での尿濃縮機能低下が進展しているためだと考えている。
さらに便秘悪化され、ご本人の希望もあり大腸ファイバーをする事になったのだが、ちょうどそのタイミングで腰痛悪化。結局大腸ファイバーは延期。腎臓内科からの紹介ではなく、ご本人の判断で過去に受診歴のある病院の消化器内科受診されたので、もちろん腎臓内科ドクターはその旨ご存知ない・・・
なので~トレーシングレポートにて大腸ファイバーの日程を予め情報提供していたのですけどね。
大腸ファイバーは中止になったものの、検査予定の消化器内科から薬は処方されており、その旨とその併用による腎臓内科処方薬への影響を情報提供する事に・・・
でもって~
ケイキサレートを分3で処方されていたのですが、実際は分2服用も多かった事が、残薬整理で判明。って事は分2に減量できそうだ。
しかも~ 
尿蛋白が上昇し1ヶ月前からACEが再投与(過去処方されていたがカリウム値上昇のため中止)
再投与1ヵ月後もカリウム値3.4と低いため、これならケイキサレート分3→分2への減量を提案できる!いやすべき案件!
ただ、問題は、消化器内科から処方されたマグミット500mg
腎不全のため高Mg血症リスクありなので、マグミット500mg1錠/日服用までにしたい。1000mg/日以上になると、eGFR40未満の場合、血中Mg濃度2.6mg/dl超えるリスクが高くなるからだ(経験上です)
そして・・・ここからが本題。すみません!前置き長くて・・・
ケイキサレートの陽イオンとの親和性がCa>Mg>K>Naの順に大きい。
って事は・・・マグミット服用していると、下部結腸でのカリウムイオンとの交換に影響があるわけだ!しかも服用間隔をあけても、Mgは腸管内に24時間ほど留まっている可能性がある事を鑑みると・・・
マグミット500mgの服用はできるだけさけるべき。でないとカリウム値が下がりにくくなり、ACEの影響もあってさらにカリウム上昇してしまうリスクが高くなってしまう。
う~ん・・・悩ましい。
まずは、低カリウムであったのは事実。なのでいったんはケイキサレートを分2に減量し、その後の経過で再び分3にするかを検討すべきかなぁと。
では~直近の検査データ(ACE再投与1ヶ月後)はどうだったのか・・・
Hb11.1 K3.4 Ca8.8 P3.4 eGFR34 ALb4.2
尿蛋白クレアチニン比3.31 尿比重1.005未満(正常1.010~1.025)
やはり、尿比重低いので尿濃縮機能が低下してるなぁと想像できる。
尿蛋白高値なので、高カリウムにならない限りACEは継続したい。
*検査データは参考値です。
では、実際のトレーシングレポートです~

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