CKDG3b以降患者さんのAKI(急性腎障害)鑑みトレーシングレポートを活用した症例

今回も結局・・・
腎疾患関連になってしまいました~ どうしても腎臓愛がとまらなくて・・・
健気な腎臓が愛おしくて~
毎日毎日この瞬間も腎臓は頑張っている。
1L/minの血液が腎臓を通って~ 
1500L/日の血液を腎臓は濾過して、150L/日の原尿(糸球体で濾過された)を作る。そしてその原尿の99%を再吸収している。
この無駄とも思えるお仕事・・・ すごくないですか!
体液の恒常性を保てるのは、この一見無駄とも思えるような腎臓の繊細なお仕事あってこそ。
食事が摂れなかったり、下痢したり吐いたり、発汗量が多かったり、ケガで出血量が多かったり・・・ 
そんな時に頑張ってくれる優しくて頼もしい腎臓。
またまた前置きが長くて・・・ すみません。
まぁ~ 想像してみて下さい。その健気な腎臓のお仕事を。
愛おしくて守ってあげたくなりますから・・・
ってな事で、今回の患者さんですが~
先日、Twitterでも投稿させていただいた方なんですよねぇ~
とある腎専門病院の薬剤師さんとこの件でリアルに繋がって、とても感激したという件です。(お薬手帳にお礼のお言葉が書かれていたので、嬉しくてそれをコピーしてお財布に忍ばせてお守りにしてます)
もともとは、とある医療センターの腎臓内科に通院されていた患者さん。
担当ドクターとの関係が上手く築けず・・・
ある時その担当ドクターから「別の病院に変わってくれ」と言われて、今の腎臓専門病院を勧めて転院。
転院後は、処方内容も変わり、ドクターともちゃんと話すことができ、患者さんも喜んでいらしてCKDステージも安定していたのだけど・・・
この嫌な季節到来で・・・ 起こってしまった。
職場が変わった事で、ちょっと安心してしまっていた。以前は火を扱うお仕事だったので、尋常ではない発汗量だったから、季節関係なく普段から経口補水液を摂取するようお伝えしていた。
おそらくその結果、AKI(急性腎障害)起こさずすんでいたのだと思っている。
転院する前には、すでに転職され、火を扱う事はなくなり・・・ 
以前と比べると発汗量は減少・・・のはずだった。だけど、身体を使うお仕事ではあったので、それなりに発汗量はあったわけで・・・
もっとそこに注意しておくべきだった。
たった2ヶ月、おそらくこの短期間で糸球体濾過量は半分以下になってしまっていた。ホントはそうならないような指導を前もってもっとしておくべきだった。たまたま、受診予約がAKI発症すぐだったから良かっただけだ・・・
今回のこの件で、トレーシングレポートを提出したのは、AKI発症後すぐに入院できず(コロナ禍の影響もあり)、自宅療養となった為、その間の急変に気づいたらすぐにでも受診する事を前提に、少しでも急変を防ぐための薬局としての対応を報告すべきと思ったから。
その後、その腎臓専門病院ドクターからは、トレーシングレポートでの情報提供後、診療情報提供書を頂いてお礼のお言葉も頂いたのだけど・・・
実は、反省していた。
そのAKI発症を防ぐ事ができたはずだと・・・
私のお仕事はそれなのに・・・ 
患者さんにも申し訳なく思っている。
だから、そのAKI発症後そのままCKDが増悪して透析に至る日が近づかないように、なんとかしたかった。その自宅療養期間中、トレーシングレポートで報告した通り、まずは経口補水液を摂って頂いて、起床時と就寝前の血圧を確認し、血圧が上昇しないなら早急に受診して頂くつもりでいた。
経過は良好だった。約1週間後にはもとの糸球体濾過量に戻っていた。
ホントに良かった。循環血漿量が低下して一時的な腎虚血になった事が原因だったからと考える。発症後もっと時間が経過していたら、糸球体そのものや尿細管までもっと損傷して、機能低下が進行してしまっていたはず。
だけど・・・
入院は回避できて、無事に仕事にも復帰できた。でも・・・
仕事再開後すぐに、再び血圧低下してしまった。
これはやばい!経口補水液も職場で飲んでいたのだけど、それでも・・・
って事で、再度トレーシングレポートで情報提供する事に。
もう二度とAKI発症させたくないから!
って事で~
この患者さんの腎臓内科からの処方内容ですが~
ARB、カルシウムブロッカー、フェブリク、PPI、コメリアンコーワ等です。
eGFRcreat30~35(AKI発症時は約50%低下) 尿蛋白クレアチニン比0.1~0.25
自宅療養中の起床時、就寝前の収縮期血圧は130~145mmHg
仕事再開当日の起床時血圧145mmHg
日中の水分補給は約1500cc(経口補水液や水など)だったが、発汗量が多く尿も減って、帰宅後しんどくなり血圧測ると収縮期血圧は105mmHg
そのため、ご本人は夕服用の降圧剤を予定通り服用すべきかどうか不安になり、薬局に連絡(診察は終了している時間)
実際どういった対応したのかをトレーシングレポートにて報告したのですが・・・ さぁ~考えてみて下さい。患者さんにその電話でなんと答えますか?
朝にARB、夕にカルシウムブロッカー投与。
夕の服用タイミングで収縮期血圧が110mmHg未満だったわけですから~
まずここがポイントですよね。このnoteでも度々書いておりますが・・・
「エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018」では~
全てのCKDステージにおいて収縮期血圧110mmHg未満には降圧しないよう提案している。
一過性に血圧上昇したとしても収縮期血圧が160mmHg程度だとしたらその場ですぐに倒れるリスクは少ないが、一過性にでも低血圧となってしまったら、AKI発症リスクが高くなるし、転倒リスクも高くなって、その場でも緊急的な何かが起こって救急搬送って事もありえるって考える。
だとしたら~
夕のカルシウムブロッカーはさらなる過降圧をさけるためスキップすべきですよね。尚且つ、夜間にさらに血圧低下してAKI発症とならないために、経口補水液を少しづつ少しづつ飲んでもらうべき。もし翌朝に血圧上昇したとしても、AKI発症を予防する事の方が優先。
カルシウムブロッカーをスキップし、経口補水液を飲んだ結果の翌朝の起床時血圧を確認し、朝服用のARBをどうするか・・・
起床時血圧が145mmHgで、日中に水分補給(経口補水や水)をしていても帰宅したら収縮期血圧105mmHgまで低下したので、145mmHg未満ならARBスキップしないとAKI発症リスクを高めてしまうって考える。
でもって~

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