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『トキ色ってどんな色?大空を飛ばないと分からない色を楽しむ日本人の心。』



日本には古来から使われて来た
“色の名前”が数え切れないほど沢山あります。

『鴇色(トキ色)』も
かつて使われていた色の名前の一つです。

『鴇(トキ)』
学名 “ Nipponia Nippon ”。

『鴇色』と言うのは…
大空を飛ぶ時にしか見せない
『風切羽』の色を指します。

『鴇』がケージの中で
羽を休めている時には見られない色。

柔らかで、たおやかな色ですが、
『風切羽』の色と聞くと…
『鴇』が大空を静かに舞う風景まで
目に浮かんで来るようです。

日本に昔から沢山の色の名前があったのには
訳があります。

雪が良く降る地方に
多くの雪の種類の名前があるように…
アラビア語に
ラクダを表す言葉が無数にあるように…

日本人は昔から
季節とともに移り変わる花や木の葉、
空や雲や海や川や湖の色
飛来して来る渡り鳥の羽の色…
様々な色を敏感にとらえ、
心を動かされて来たのだと思います。

森羅万象の移り変わりを感じる目と心があり、
それを和歌に詠んだり
花を摘んで家に飾って愛でたり
屏風や襖絵にしたり
着物の色として染め抜いたり…

そうやって
暮らしの中に季節の移り変わりを取り入れて
様々な形で楽しんで来ました。

ところが、
最近は暮らしの景色が変わってしまいました。
街中では
飛んでいる野鳥の数も限られ、
木々の緑も限られ…

どんどん身の回りの色が減って行ったのです。
それにつれ、
素敵な色の名前を使う頻度は低くなり
忘れられてしまった色の名前すらあります。

子供たちも
絵を描く時に使うのは
セットになった12色や24色だけ。

色は
もっともっと自由なのに…
感じる心の数だけ存在するのに…




私の好きな本に
『色の名前』と言う本があります。

お誕生日にお友達から貰った大切な本です。

この本には、誰でも知っている色から…

マニアックな色まで無数の色が
綺麗な写真とともに解説付きで載っています。

風情ある色の名前から
その名前が生まれた所以を想像して
昔の日本の人の暮らしに想いを馳せたり…

リビングのテーブルに置いて
いつでも手に取れるようにして
時間があると
ぼーっと眺めています。

時には窓の外景色に目を移し、
『綿アメ色の雲』とか
『天使が舞い降りる空の色』とか
勝手に色の名前を付けて遊ぶのも楽しい時間です。

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