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文豪缶詰プランでガチ執筆してきた件

 毎月コラム執筆が9~11本、今は新刊の執筆も抱えている私に、友達のめぐたんが勧めてくれた「文豪缶詰プラン」。センスのいい友達のお勧めは「はい」か「喜んで」の二択しかないでしょう! ということで参加してみたら、原稿が進んだだけでなく、楽しさ、笑い、発見、学びがあったよ。「都内で缶詰」という投稿を見て「もしかして陽性!?」と心配してくれた友達もいたので、感動冷めやらぬうちに缶詰プランについて記しておこうと思う。

文豪缶詰プランとは

 文京区にある「鳳明館」という旅館で不定期に企画されていた宿泊プランのことである。風情ある昔ながらの旅館で誰でも「カンヅメにされる文豪の気分」を味わえる、大人のエンターテイメントと言えるだろう。

 なんでも文京区のあの辺りは、昔は旅館がたくさんあって、文豪が本当にカンヅメにされていたこともあるそうだ。「戸締りをお忘れなきやう」って、すごいなぁ。本当に歴史があるんだね。

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 このプランに申し込むとチェックアウトまでは外出ができない。食事は自分で持ち込むか、出前をとるか、編集チームの皆さんにお願いするかの三択(朝ごはんは、オプションでつけることができる)。

 編集さん役の人から「進捗コール」で催促をしてもらいながら、ひたすら原稿を書くという体験ができるのだ。なんだかワクワクしない?そうでなくとも、普段からホテルで自主カンヅメをよくやる私である。早速申し込んでみることにしたのだが……。

人気過ぎてキャンセル待ち

 そうだよねぇ、広告なんて打たなくても、こんな面白いプラン絶対すぐにうまるよね。申し込みしようとしたときには満席で、キャンセル待ちをしてみることにした。そんなある日、届いたメールがコレ。

「お世話になっております。鳳明出版の鈴木です。原稿の調子はいかがでしょうか?このたびは缶詰をご了承いただいたというのにお部屋のご用意ができず申し訳ございません。昨夜緊急事態宣言が出ましたが、現状、旅館ホテルへの休業要請は出ていないため、直接の指導や休業要請の追加等が出ない限りは、実施する予定です」

「キャンセルも出ておりますので、随時順番にご案内させていただいております。もちろんこのような状況ですので、先生方が執筆に集中できない状態になるのは本意ではありません。『やっぱりちょっと…』という場合は、案内をお送りした際に、遠慮なくご辞退ください。引き続き、何卒宜しくお願いいたします。」

 きゃー!!!! ワクワクしてきたー。

無事に参加できました!

 昔から運だけはいい私(男運を除く)。おかげさまでキャンセル待ちから滑り込むことができた。外から見た旅館は古くてドキドキしたけれど、手入れが行き届いた建物内は趣があって、めっちゃ素敵!

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 あまりの心地良さに、緑を眺めつつ、持ち込んだお手製の弁当を早弁。なんだろう、おばあちゃんの家に来たような、この落ち着く感じは。畳の上でうっかりうたた寝をしてしまった。

 たぶん30分ほど夢の世界を堪能。

 いかんいかん!と目を覚まし、執筆に取り組んだ。そう、遅れに遅れている新刊の原稿を一気に書き上げるのが目的だったんだよね。

 街の雰囲気のせいか、家事に逃げることができないせいか、原稿はトントンと進む。あー、疲れた、ちょっとお休みしようかな。ふたたび畳にゴロンとしていると、部屋の電話がなった。

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 リリン、リリン。

 久しぶりに聞いたベルの音。感慨深くて、すぐには出れなかったよー!

「先生、原稿の進捗はいかがですか?」

「お、おかげさまで順調です。絶好調です」

 今、また寝そうになってましたとは、さすがに言えず、慌てて執筆に戻ったよ。すごいな進捗コール。

 ちなみに進捗コールは「優しめ」と「厳しめ」が選べるので、厳しいのが苦手な人も大丈夫。私は迷わず「厳しめ」を選んだけれど。

生涯初の「見張られる体験」

 私はオプションで「見張られ体験」もお願いした。なんとなく視線を感じて、窓の外を見下ろすと……

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 編集さんが見張っていて「窓からお出かけですか」「原稿をいただけると信じています」などと書いてあるフリップを見せてくれる(笑

 「信じています」というフリップを持ちながら、ぜんぜん信じていない感じが最高にシュールである。面白いなー、このプラン!!

ひたすら書いて寝落ち

 出かけられないし、お酒はこんな時期なのでNGだ。なので編集部に電話して、クリームソーダを持ってきてもらった。

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 見よ、この昭和色のクリームソーダを!身体に悪そうなこの色が、なんともいえないノスタルジックな雰囲気を醸し出してるよね。

 やることがないので、ひたすら書く。進捗コールにびくびくしながら書いたおかげで、筆が進み、無事に目標にしていたところまでは書き終えて寝落ちした。

目覚めて爆笑した理由

 朝トイレに行こうと部屋の扉をあけると、こんなものが(笑

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 もうね、こんなに構っていただいて、おもてなし精神に脱帽だなと。すごいなぁ。ちなみに、文豪缶詰プランは株式会社八十介という会社の皆さんが企画運営しているらしい。一気にファンになっちゃった!

 絶対リピートしよう!そうだ、今日次の予約を入れていこう!!と検索したら……。なんと、鳳明館は5月末日で休館になってしまうのだそう(涙)

 → 株式会社八十介さんの鳳明館休館に関するnote記事はこちら

 うそー、めっちゃショック!!!いつの間にか、あの不自由な古い旅館が大好きになってしまっていたようで、涙が出そうになったぞ。ドキドキしたり、笑ったり、泣きそうになったり、なんだか忙しい一泊二日である。感情のふり幅すごいな。すごいな、八十介。

友人めぐたんの感想

 喜んでカンヅメの様子をSNSに投稿していた私に、このプランを勧めてくれためぐたんが感想をくれた。私は彼女の感性と言語化能力が大好きなので、本人に無断で紹介しておこうと思う。

「大人が本気でふざける姿って美しいですね。
 私も編集者の役やりたかった(笑)

 尚弓さんのレポ読んで思いました。
 新しくて綺麗なホテルやお宿はいくらでもあるけど、ここって唯一無二だ な、と。どうせ うち古いしって諦めるんじゃなく、何かうちって昭和の文豪が泊まって執筆してたっぽくないですか?みたいなところからの遊び心と悪ノリ。(勝手な想像です)

 掃除(手入れ)が行き届いていて、面白く、他と違う個性や売りがあれ ば、古くてもキャンセル待ちになるくらい需要ありなんだなーと、お宿に人間を重ねてしまいました」

まさに!!!気持ちを代弁してくれて、ありがとう!!!アンテナの高いめぐたんのお陰で鳳明館に、そして鳳明出版編集部(八十介の皆さん)に出会えたんだよね。持つべきものは友。

鳳明館と鳳明出版に恋をして

 窓から見える木、趣のある建物、俗世から遮断されたような落ち着いた空間。気がついたら鳳明館が大好きになってしまっていた。なんで今までご縁がなかったんだろう。5月末日までは、営業しているので、今度はyogiboを持ち込み、会社の人に進捗コールをしてもらいながら執筆しようと決めた。畳で書き続けるって、ちょっと身体が辛いからね。

 そして鳳明出版編集部、つまり八十介の皆さん。大好きです。追いかけるので、また面白いイベントをやってください。少なくもカンヅメプランをやるときは、絶対参加します!

そして原稿の進捗について

 遅れに遅れている本のリアル編集さんが、もしかしてこの投稿を目にするかも知れないので、原稿のことについても書いておこうと思う。

 Nさん、本当にすみません。でも5章はバッチリ書きあがりました。6章のアウトラインもできたので、もう少しです。なんか降りてきたので、気に入っていただけると思います!たぶん。

 コラムの方の担当編集さんも、見てたらすみません。この記事は数分で書きました。アップしたら、すぐコラムの続きを書いて送るので締切には間に合います。大丈夫です!

 ご心配をおかけしているリアル編集の皆さん、すみません m(_ _)m でも、今回のカンヅメで私は多くのことを学びました。エンタメと本物の力が融合すると、ものすごいコンテンツになることもわかりました。引き続きアカデミックな方の探求も、読み物としての面白さの方も、頑張ろうと決意を新たにした次第です。

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 そして最後に。

 この一枚は、私の宝物。心の中には、これからいつも鳳明出版の編集さんたちがいる。ついつい怠ける自分を励ましながら、書くというお仕事を楽しく、ドキドキしながら、続けていこうと思う。

 関係者の皆様、本当にありがとうございました。

ワインとコーヒーを燃料にして生きています。「一杯ご馳走してあげてもいいかな」と思ってくれたら嬉しい。大好きなコーヒー豆もしくはワインを購入する費用に充てて、また元気に執筆します♡