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洋裁屋さんの世話になり。

このところ、衣類は通販で買っている。あれこれ
探していれば、いろんな店があるもので、
目に留まり、好さげではないですかと思ったら、
ぽちっとしているのだった。
いちど、踊る大捜査線の青島コートを注文したら、
ネットの広告とはうらはらなまがい物が届いたことが
ある。我慢して着ようかと思ったものの、
なんとも気持ちがすっきりせずに、いちども着ない
まま処分して、あらためて正規の商品を購入した。
以来、買い物をするときは、よくよく慎重に選んで
いる。質の良いTシャツやトレーナーを手頃な価格で
売っていたり、ひとつひとつ手づくりの草木染めの
シャツやパンツを売っていたり、春秋用の薄手の
コートに、冬用の厚手のコートの、値段のわりに
見栄えの良い品を扱っている店を見つけては利用
させていただいている。
昨年の秋の終わりに、黒いコートを購入した。
なによりありがたかったのは、蕎麦屋や飲み屋に着て
行くと、けっこう店のかたに、おしゃれですねと
褒めていただけることだった。
男やもめのしょぼいおっさんは、褒められるたびに
好い買い物をしたと喜んでいる。
ところがひとつ困ったことが出た。ボタンの縫い付けが
甘かったのか、何度かはめたりはずしたりをしていたら、
糸がほつれて取れそうになってしまったのだった。
母の使っていた裁縫箱があるものの、昔から裁縫は
やったためしがない。子供の時の家庭科の宿題も、毎回
母に頼んでいた。ぞうきんや鍋敷き、あんまり
きれいに縫ってあるから、先生も母の手を借りたのは
お見通しだった。
さて、どうしたものかと思案をしたらひらめいた。
毎日ノルディックウォーキングをしている。その日の気分で
南北東西コースを決めて歩いている。
北のコースを歩いて行くときに、
長野高校の正門の前を過ぎていった先に、
洋裁屋が在ったのだった。
入口に「hicao お直しリメイク」と描かれた小さな看板が
出ていて、いつも通り過ぎるときに眺めていた。
パソコンを開いて検索したら、ホームページが引っ掛かった。
営んでいる女性は、洋裁教室を開いていたり、自身で作った
洋服を販売しているかたで、素敵な作品がアップされている。
メールを打って、ボタンの縫い付けをお願いしたら、
快く引き受けていただいて、
その日の夕方、コートを持っておじゃました。
せっかくのご縁、ボタンの縫い付けだけで終わらせるのは
もったいない。色は黒、生地は綿か綿麻で。
上着とパンツを作ってもらうことにした。
出来上がりは春のはじめくらいかなあ。
今から楽しみなことだった。

新しき衣拵えこの春を。.







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