見出し画像

横浜で。

横浜へ出かけた。
関内駅の改札を出て飲食店の並ぶ細い路地を抜けて行く。
大きな通りに出たら、山下町からブティックの立ち並ぶ
元町の通りを行く。
大学時代の四年間を横浜で過ごしていた。
休みになると、下宿の在った南区から地下鉄で関内まで
来て、伊勢佐木町や山下公園や元町あたりを散策していた。
元町のおしゃれな町の雰囲気と行き交うおしゃれな人々に、
貧乏学生の身には、身分ちがいのところと感じていた。
通り沿いに、ワインの卸業者、ピーロートジャパンの
アンテナショップが在った。
ひと休みにと扉を開けたら、ボジョレーヌーヴォーと
書かれた樽が目に留まった。そうだった、本日は
ボジョレーの解禁日と思い出し、フライドポテトをつまみに
二杯いただいた。
会計のときに、スタッフのかたにお釣りは取っておいて
くださいと言ったら、名刺に、次回ワイン一杯サービスと
書いて手渡してくれた。
ピーロートの押川さん、好いかたです。
店を出て坂道を上がり、久しぶりに外人墓地のまわりを
歩いた。学生のときから、この界隈の落ちついた風情が
好きだった。坂道を下って行くと、ホテルニューグランドの
通りがイチョウ並木に彩られている。山下公園から中華街へ
行くと、観光客でごった返していて、いたるところで
肉まんや餃子を立ち食いしている人がいる。
人混みを縫って行き、横浜スタジアム前のホテル東横インに
チェックインをした。
荷物を置いて、スタジアムの前を通っていくと、
地元長野出身の四番打者、牧秀悟のイラストがでかでか
掲げられていた。
頑張れ牧。来シーズンも応援するぞ。
関内駅そばのおでん屋、文次郎の暖簾をくぐると、
開店早々の店内は先客がふたり。カウンターの端に
落ちついて、まずはビールでひと息つく。
文次郎には、六月に横浜に来たときに初めておじゃました。
ご主人とスタッフの客あしらいが好く、酒の揃えも好い。
長野の酒を置いてあるのも嬉しいことだった。
品書きを見たら、長野の夜明け前があり、
おでん五種盛りと一緒に注文した。
ご主人とカウンター越しに言葉を交わせば、以前、
長野の酒蔵の千野さんの銘柄、幻舞の酒の会をやらせて
いただいたという。以来、幻舞は常備置いてあるというの
だった。品揃えを見たら、なんと純米から大吟醸まで
四種類も有った。
素晴らしい。千野さん夫妻には、日ごろ親しくさせて
いただいている。
速やかにグラスに注いでもらったのだった。

故郷の酒を五杯やおでん食う。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?