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秋の休日に。

朝晩の寒さが増してきて、持病の腰痛がなかなか
きびしい。腰の左側から左足の太ももと膝にかけて
痛みがある。日頃、整骨院を営む友だちの世話になって
いる。休日の朝いちばんに出かけて、お灸をしてもらい、
電気を当ててもらい、いつもより念入りにマッサージを
してもらった。治療を終えたらその足で、長野市上松
五丁目の昌禅寺へと向かう。
境内の紅葉が見事な古刹で、秋になると、色づきはじめ
の頃から、境内が落ち葉に埋まるまで、たびたび足を
運んでいたのだった。この日はやけに湿気のつよい日で、
十一月だというのに、歩いていると体が汗ばんでくる。
おまけに気圧が低いのか、少し頭がくらくらする。
季節外れのおかしな陽気に、体がついていけない歳に
なっている。境内の紅葉は、今年はあまり赤みが
きれいじゃなかった。
この夏の酷暑が紅葉にも影響したかとうかがえた。
境内を出ていちど自宅に戻ってから、おおきな通りを
南に下る。知り合いの陶芸家、山中恵介さんが、
ちいさなギャラリーで作品展を開いていたのだった。
このかたの作る器は、白地に青い模様が特徴で、
簡素で柔らかな印象が好い。この日はやや小ぶりの、
青い縞模様の湯飲み茶わんを買わせて頂いた。
湯飲み茶わんでもお茶を飲むことはない。
もっぱら茶碗酒に使うのだった。自宅に戻って、
久しぶりに善光寺仲見世の通りに在る、蕎麦屋の
丸清さんにおじゃました。今年は平日週末に関わらず、
観光客の数が多い。界隈の蕎麦屋に至っては、
開店前から行列が出来てる日もあるから、十一時の
開店早々に伺った。席に座って長芋の味噌漬けで
エビスを飲んでいたら、ご主人が、蟹食べる?
と声をかけてきてくれた。この日は香箱蟹の
解禁日で、先ほど入荷したばかりという。
蕎麦屋でかにを食べられるなんて思ってもみなかった。
そもそも蟹を食べるのはいつ以来だ?
遠慮なく頂だいすることにした。程なく茹でたての
見事な蟹が目の前に置かれ、日本酒を酌みながら、
新鮮な身をほぐしほぐし味わった。
整骨院で体をほぐしてもらい血の巡りが良くなった
から、酔いのまわりが早い。お銚子二本空にして、
新蕎麦で締めて、自宅に戻って速やかに昼寝を
決めこんだのだった。

新蕎麦やお銚子二本空けてから。

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