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一月の終わりに。

毎日、仕事を終えた夕方、町をひとまわり
ノルディックウォーキングをしている。
ここ最近の冷え込みの厳しさに負けて、しばらく
さぼっていた。一月さいごの休日、朝の冷え込みが
穏やかだったので、ジャージに着替えてコートを着て
歩きに出た。
善光寺の西側、横沢町から箱清水から上松へ、車の
通らない旧道を抜けていく。
湯谷団地の坂道を上がって行ったら、久しぶりの
運動に、太ももが張って腰が痛くなってくる。
さぼったつけが,ちゃんと体に出てくるのだった。
坂を上がって下りた先に、曹洞宗の古刹の昌禅寺が
在る。爽やかな初夏の新緑や、鮮やかな秋の紅葉の頃、
写真を撮りに何度か足を運んでいる。
冬に雪が積もると、白く清潔な景色がまた好くて、
この冬も撮ろうと思っていたのに、長野の町は、
先日ちょっと降っただけだった。
立ち寄ってみたら、案の定、境内に申しわけ程度に
残っていてさびしい。
帰り道、すき家に寄ったら、年配のおじいさんたちが、
カウンターに並んで座っている。チェーン店の牛丼屋で、
背中丸めてご飯を食べているさまは、眺めていると,
なんとも哀愁が漂っている。
しょぼい我が身も交ぜてもらい、ビールを飲みながら
牛カレーを頂戴した。自宅に戻って着替えたら、近所の
銀行でお金の相談ごとをする。これでもう本日の予定は
すべて終了。
さて、蕎麦屋の昼酒にはまだ間がある。銀行の隣の
うみなつ珈琲におじゃまして時間をつぶすことにした。
こちらの店は二年前の六月に開店した。
開店したばかりの頃は、ときどき足を運んでいたのに、
昨年はいちども訪ねていなかった。店に入ったら
ご主人が顔を覚えていてくれて、恐縮してしまった。
酸味のある薫り高いコーヒーを味わったのだった。
馴染みの和菓子屋、喜世栄に寄って、
女将さんお薦めの菓子を包んでもらい、今年初めての、
かんだたの暖簾をくぐる。
ご主人に菓子を渡しながら、遅ればせながらの新年の
挨拶をして、カウンターに落ちついた。休日になれば、
蕎麦屋の昼酒、飲み屋の夜酒、変わりばえなく酔っ払って
いる。変わりのない暮らしがありがたいと
思い知らされた一月が、あっという間に終わるのだった。

哀惜の思い一月能登の海。


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