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カメラが壊れて。

休日、カメラを持ち歩いている。
好きな町の蕎麦屋で昼酒をたしなんだあと、あてもなく
うろうろしては、目に留まった景色を
撮っているのだった。おなじく写真を撮っている
友だちがいる。カメラに精通しているかたで、
わからないことがあったときは、師匠教えてくださいと、
頼りにしている。
四季おりおり、遠くまで足を延ばして、桜や
花火や蛍、紅葉に満天の星を、ときには早朝から、
ときには夜から明け方にかけて、寒暖の天気に耐えて、
粘り強く撮っている。素敵な作品を拝むたびに、
その根気に感心しているのだった。
我が身といえば、どんなに景色が好くても、
車じゃないと行けないところは、
昼酒ができないから行かない。夜になれば、
どんな景色よりも、馴染みの飲み屋のカウンターが恋しい。
ものぐさな身は、歩いて動ける範囲だけで、
もっぱら撮っている。
フジフイルムのカメラを3台持っていて、その日の気分で
使い分けている。
先日、その中の1台をぶら下げて出かけた折りに、
スイッチを入れたら、ファインダーが真っ白になり、
何も見えなくなった。
壊れてしまったのだった。落ち込んだ気分の帰り道、
ヤマモトカメラに寄って、修理をお願いしたところ、
先日、ご主人から電話があった。
カメラをフジフイルムに送ったところ、
修理代の見積もりが届いたという。
まことに申し上げづらいんですが、
七万七千円かかります。どうしましょう?と言われ、
マジっすか!と大声をあげてしまった。
カメラを分解したところ、ファインダーの他にも
不具合が散見され、中身を全部取り換えなければ
いけないという。
こんなに高い修理代、うちでも初めてですと言われ、
あまりの金額にぶっ倒れそうになった。
新品のレンズが2本買えるではないか・・・
どうしましょうと言われても、初めて買った
高級カメラで、5年も使っていれば愛着有って
おしゃかにするのは忍びない。
砂嵐吹きすさぶサハラ砂漠で使ったわけでもなく、
湿度濃厚なアマゾンの熱帯雨林で使ったわけでもなく、
凍てつく極寒のシベリアで使ったわけでもない。
ごくごく身近な景色を撮っていただけだった。
なんでそんなに重症になるかなあ。
さっぱりわけがわからないのだった。
壊れただけでもショックだったのに、さらにとどめを
刺され、予想外の出費にへこんでいるのだった。

風鈴の音色悲しや大出費。





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