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ウイスキーのある暮らし。

ときどき寝酒にウイスキーを飲んでいる。
晩酌で日本酒に酔ったあと、あるいは
馴染みの飲み屋から帰宅して、ひと風呂浴びたあと、
チョコやナッツをつまみに二、三杯、ショットグラスか
氷を入れたロックグラスでなめている。
冬の寒さが増してきたらお湯割りも好い。
体が暖まってよく眠れるのだった。っていうか、
お湯割りの前に十分酔っているから、飲まなくても
よく寝ているんだが。
気に入りだったのは、メルシャンが長野県の
軽井沢蒸留所で造っていた、その名も軽井沢の12年だった。
残念ながら二十年ほど前に、蒸留をやめてしまったのだった。
その後好んでいたのは、サントリーの白州の10年と、
響の12年だった。ところがちょっと前に、
日本のウイスキーが海外で恐ろしいほど人気になって、
酒屋の店頭から消えてしまった。そのあたりから
自宅で飲む回数もなんとなく減っている。
十一年前の新緑の頃、友だち夫婦と連れ立って、
山梨に在る白州蒸留所を訪ねたことがある。
森の中の爽やかな空気は、そのまま白州の味わいに
つながっているのを実感した。
酒屋の峯村くんに,ニッカウイスキーの宮城峡蒸留所へ
連れて行ってもらった。
仙台市街から山の中を進んでいくと、
秋の終わりの冷涼な空気の中、レンガの建物が見えた。
広い敷地に入っていくと、
赤い上着のおしゃれなおじさんが、駐車場へ誘導してくれる。
蒸留所が出来たのは、1969年。
北海道の余市につづく二番目の蒸留所で、
余市とは、味の異なるウイスキーを造っている。
ウイスキーの仕込みには、すぐそばの新川の水を
使っているといい、この水の良さが蒸留所建設の
決め手になった。貯蔵樽の製造場に、
ウイスキーに風味を出すために
樽の内部を焼いている現場を見せてもらい、
貯蔵庫に行くと、薄暗い倉庫の中に樽がずらっと
並んでいる。さまざまな樽のウイスキーを、
優秀なブレンダーさんが掛け合わせて、
世に送り出しているのだった。
敷地の中を歩いていると、まわりの木々の自然と
レンガ造りの建物が、美しく調和をしている。
この地で造られている、味わいのちがうウイスキーを、
いくつか試飲させていただいた。
後日、さっそく峯村くんに、宮城峡を注文したことだった。

貯蔵庫に冬陽かすかや宮城峡。





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