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出直し金読本007 老後の資産

 人生100年時代という言葉を耳にするようになりました。キッカケとなったのは「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)〜100年時代の人生戦略〜」(リンダ・グラットン&アンドリュー・スコット共著)の出版にあるわけですが、なんとなく唐突感が拭えないところがあります。政府主導で声高にアナウンスされているところに違和感を覚えている人も少なくないはずです。ほんとうに人生100年時代は到来するのだろうか、と。

 しかし裏読みして政府批判を展開してみてもラチはあきません。あらためて調べてみると、医療の発達やバランスの良い栄養摂取などが相まって、日本人の平均寿命が伸び続けているのは厳然たる事実です。内閣府が発表している「平均寿命の推移」によれば、1960年時点の平均寿命は「女性70.2歳、男性65.3歳」でしたが、50年後の2010年には「女性86.4歳、男性79.6歳」まで伸びています。ここから先は予測になりますが、2060年には「女性90.9歳、男性84.2歳」まで伸びるようです。この調子で行けば2100年頃に女性の平均寿命が100歳まで到達しても、不思議ではないのかも知れません。

 もちろん予測通りに平均寿命が伸びるかどうかは分かりません。しかし寿命が伸びることによって課題が増えて来るであろうことは確かです。人それぞれとは思いますが、まずは健康でいられるかどうか。「寝たきり老人」になって100歳を迎えたとしても、おそらく本人も家族も嬉しくはないはずです。

 仮に65歳で定年となったとして、残り20年、30年という長い時間をどのように過ごすのか。悠々自適で暮らせる人ばかりではないはずですから、働く場所の確保も大切なことでしょう。生き甲斐という意味でなにか新しい自分の役割も必要になってくるかも知れません。

 先立つものも重要です。誰しも霞(かすみ)を食って生きているわけでも、生きられるわけでもありません。これからさらに少子高齢化が進むことは必定で、その結果、年金支給額は当然のことながら先細りとならざるを得ません。年金だけでは十分でなくなる可能性は高く、働く場所の確保に並んで、それなりの蓄えも必要になるでしょう。

 それだからゴールド(金)を持ちなさいという話ではありません。まずは預貯金。将来インフレにならない保証があるのであれば、預貯金で十分です。ただし、政府発表のインフレ指標は上がらずとも、「生活インフレ」は着実に進んでいます。食品も実質的には値上がりし、人件費も上昇しています。20年先、30年先のこととなれば、さらにインフレが進まないという保証はどこにもありません。

 そのような観点からすれば、インフレや通貨価値の下落に備えた資産も、少しは持っておいた方が良い。長い目で応援したい会社の株式とか、万一に備える保険としてのゴールド(金)などがその対象になるでしょう。

 最後に。ゴールド(金)は、貴金属という希少性の高いモノです。その価値は誰かの信用に裏付けられたものではなく、そのもの自体に価値があるモノですから、万一の場合にも価値がゼロになる心配がありません。もちろんインフレにも強い特性がありますから、遠い先の老後に備える資産としては、有力な選択肢のひとつとなり得ます。


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