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9歳-12歳 思春期前 / 0歳-18歳の性教育

このマガジンでは「世界一」と称されるオランダの性教育において、この国で紹介されている性教育の資料を日本語にすることで、多くの方々に性教育の大切さをお伝えしています。

シリーズ最初は、Rutgersというオランダの性教育のシンクタンクとされる団体が提供している「0歳-18歳の性教育」というパンフレットの「9歳-12歳」のページについてご紹介します。

恥じらい

この年齢の子どもたちは裸を見られることに対して、より強い恥じらいを感じるようになります。また、シャワーに入ることや、着替えは自分1人でしたいと思うようになってきますが、それらを1人でしたいかどうかは、そこに誰がいるかによることもあります。子どもの中には、家族がいる前でも平気で着替えをする子もいますが、そのような子どもたちの中にも、体育の着替えは嫌がる子もいます。

ちょうどこの年齢あたりから、自分一人でできることも多くなり、恥じらいを感じるようになるかもしれません。もうそういった年齢に差し掛かっているということを理解しておくだけで、保護者もどういった行動に出れば良いのかを考えておけると思います。

初めての「付き合う」という行為

この年齢に達すると、子どもたちの中には初めて「付き合う」ということを経験する子どもたちも出てきます。一般的にはその相手は学校の生徒であることが多いでしょう。学校の休み時間に立ち話をしたり、友だちのグループの中で一緒に行動するようなこともよくあります。この年齢においては、お互いの身体に触れるようなことはあまりなく、積極的に2人きりだけで時間を過ごすようなこともあまり見られないのが普通です。

この年齢で「付き合う」という行為に言及していることに驚く人も多いかもしれませんが、これもまた子どもたちの発達過程において大切な感情かもしれません。そういったこともあり得るのだということを理解しておくことは、その時を迎えた時に心の準備ができている安心につながります。

セックスへの興味

10歳あたりから、セックスというものに興味を持ち始める子どもたちもいます。セックスについて色々と知りたいと思う子どももいれば、そういったトピックについて「汚い」というような印象を持っている子どもたちもいます。性的なトピックについて、どんどん質問を繰り返すような子どもたちもいれば、そういった話をしたくないと思っている子どもたちもいたり、そのような話をされると「恥ずかしい」という気持ちを抱く子どもたちがいることも事実です。

性への興味度合いは人それぞれかもしれませんが、ここで知っておきたいのは性について強く知りたいと思うことをタブーとして扱うのではなく、その好奇心に適切に対処してあげることかもしれません。蓋をするのではなく、大切な性の話だからころその答えを一緒に探して知ろうとする。そういった姿勢が保護者に求められるのではないでしょうか。

身体の変化

思春期を間近に迎えた子どもたち、特に女の子にとっては、その変化が男の子に比べて早くやってくることがあります。身体的な変化や感情の起伏などは子どもたちにとってもよくわからなかったり、モヤモヤするものになります。例えば、この年齢の子どもたちの中には、自分自身の身体というものが他人にとって魅力的なものなのかそうでないのかというようなことを考えるようになったりする子どももいるのです。

思春期を間近に迎え、子どもたちは自分自身では処理が難しいような感情と対峙します。自分は人から見てどんな風に見えているのか?そういったことを気にしなくても良い。と言い放つのではなく、子どもが抱える悩みや疑問に耳を傾けることも必要になってくるのかもしれません。

質問①: 9歳の息子や娘の思春期に備える方が良いのでしょうか?

子どもがこの時期の年齢に差し掛かった時、身体の変化が訪れるということについて徐々に話をしてみるのも良いでしょう。そういったことについて前もって話をしておけば、陰毛や脇毛が生えてきたり、胸や陰唇が大きくなったりした時や、夢精や初潮を迎えた時にも、落ち着いてそれらのことを受け入れられるかもしれません。また、思春期に差し掛かると感情の起伏が激しくなったりすることについても話しておくことも必要でしょう。もし、こういったことについてあらかじめ話すことが難しい場合は、それらについて説明をしてくれている本などもあります。それを子どもたち自身が自分で読むこともできるのです。この本の最後に、それらを学べる子ども向けの本が紹介されているので、参考にしてみてください。

思春期に備えて、その変化について話をしている家庭がどれくらいあるでしょうか。子ども自身も戸惑うようなことが起こり得る時期に備えて、「これから起こることは誰もが経験することだよ」と前もって子どもに知らせておいてあげることは、子ども自身に変化が訪れた時に「不安だから話してみよう」と思えるようになることにつながるかもしれません。大切なこと、話しにくいことだからこそ前もって準備をしておく。性について話合えるという関係は、性だけに関わらず「話しにくいことを話し合える関係づくり」になるのかもしれません。

質問②: 11歳の息子がポルノ動画を見ています。どうすれば良いのでしょうか?

この年齢において特に男の子は、性のイメージに対する興味が大きくなります。これについては、特に心配することではありません。重要なのは、ポルノ動画というのは演者の間で行われるセックスを撮影したものであり、性的に興奮させるための意味合いで作られたものだということを伝えることです。そして、ポルノ動画ではない意味合いのセックスとは、それとは異なるということを伝えることです。ここで大切にしたいのは、セックスはその行為に及ぶ双方が楽しめるものであるという考え方です。性行為とは誰かを愛することや、お互いを大切にし合う中でなされる行為でもあるからです。例えば、写真を見て、親子でお互いの意見を言い合うのも良いでしょう。どこが可愛いとか、魅力を感じるかなどについて違いの意見を交換し合うことも有用です。その時には、子どもにばかり聞くのではなく、保護者自身も意見を言うことを忘れないようにしましょう。

この部分で驚きなのは、ポルノ動画と実際のセックスは異なる種類の性表現であるということをきちんと分けて子どもに伝える需要性を説いているところにあると思います。実際に愛し合う2人のセックスは美しく、性的興奮を与えるセックスとは違う。そういったことについて話し合えることが、性についてオープンに話ができる関係づくりにつながります。また、保護者が性に対してどういった意見を持っているかということを子どもに伝えることは「そういったことについてもママ/パパは自分と話をしてくれるんだ」「親と話をしても良いことなんだ」という印象を与えます。子どもを1人の対等な人間として見た時、保護者が自分の意見を伝えることもまた大切だと教えてくれます。

次は12歳-15歳の「思春期」について

次の記事では「12歳-15歳の思春期」についてご紹介します!

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