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良い職場には「雑談」がある

突然ですが、皆さんが働く職場に「雑談する時間」はどれくらいありますか?
コーヒー片手に同僚と10分立ち話する時間、
廊下やオフィス前などでバッタリと会った上司と何気ない話をする時間、
清掃員の方や、メンテナンススタッフと挨拶やちょっとしたことを話す時間...

今日は「雑談ができる職場」について、私がオランダで暮らす人々から学んだことを紹介したいと思います。


「まずはお茶でも飲みなさい」と玄関ホールで言う校長

学校視察の最初はいつもどこか緊張します。

「どんな雰囲気かな?」
「どんな風に受け入れられるかな?」
「どんな話が聞けるかな?」

そんなことを考えてメインエントランスから入るわけですが、ある小学校の校長先生は建物に入ったすぐのところでコーヒーを片手に子どもたちを迎えていました。
目が合うと挨拶も早々に、
「まぁお茶でも飲みなさいな」
と、そこに立ったままマグカップとお茶を淹れ始めてくれました。

これは何もこの校長先生に限ったことではありません。かしこまった様子もなく、まずお茶をすすめてくれる先生たちに幾度となく出会ってきました。

「こうやって飲み物片手に話す時間がね、学校の雰囲気には必要なんだよ」

校長先生は髭を触りながらそう微笑んでくれました。

「良いチーム」に必要な個人の努力

多くの学校の校長先生は「学校はチーム」だと連呼します。
そしてそのチームが乗り込んだ船を大きく漕ぎ出すには、まず仲間を信頼することができていること、方向性が同じであること、それを実現させるための日々のプラクティスが必要です。

つまり、チームであり続けるために毎日何をしているか。が問われます。

では「良いチーム」とはどのように形成されるのか?
それは、日々のコミュニケーションだと多くの先生たちは言います。彼らの言う「コミュニケーション」とは業務に関することだけにとどまりません。「週末は何をしていたか」「最近家族はどんな感じか」「私生活であったこと」こういったことを含めたコミュニケーションです。

「職場で自分の私生活のことを話すのはちょっと...」
そう思う人もいるかもしれません。もちろんオランダの先生たちも話したくないことを強要することはありません。ただ、「お互い助け合おうと思えば、自分の今の状況を同僚に話しておく方がずっと仕事はしやすいですよ」と言います。

それはつまり、自分のことを知ってもらおうとするアクションが、「自分の働きやすさを決める」ということかもしれません。誰かに聞かれることを待つだけではなく、自分の働きやすさ(困った時に誰かに仕事を頼める環境を作っておくこと)を確保するために、「自分から発信する」ということも重要だと先生たちは言います。

それは学校だけにとどまらず

オランダの企業でマネージャークラスで働くあるパパもまた、職場のコミュニケーションについて言及していたことがありました。

「自分はマネージャーだからね、チームの皆んなが働きやすい環境を作っていくことが自分の役割でもある。だから、チームが自分のことを話すことができる環境を作るにはどうしたら良いかよく考えているよ。その方が、みんながお互いのことを良く知り合って助け合いやすくなるし、結果として仕事の成果も良くなるんだ」

「具体的にはどんなことをするの?」と聞くと、

「マネージャーとしては、自分も失敗するってことを積極的に知ってもらうようにしているよ。笑」とのこと。

「例えば、仕事のミスやおっちょこちょいなことを写真に撮って、チームにシェアしたりね。笑 マネージャーも人なんだ、ミスするんだってことがわかれば、みんな少しは安心すると思ってね。笑 別にわざとやってるわけじゃなくて、実際にそうなんだけど。笑 何ていうか、そういう雰囲気がチームには必要だと思っているんだ。和んだ空気感だと、みんな自分のことを話しやすくなるし、コミュニケーションも活発になるんだ。それが結果的にいいアウトカムにつながるってことなんだよ。」

マネージャーという役職に就けば、それは誰からもわかりやすく「上司」になってしまう。しかし「ちょっとおっちょこちょいな上司」をあえて共有することでチームに和んだ空気を運ぶ。そして、その雰囲気がチームのコミュニケーションを活発にする...そんな配慮に、彼の「人間味」を感じたと同時に、上司としての在り方、振る舞い方を考えさせられました。

「雑談」を通して人は心を通わせるのかもしれない

雑談をする余裕もない職場に「心を通わせている実感」はあるか...
もちろん「心を通わせること」が必要のない仕事もあるかもしれません。
しかし、とりわけ学校現場に関しては職場が「チーム」として機能することは「絶対」だと思うのは私だけでしょうか。

「教職員がバラバラな学校は、それが必ず子どもたちにうつると言っても過言ではないですよ」

ある校長先生はそう言いました。

「"だ・か・ら" 教職員が1つのチームとして活躍するために、雑談ができる雰囲気を作り出すためには何ができるかを考えるんです。それが校長が担う大きな勤めと言えますね。だって結局はそれが子どもたちのためになるんです!」

意外と忘れられがちな「雑談」の需要性。
皆さんの職場に「雑談」ができるだけの余白はありますか?
「雑談」の価値を見出せていますか?

「働きやすい環境は(自分の発信も含め)みんなで作っていく」

そんなことを学びました。

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