6歳-9歳 性への好奇心 / 0歳-18歳の性教育
このマガジンでは「世界一」と称されるオランダの性教育において、この国で紹介されている性教育の資料を日本語にすることで、多くの方々に性教育の大切さをお伝えしています。
シリーズ最初は、Rutgersというオランダの性教育のシンクタンクとされる団体が提供している「0歳-18歳の性教育」というパンフレットの「6歳-9歳」のページについてご紹介します。
誰かを好きになるということ
この年齢の子どもたちは、時に「誰かを好きになる」という感情についてそれがどういったものなのかを説明できます。そして、実際に誰かを好きになった経験があると答える子どもたちも多くいます。その「好き」という感情は、ただ単に誰かのことを周囲の人よりも「好む」というだけの場合もあります。しかし、この年齢では「友だちとして誰かを好き」という気持ちと「恋愛感情として誰かを好きになる」という感情の間にある"違い"についてより明確に感じるられるようになります。また、この年齢では、時に同性を好きになる子どもも出てきます。
「単に友だちとして大好き」という友情の延長線上にある感情と、異性または同性として友情ではない感情に基づいた「好き」という気持ちの違いについて気づき始めるのがこの年齢だと書かれています。もちろんそういった感情を持たない子どもたちがいることも忘れてはいけません。人によってはこの年齢ではまだ早いのではないかと感じる人もいるかもしれませんが、もう既にそういった年齢に差し掛かっているという認識を持つこともオプションとして必要かもしれません。
性的興奮を感じる場所
7歳前後になると、子どもたちは自分たちの身体のプライベートな部分が性的な意味合いを持つということを理解するようになります。それはつまり、子どもたちに好奇心があるということでもあり、友だち同士でお互いの身体をよく観察したり、時にはプライベートな場所を実際に触れたりすることもあります。こういった行為が大人が見ていない時に起きやすいのは、彼ら自身がこういった行為に対して大人が良い顔をしないとわかっているからなのです。
自分と他人の身体の違いに気づき始めた子どもたちは、それが何故違うのか、何のために違うのかという問いを立てるでしょう。そして、それは子どもなりの好奇心に変化していくことも理解できます。時に合意の上で人の身体に触れることでその違いを感触として感じることもまた、子どもにとっては学びなのかもしれません。大人が見ていない時にするという行為もまた発達段階にいるということとして理解できます。
友情、友だち関係
この年齢になると、子どもたちは同性でかたまって遊ぶことが増えます。男の子は男の子同士で遊び、勝ち負けにこだわるような男の子特有の遊びになっていきます。一方で女の子は女の子同士で遊ぶことが多くなり、ペアで遊ぶことで、協力することや人との密な関わりを求めるようになります。男の子や女の子が性別問わず遊んだ場合、子どもたちはそれもまた楽しいと思うようになります。
他人と比較すること
子どもたちはどんどん他人の意見や自分がどのように見られているかを気にするようになっていきます。時に自分を他人と比較したり、自分がなりたい姿と今の自分を比べるようになります。これは、身体的な変化にも言えることで、女の子はよりスリムな身体になりたいと思うことが多く、男の子は背が高くなりたいと思うことが多くなります。こういった行為は、時に子どもたちがどうしたら良いのかわからないと感じさせることにつながったり、自分自身に満足できないというような気持ちをもたらすことがあります。
思春期を少し先に迎えた子どもたちは、自分だけが異なることや、自分だけが排他的に扱われることについて徐々に敏感になっていきます。それは自分なりのセルフイメージを持ち始めたという傾向でもあります。そこに到達できないフラストレーションを抱えることもあるということ、それが保護者に対して強い態度で現れることもあるということを理解しておくと良いのかもしれません。
質問: 6歳の息子が将来、男の子と友だちと結婚するんだと言います。これはつまり、ホモセクシャルということでしょうか?
そうですね、その可能性もあります。ただ、同時にそうではないとも言えるということを知っておくと良いかと思います。この年齢の子どもたちが将来友だちと結婚したいと言った場合、それはただ単にその友だちのことが友だちとして好きだということも大いにあり得るのです。また、この年齢の子どもたちは、翌日になると保護者の方を向いて「やっぱりママと結婚する〜!」などと言ったり、「やっぱり隣の家の人と結婚する!」ということもあると言うことを知っておくといいかもしれません。
「結婚」を「好きな人とずっと一緒に過ごすこと」と理解すれば、自分にとって居心地の良い人とずっと一緒にいたいと思うことはごくごく自然なことのように思います。それが同性であれ異性であれ、楽しい時間をずっと共有したいという気持ちは、ある意味素敵なことかもしれません。この年齢で同性を好きだと言う子どもの発言があった時は、どこか頭の片隅にその可能性を置いておきながら、「果たして子どもの意味する"結婚"とは?」と考えてみるのも良いのかもしれません。
次は9歳-12歳の「思春期にさしかかる前の段階」について
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