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USにおける保険業界の今_2022年7月MetLife版

 BOSTONのMDRTの後にNYCの保険事情について色々とお話しを聞いてきました。その中でも最も印象に残ったMetLife社の現在の動きについてシェアします。

北米と南米との戦略の違いについて

<南米マーケットについて>

中南米地域社長(前メットライフジャパン社長) のエリックさんから特にブラジルマーケットについての情報をいただきました。

ブラジルでは複数の要因(治安、テクノロジー、コロナ他)によってデジタルバンクが急成長し、そこをメインチャネルとして販売を伸ばしているとのこと。

2つのメジャーなデジタルバンクとしてnubankC6BANKの事例をもとに、デジタルスペースにおける保険チャネルとUI、UX、CX、がどのようなジャーニーを辿るのか、という注力点について解説していただくと主に、デジタルだけではなく、チャネルのポートフォリオとしても「各国に合った方法で個別にオペレーションしている」姿勢がとても印象的でした。

この辺りの違いは最新のMetLifeのAnnual Reportでも記載がありますので要チェックです。

とにかく成長率が著しく、また平均年齢が若いということもあり、生命保険及び傷害、年金など、伸びている市場に全ての商品を全てのチャネルで提供していくという攻め攻めの状況で、とても楽しそうにお話していたのが印象的でした。(ラテン系だからか?)

2022/7/11追記
Nubankについて日本語で分析をされている方がいらっしゃいましたので追記いたしました。

<北米マーケットについて>

北米のFinancial Wellness and Engagement部門のエレンさんより

・Plan Smart(対面でのLife/Money Planning)

・Upwise(スマホでできるライフプランシミュレーションツール)の説明及び米国のリテールマーケット/グループ保険マーケットについて

またなぜグループ保険に特化したのかについてご説明いただきました。



メットライフUSは個人部門チャネルをマスミューチュアルに売却しており

また個人保険についてはBrightHouseFinancialに移管しています。(BHF社については日本においてプロダクトが見れないのでIRのみ貼っておきます)

株価などはこちらでご確認ください。

まず徹底していたのは

絶対に売り込まない、セールスからはじめない。まず始めるのは情報提供からスタートする、という姿勢でした。FDが徹底されているということもありますが、企業向けの健康保険が現在の主力商品であるメット社においては、そちらの取引が圧倒しており、個人のプロデューサーというよりは会社がすでに持っている優良な顧客先に対して、従業員向けの福利厚生の情報提供セミナーを行い、その上で年金や保険商品の個別相談意向があるのみコンサルティングを提供しながら販売する、というかなり引き気味の営業スタイルでした。

PlanSmartという45分のプログラムを1~4回、その会社ごとにオーダーメイドで提供していくスタイルは今の日本において通常のマネーセミナーや職域での勉強会、または個別でFPを受けていく、というようなものの合体バージョンのようなものでした。(複利の力、とかコンテンツは日本とそんなに変わらないところもあレバ、これは!というものも。)


(日本でも同様のものを提供している)


日米の違いとして、米国で主に企業の健康保険の接点がある顧客企業に対して販売機会を提供していくのでプロデューサーが見込み客の発見をしなければいけない日本とはかなり差があります。しかし当然会社から付与するマーケット、ということもあり新規で参入するプロデューサーの場合は厳しい基準が設けられていて、

「今日商品を販売しないと生きていけない人たちには資格がないと思いませんか?」

というコメントはとても印象的でした。

部署名であるFinancial Wellnessという名前からもわかるとおり、徹底して顧客の金融にまつわる課題をよりよく解決改善していこう、という姿勢が徹底されており、それは事前研修でも相当の時間をかけて「Do & Don'ts」を徹底的に学習させるそうです。

今まではどうやって効率的に販売するのか、という手法よりも、いかに顧客と伴走していくか?という姿勢を15年(!!)続けてきて結果としてコロナ禍においても非常に顧客から満足度の高いサービスとして認知されている、とのことでした。


当然デジタルのフォローもセットでやるのがUXのために必要ですよね、ということでUpwiseというサービスを展開しています。(これは日本にないかな)

中を見ていただくとわかると思いますが、学習ソフトと金融商品種類や残高がセットになったアプリケーションです。

きちんと学習しながら、かつ行動、習慣化させるのが難しいというのは日米問わず一緒だそうで、如何に日々コミュニケーションをも使って実行、継続させるか、について、ユースケースなども含めて色んな学習〜相談ができるような導線になっていました。

開発している部屋にも入室させていただいたのですが、グループディスカッションをうまくやりつつ、多岐に渡る顧客の課題に対してよりよくしていこうとしている現場が見れたことは同じ業界にいる人間としてとても深い学びでした。

あまり多くの情報をネット上では出せないのですが、総じてうまくいっているには理由がある、ということを改めて理解できたとともに、まだまだ日本でもできることはあるなと思い、本日からの具体的な行動にうちしていこうと思っています。


<追伸>

日本のウィスキーは手土産としては鉄板で喜んでいただきます。今回は山﨑、白州、厚岸とすごく喜んでもらえるとともに少しでも日本の産業として付加価値をつけてビジネスできるといいなと思った次第です。






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