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ストアーズはECの会社、ではない

はじめに

ご無沙汰してます。ほぼ1年ぶりのnoteです。

2018年にストアーズをはじめてから6年が経ちました。ストアーズはネットショップを展開していたSTORES.jpとキャッシュレス決済を展開していたCoineyという2社が統合してできた会社で、2つの製品からはじまりました。その後、毎年1つずつくらいのペースで製品を増やし、今年は一気に数個、来年はさらに加速して製品を追加していくぞ!という状況なんですが、もともとネットショップは STORES.jp という名称だったこともあり、今もストアーズは「ECの会社」と認知されていることが多いという現実があります。ホントよく言われるんです。「ECの会社じゃなかったんですね!」「こんなに製品があるとは知りませんでした…」と。悪いのはきちんと伝えられていない我々。

ということで、「ストアーズはECの会社、ではない」、ことをお伝えしたい主旨で書いた記事です。

フロントオフィスに集中する

ストアーズのミッションは「Just for Fun」。こだわりや情熱、たのしみに駆動される経済をつくるというこの言葉は、Day 1からストアーズの中心にあります。私たちが日々暮らす街が、多様な商売で溢れ、誰もがこだわりや情熱をもって働き、そして賑わいが続く。生活の中に多くの選択があるということは豊かである。そう、考えています。

一方で、日本という国の商売環境は厳しい中にあります。労働人口が減り、今後、商圏人口も減っていくでしょう。足元ではインフレもあります。コロナ禍の社会変化、技術の急激な進化。昨年、2040年の中小企業のPLを引くというプロジェクトを社内で実施したんですが、変わり続けなければ、生き残れない世界がそこにありました。

ストアーズは中小・中堅企業の方々に向けて、フロントオフィスのプラットフォームを提供しています。ネットショップだけを提供しているわけではありません。フロントオフィスとはお店とその先にいるエンドユーザー、つまりお店と顧客の間をつなぐ領域のことです。対する言葉はバックオフィス。経理・財務、人事・労務、法務、IT関連などのサービスがそれにあたります。

また、もしかしたら、ストアーズは個人や個人事業主にお使いいただく製品というイメージもあるかもしれませんが、複数製品をまるっと導入して複数店舗の事業運営に役立たせるという利便性によって、より規模の大きな事業者の方々への導入が増えてきています。

繰り返しになりますが、ストアーズがフォーカスしているのは、フロントオフィスです。ユニクロの柳井さんの座右の銘に倉本長治さんの「店は客のためにあり 店員とともに栄え 店主とともに滅びる」という言葉がありますが、私もこの言葉が大好きで、商売において最も重要なのは顧客であるとし、創業来ずっとこの領域で事業を展開しています。

高まる「Just for Fun」の価値

ストアーズをはじめる頃に1つの仮説を立てました。商売の成功に事業運営にまつわるあらゆる技術が不可欠ですが、将来的にコンピューティングの進化によってこの技術というのは今よりもコモディティになるのでは、と。集めたデータから選択肢を提供して経営がサポートされたり、指定した業務が自動化されたり、そういう世界がくることによって、事業運営技術の習得コストが下がり、相対的にこだわりや情熱といった「Just for Fun」がリーダーシップに求められるものとして、より重要となってくるのではないかなあと考えました。

事業運営技術をアップデートしていくには、日々の業務執行にまつわる情報をきちんとデジタルに取り扱えるように、オペレーションシステムを埋め込むことが重要です。現在ストアーズが提供している製品はデジタルな商売道具というアプリケーションではありますが、同時に、事業運営という観点においては必要な情報のセンサリングを担う役割もあります。ネットショップも、レジも、キャッシュレス決済も、予約システムも、ブランドアプリも、すべてオペレーションシステムであり、経営においてはリアルタイムにデータを上げてくるセンサーでもある。そして、それらを通して集めた様々な情報が1つのデータベースにまとまることによって、今後よりシームレスに経営の意思決定と連携し、その価値を発揮していくことになります。

昨今のAI技術の急速な発展とAGI(汎用人工知能)の実現というリアリティが見えてくる中、いかに重要な商売のデータをリアルタイムにきちんと取り扱えるのか、というのはますます大きな経営課題となります。そのために、ストアーズは10、20、30とスピードあげて製品を提供し、ただの便利な商売のツールではなく、ストアーズを入れると経営が進化する、商売といえばストアーズ。そういう存在になりたいと思います。

コンビニエンスストアから学ぶ変革

少し話が飛ぶんですが、コンビニエンスストアという日本が誇る業態があります。コンビニエンスストアは、1970年代から、「核家族化」や「女性の社会進出」といった長期にわたる大きな社会変化にを背景に、当時約80万店舗が存在していた伝統的な食品小売業である米屋や酒屋を業態転換させ、変革してきました。

コンビニエンスストアは巨大なSKUを取り扱い、24時間営業、1日3便の物流、マーケティングやそれらを管理するためのシステムを提供し、結果として 80 万店舗あった食品小売事業者の一部は変革し、巨大な産業化、グローバルでも競争力を持つ小売経営システムモデルの一つになっています。ストアーズは小売業だけでなく、サービス業やその他多くの事業者の方々に利用いただくものではありますが、ストアーズを入れると経営が進化する、というのは、このような長期の社会変容の中での事業変革ツールとしたいと考えている、というのがあります。(もちろん、ストアーズがコンビニエンスストアをつくるわけではありません。)

また、このような領域での知見・経験を取り入れたいという背景があって、ファミリーマートの元代表であり、過去にはユニクロの副社長でもあった澤田さんに2022年より社外取締役に入っていただいて、日々、顧客が大事、現場がすべて、みたいなことを一緒に話していたりします。ストアーズは常に顧客中心主義であり、そして、これからもそうありたいと思っています。

潜って作り続けてきた2年間

ところで、ストアーズは、2社の経営統合、その後2社が加わって1つとなった会社です。つまり、各社バラバラのシステムを有していました。そう、バラバラの、システム!しかし、ストアーズらしい勝ち筋を考えると、製品間の連携による「これだよこれ!」と事業者の方々に言ってもらえる独自の顧客体験を、スピードあげて、たくさん届けたい。

ということで、2021年から、社内のソフトウェアの開発基盤に大規模な投資を実施して、プラットフォームやミドルウェアを作ってきました。実際、開発の50%以上のリソースをここに費やしてきましたが、これは短期的な売上を全く生まず、そして短期的な顧客課題解決にも全く結びつかないもの。それゆえ、足元の資本市場を考えると難しい判断ではありましたが、長期の目線で諦めずに投資をしていくことでだんだんと仕上がり、結果、スピード早く開発できるようになり、今期一気に製品を追加して出していける状況になってきました。

とはいえ、これだけ大規模に個別バラバラの会社のシステムを本気で統合しきることをやっている会社はほとんどないのではないかと思います。吐きそうって言葉を本当にたくさん聞いた気がしますが、一致団結してデリバリーしているチームを本当に尊敬しています。そして、今後もこの高い山への挑戦は続くため、どんどん難しく、複雑化していく問いの数々に一緒に向き合ってくれる仲間を強く募集しています!

さいごに

私個人としては、コイニーを作っていた時期が5年10ヶ月、ストアーズを作りはじめてから6年2ヶ月。気づけばストアーズの方が長くなりました。マルチプロダクトとかコンパウンドとかいう言葉をまだ聞くことがなかった6年前から考えていた世界にようやく近づいてきて、純粋にワクワクしつつ、もっともっと加速して価値を届けていきたいという焦燥感にまみれている今日この頃です。そう、ストアーズはECの会社、じゃないよ

Just for Fun.

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