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表現の力:自分を表現するとは

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アートに見られる自己表現からパブリックスピーキング、日常の会話まで、自己表現の根源について探る。
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#自分

心に残るスピーチの秘訣

以前、パブリック・スピーキングを教えている、ニューヨークでも名の知られる学校に見学に行って、驚いたことがあります。      体がない! 心が感じられない! スピーチの内容は政治のことや自分の体験など、大変面白いのですが、観客を引き込み、「聞かせられる」人が少ないのです。その原因を具合的にあげると、目線を合わせない、声が届かない、体の動きが少ない、中の衝動が外に現れてこない、などなど。彼らのほとんどは、ステージフライトを克服しようとしてクラスに来ているので、上にあげたよう

プロセスの質がプロダクトを決める:アートと食事

私は、’ソマティック教育やスピーチコーチング、アートといった分野に携わっていますが、栄養士の資格も二つ持っていて、食材選びに勤しみ、自分で発酵食品を作ったり、野菜を育てたりすることも大好きです。よく、「なぜ食べ物や食事療法にそんなに興味があるのだ」と聞かれることがありますが、実は食べ物とその人が創り出すアートや、日常での行動や言葉の選び方などが、深く関わっていると思うからです。私にとっては、食べ物を考えることは人生を考えることで、アートを考えることは食べ物を考えることなんです

オリジナリティとは何か〜アルベルト・ブッリの作品に出会って

何年か前に、グッケンハイム美術館で出会ったアルベルト・ブッリの作品は、衝撃的だった。 ブッリは、その物質感、立体感のある作風で知られるイタリアの抽象画家。軍医として第二次世界大戦に従軍後、アメリカテキサス州の捕虜収容所で1年半の抑留生活を送る中、与えられたキャンバスと絵の具、絵筆を使って独自のコラージュを創作し始め、戦後は医者をやめて50年間画家として活動し続けた。彼の作品に向かう時、「何を言おうとしたのだろう?」とか「何の意味があるのだろう?」などと言う問いかけは微塵