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僕、趣味が一つもないんです。 あるバーの店主はそう言って、恥ずかしながら、とつけ加え苦笑いした。 仕事人間。別世界の趣味があるといいんだろうな、とは思うものの、興味の針がピクリとも動かない。そんな時間があるならば、もっとお酒のことを考えていたいのだ。 彼は深夜までカウンターに立ってカクテルを作り、朝になれば畑に出て、そのカクテルに使うハーブを育てている。 畑というより、もはや森と呼びたい広さと種類。ジンの原料である西洋ネズまで手がけているのだ。 このルーティンの合間を縫っ