【Opera】藤原歌劇団『ルチア』
ベルカント・オペラの醍醐味は「声の妙技」だといわれている。確かに、ドニゼッティの代表作であるこの『ルチア』にしても、家のために恋人と引き裂かれた結果発狂して死んでしまうという筋立て自体は、ちょっと現実離れしていて、なかなか感情移入しづらい。私はオペラにおいても、ドラマにリアリティのある作品が好きなので、正直いってベルカント・オペラに心を動かされた経験が少ない。例えば、数ヶ月前に上演された同じ藤原歌劇団の『ノルマ』を観た時にも、ドラマとしてあまりにもリアリティが希薄で、それは