「誰がアパレルを殺すのか(著 杉原淳一/染原睦美)」を読みました!

お洒落に興味がない人も、アパレル業界に詳しくない人も、読みやすくて面白い、役立つ情報満載の一冊です。

そもそもこの本を読んでみようと思ったきっかけは、「バーバリーという有名ブランドが在庫となった商品を焼却処分していた」という下記の記事でした。

バーバリーは廃棄ゼロ宣言 売れ残り衣料はどこに行く: 日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO35205010R10C18A9000000/

在庫リスク軽減と生産販売数予測のために、オンラインショップでは予約販売機能が付いているところもある昨今、どうして上記のようなことが、ブランド力ある企業で起こってしまうだろうと思いました。

また、最近の大型ショッピングセンターは同じようなブランド、似たようなデザインの洋服や店舗ばかりでワクワクしないなと感じていました。「買いたい!」と思うような商品にはなかなかお目にかかれなくなりました。

この本は、日本のショッピングセンター、ブランド、店舗、百貨店がそうなってしまった理由を、アパレル業界、繊維業界の歴史を紐解きながら、解説しています。そして、これからどんな形のアパレル企業が必要とされるのか、様々な取り組みをしている企業も紹介しています。

私個人は「洋服は『新品』を『買う』もの」という感覚でしたので、ネット通販大手「ゾゾタウン」傘下の「ゾゾユーズド」という中古品売買サイトが「在庫は顧客のクローゼットにある」という発想で運営されていることには目から鱗が落ちました。
そう考えると「ゾゾタウン」で「売ることを前提に買う人」も出てくるのでしょうね。家電製品や書籍と同じ考え方ですね。

フリマアプリ「メルカリ」も「中古品でもいいから、売り切れたあのアイテムが欲しい」というニーズがあるそうです。確かに過去私も売り切れで「欲しかったのに!」と残念な思いをしたことはありましたが、そういう使い方があるとは初めて知りました。

他にも、店舗を持たず、中間業者を極力省いて原価をすべて顧客に開示しているオンライン製造小売業の「Everlane(エバーレーン)」や、2009年米国に登場し成功した「Rent the Runway(レントザランウェイ)」というレンタルサービスについても紹介されています。

日本でも「買う」から「借りる」への動きが広がりつつあるようです。

本書で紹介されているレンタルサービスの中でも、「アースミュージック&エコノミー」「グリーンパークス」「アメリカンホリック」「コエ」などのブランドを展開するストライプインターナショナルが開始した、1か月5,800円で何点でも服を借りられる「メチャカリ」というサービスには驚きました。なんとこのサービス、新品を借りられるのです!

もう「新品」を「店舗で」「買う」という意識は古いのですね。「物を所有する」という価値観自体が古いのかもしれません。というより、洋服に限らず、これからは「何を捨てて何を持っていたいか」、独自の価値観が大切な気がします。

アパレル業界以外でもヒントになるような取り組みをしている企業がたくさん紹介されていますので、新規事業や経営企画に携わっている方にはおススメです!

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