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ハゲとヘビメタと私#5

琉球王国禿げ美貌唐手 照ちゃんは
結果的に概ね3時間近く嬢の
淫部に面を充てた事になる。

二人は機嫌よく昼間のセクキャバを済ませた。
繁華街を並んで歩く照ちゃんと私。
まだ夕焼けと夜の間だった。
「もう一件行こう」
「・・笑」
オーケーサインを出して
「ソレは心配するなよ」
「んん、じゃ、まぁお願いします」

次の店も決まってるような素振りの照氏。
二人歩きだすと前方から180センチくらいの
痩せ型だがガタイのいい若者が視野に入った。
パッと見イケメンで今風の服を纏っている。

が、何か性質の良くない威圧感みたいなものに違和感を感じた瞬間、照ちゃんの肩と野郎の胸がぶつかった。

わざとじゃないが向こう側からお前が避けろみたいな感じの傍若無人な振る舞いだった。
酔っていたせいと体格差でテルちゃんは斜め後方によろめく。
遠慮せずに野郎はさらに威圧しながら前進し
「どこみとんね!ハゲ、コラ、タコ、コラ!」
恫喝。威嚇。
その瞬間
テルちゃんの右下段斬り一閃が
斜め上から叩きつける感じで長身の今風半グレ的な野郎の膝下辺りに入った。

野郎は崩れ落ちるように地面に寝た。
「ウッゥゥ アァッ」
奇声を発し、膝を押さえて、のたうち廻る野郎。
照ちゃんは立てない野郎に近づき
更に踵で踏みつけるような動作をしたが
途中で止めた。

人集りができてきた。

うずくまる野郎に視線を向けたまま横歩きでスッと私のそばに戻り
「折ったぞ。ヤバい、行こう」

スッとテルちゃんと私はその場からゆっくりめの速度で歩きだした。

瞬殺だった。
カッティングキック一閃。
後方に崩れた不安定な姿勢から
鮮やかな瞬間移動。
柔道の足払いのようにも見えたが
見えない蹴りだった。
テルちゃんの実力は本物だった。

「あれはアイツが悪いよね。ああいう威圧的な態度は」
「誰に絡んでんねん笑」
私はそう言った。
テルちゃんは
「酔ってるからねぇ、逆に強く撃ちすぎちゃった笑」
「チョッチュネェ〜アイツ、イキってたから逆にヤララレッチャッタッチュネ〜」と琉球王国の世界的名拳闘選手、具志堅用高の真似をしてテルちゃんと大笑いした。
そしてなにやらリセットボタンを押した雰囲気になり
2件目の肉慾遂行を決意。
聖地へと2人向かっていった。

さすがに梅田はマズいかなと
二駅先の十三まで行く事にした。
タクシーを捕まえた。

5〜10分弱の間、車中では運転手を警戒してか二人無言だった。

十三に看護婦セクキャバがあるという。
梅田と似たような雑居ビル5階。

テルちゃんと私はまた別々に呼ばれ別々に席に座り嬢を待つ。
ブランデーの水割りにした。

20歳くらいの若く綺麗な嬢だった。
同じように嬢の乳房に触れ続け
明るく話をし酒のおかわりをし
飽きないから不思議だ。

抜き系の店は何度もキャリアを積んだが
抜き無しは初体験だったがそれなりに楽しめるものだとは断定した。

延長、延長で所詮、金が威力を発揮するのはどの世界でも普遍的。
嬢は5人位、入れ替わりやってきた。
3人は美人で乳房にも若い迫力があった。

照ちゃんは向こうの席から私に手を振った。
今度は蹲踞まずに普通に座って酒と女体を楽しんでるようだ。

照ちゃんが朝、公園で声をかけてきたシーンを思い出した。
当初、同姓愛者の軟派だと予断し警戒した事が無駄だった。

女体を愛し、危機状況の中
ガタイのデカい若い不良を
一撃必殺で斬ってしまう漢
琉球王国禿げ美貌唐手 照。

怪しげな照明の下で安ブランデーを舐め
豊潤な女体を弄りつつ照ちゃんにVサインを返した。
そして機嫌よく笑って魅せた。

あぁなんてオモロイ奴なんだろう・・・
素敵な、漫画みたいな男だ。
154センチ。
禿げ。
風貌は欧米的ハンサム。
クリクリクリした丸い眼に髭面
インチキ宗教か君は。笑。
味のある男。
稲妻のようにキレる足技。

琉球王国禿げ美貌唐手 照。
私は残された、敗北な、社会的弱者としての人生をこの男とずっと友達でいれたらと願った。



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