「福岡オレンジパートナーズとオレンジ人材バンクについて」 -認知症とともによりよく生きる -

 認知症の人と家族の会福岡県支部の月刊広報誌「たんぽぽ」に「認知症とともによりよく生きる」という連載を行っています。今回、許可をいただいてnoteにも転載することとしました。 
 こちらの記事は、2021年7月号に掲載されたものです。

 先日、福岡市役所で記者会見があり、福岡オレンジパートナーズオレンジ人材バンクが発表されました。

 福岡オレンジパートナーズとは、認知症の人とその家族、企業・団体、医療・介護・福祉事業者、行政で構成し、認知症について自主的に「知る」「考える」「つながる」「行動する」ための集まりです。認知症とともに自分らしく生きるために何ができるかを考え、実際の取り組みにつなげていくことを目指しています。海外では、Dementia Action Allianceとして知られる取り組みですが、2年ほど前から活動を開始し今回の会見に至りました。会見では、この活動の一つの成果として株式会社ニチリウ永瀬が開発した認知症フレンドリーな園芸バッグとエプロンが紹介されました。この商品の開発段階では、福岡市にお住まいの認知症当事者であり会見にも同席されたノブ子さんにもご意見を聞き、当院重度認知症デイケアうみがめにもリサーチに来られました。実際に完成した商品は道具の収納場所がわかりやすいポケットアイコンや、視認性が良いコントラストが効いた配色などの配慮がされています。また、エプロンは腰の部分にワイヤーが入っており、紐を結ばなくても着脱できるようになっています。会見で実際にエプロンを着た信子さんも、「紐だと結べなくてよく困るんですけど、これなら簡単に着れます」と好評でした。

 オレンジ人材バンクは、認知症の人だけが参加できる人材バンクです。信子さんは昨年から、この仕組を用いて香椎浜にある宮脇書店アイランドアイ店で月に一回働いてらっしゃいます。また、上記の園芸バッグ開発に伴うインタビューもオレンジ人材バンクの取り組みの一つです。今後、福岡市をより認知症フレンドリーな街としていくために企業から多くの認知症フレンドリーなサービスを発信してほしいですし、そのサービス開発のためには多くの認知症の人のご意見が重要になると考えています。

 福岡オレンジパートナーズとオレンジ人材バンクに興味を持たれた方は、福岡市役所認知症支援課(092-711-4891)までお問い合わせください。


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