「人とのつながりと健康について」 -認知症とともによりよく生きる -

 認知症の人と家族の会福岡県支部の月刊広報誌「たんぽぽ」に「認知症とともによりよく生きる」という連載を行っています。今回、許可をいただいてnoteにも転載することとしました。 
 こちらの記事は、2021年4月号に掲載されたものです。

 先日のNHKハートフォーラムでも取り上げた話題ですが、今回は人とのつながりと健康の関係についてお伝えしたいと思います。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴い、ステイホームの影響などあり家族以外の人と接する機会が減ったとお感じの方は多いのではないでしょうか。内閣府が令和2年6月に公開した「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」においても、「今回の感染拡大前に比べて社会とのつながりの重要性をより意識するようになった」と答えた人が39.3%いたということと、感染拡大前から感染症影響下において「社会とのつながりの満足度」を比較すると29%減少したことが報告されています。

 一方で、人とのつながりが健康に与える影響が、ここのところ注目されています。一つは、独居と同居、孤食(一人で食事を食べるか)と共食(誰かと食事を食べるか)が死亡率にどのように影響するかを調べた研究です。その結果として、独居でも死亡率は上昇しないものの、男性の場合は独居か同居かに関わらず孤食だと死亡率が上がるというものでした。別の研究では、運動サークルに参加しているかどうかと、実際に運動しているかどうかによって4つのグループに分けて、それぞれのグループの4年後の要介護発生率を調べています。この結果、運動サークルに参加し実際運動してる群が最も要介護発生率は低く、運動サークルに参加せず運動もしていない群が最も要介護発生率が高かったはもちろんですが、運動サークルに参加せず運動している群よりもサークルに参加しているが運動はしていない群のほうが要介護発生率は低かったという結果でした。つまり、一人で黙々と運動をしているよりも、運動サークルに行って運動せずにおしゃべりしている方が要介護発生率が低かったのです。認知症についても、福岡県久山町の研究で、65歳以上の高齢者における認知症の発生率と孤独の関係を調べたところ、孤独感を感じる人は認知症発症リスクが1.5倍で、友人との交流頻度がほとんどない人では情緒的孤独感がある人はない人と比べて認知症の発症リスクが5.3倍という結果でした。

 そう考えると、家族の会のような集まりで様々な人とつながることはご自身の健康にもいい影響があるとも考えられます。人間関係を保ち、作ることに取り組まれてはいかがでしょうか。


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