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第7話 Life & Work ①布施孝之さん (キリンビール元代表取締役社長。2021年9月1日永眠。)

こんにちは。なおきです。今日は、新しくはじまるLife&Workで、ご縁をいただいた方の人生にふれさせていただきます。

キリンビールの社長を務めていらした布施孝之さんが急逝されたのは、昨年2021年9月1日のことでした。食品を担当する当社の役員から連絡を受け、その訃報に接しました。突然のことでしたので、本当に悲しく、ご家族、会社の方にお慰めの言葉もありませんでした。たくさんの記事も出ましたからご存じの方も多いのではないでしょうか。

僕たちの会社は、1989年1号店開業ですから、創業100年以上という企業も数多ある小売業の中で、明らかに新参者です。創業以来、ディスカウンターという業態、業種であるゆえ、各方面からご理解を得るのも難しい時代が長く続きました。僕たちは、イメージとは異なり、食品も多く扱っているため、キリンさんともお取引はあるわけですが、他社のA社さんやS社さんと比べて、キリンさんというのは、長い間、とても敷居の高い企業でした。そんなキリンビールさんとの距離間は、布施さんという傑出した営業出身の社長によって、あっという間に大きく縮まりました。

布施さんは、当社の社長交代がやや唐突に行われ、僕が社長に就任した2019年に、真っ先に応援を申し出てくださった経営者のお一人です。
小売の営業経験のない僕が、ホールディングスのみならず、ドン・キホーテの社長も兼任するということになり、メーカーさんもいろいろご不安な向きもあったと思います。けれど、布施さんは、真っ先にお会いいただき、激励していただき、コロナ下においても、Zoomでの会議を何回もできました。

本日、布施さんのお別れの会が東京都内で行われ、出席をさせていただきました。お花を捧げ、黙祷をした後、顔を上げますと、布施さんの笑顔の大きなお写真が飾られていました。
布施さんは、やや独特な髪型をされていたのですが(失礼します!)、2020年、Zoomでの1回目の会議で、布施さんの画面がだんだん上の方にいってしまい、髪だけが映るという事態になったのですが、その時の、不器用な布施さん〜ご自身でも笑っておられましたが〜そんな布施さんを、そのシャイな笑顔のお写真を見ながら思いだしておりました。

お別れの会は、とても素敵で心温まる会でした。僕は、職業柄、ご葬儀にも出席することが多いのですが、コロナ下になってから、ご葬儀そのものが家族のみで行われ、お別れの会も、飲食を控え、滞在時間も限られています。そういう制約の中で、布施さんのメモリアルコーナーでは、ご家族、ご自身の歩みを(それが全く時系列ではなくバラバラw)たくさんのお写真で見ることができ、ああ、布施さんの人生ってまさにLife&Workだなと、ご家族の歩みを拝見しながら思いました。そして、次のコーナーでは、布施さんのキリンでの歩みを辿ることができました。ビデオも上映されており、布施さんの懐かしい声に接することができ、感慨深く感じました。

僕は根っから楽観的なのか、あまり悩んだり、落ち込んだりすることがないのですが、それでも、社長という仕事は孤独なものです。布施さんは、ご自身が、社長職に長くいらしたこともあり、僕の立場をとてもよく理解いただき、何よりも、布施さんのリーダーシップのもと、キリンの役員や社員の皆さんに、僕たちの独自性を理解していただけました。布施さん、新米の社長にもご親切にしていただき、いろいろなアドバイスをいただき、本当にありがとうございました。

布施さんは、現職のままお亡くなりになられましたから、道半ばという思いもあったと思っておりました。今日のお別れの会で、私のその推測は間違っているということがわかりました。
お別れの会のご挨拶の冊子の中で、布施さんが、病に倒れる直前、社内の事業計画資料に、こういうことばが手書きで書いてあったと記載がありました。すごい方です。

「たった一度の人生で
   キリンに入ったからこそ
   一緒に喜び合える皆さんと
   巡り合うことが出来た。 
        布施孝之」


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