#012 『エコトートバッグ/リサーチ』バッグの使い勝手とソファの座り心地の意外な共通点の話
バッグを商品化するに当たって、最初のプロダクトはエコトートバッグにしようと決めていた。その理由は、私自身が欲しいと思えるものが世の中に見当たらず、様々な不便を感じていたからだ。
(この辺りの詳しい話は、#007『奥行き20センチ』を読んでみてください)
試作はすでに手元にある。アウトドアファブリックだから軽くて丈夫。ナイロンの撥水素材だから汚れや水にも強い。奥行きを30センチに設定してあるのでフラットパックも平らな状態で納められる。素材使いも手伝って見た目も悪くない。
自分で縫ったものなので、出来の良し悪しは別として、サイズ感やデザイン、考え方の方向性はよい気がしていた。でも『商品化』という視点でこのバッグを見たとき、この子の個性はどこなのだろう?と思ってしまった。差別化できるポイントが見つからなかったのである。
商品化したいのであれば、強みを明確にする必要があると考えた。そのためにも、すでに世の中にあるバッグをしっかり勉強する必要があると思った。
まずWEBやインスタグラムを使って、パッカブルトートやエコバッグの類をどんどん調べた。その中から気になるバッグを30個ほど選んで、様々な項目をリスト化した。そして、現物を確認するためお店にも足を運び、ものによっては購入して使用感を試したりした。
その結果、いろいろなことが分かった。
・小さすぎると収納時の出し入れがし難いこと。
・生地が薄すぎると、硬いものや重いものを入れた時に生地が伸びる危険性を感じること(破れなくても不安になる)。
・持ち手の形状や生地の質感によっても、使い勝手はだいぶ変わってくること。
ー等など。
エコトートバッグの使い勝手の良し悪しは、生地、形状、サイズ感、収納方法など、複数要素のバランスで決まるのだということを理解した。
これはソファの座り心地と似ている(この例えは、いかにも元インテリア業界の発想だと自分でも思います)。ソファの座り心地というのは、シートの奥行き、背の高さ、それぞれの角度と柔らかさ、表面をカバーする布や革の伸縮性などの複合的なバランスによって決まる。
最高に座り心地の良いソファは、絶妙なバランスの上に成り立っているため、どこか一箇所でも要素を変えると全くの別物になってしまうのである。
つまり、バッグの使い勝手を考える上で、要素を複合的に考える必要があるということだ。試作を丁寧に確認しながら他社プロダクトとも比較した。一つひとつの機能を盛り込むか削るか取捨選択して、絶妙なバランスを模索した。
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