#9 表現のための暗唱

こんにちは、なおきまです。

今回は、英語学習における「英文暗唱」について書いていきたいと思います。

私は英語学習の過程で暗唱を継続的に取り入れてきました。

英検1級や国連英検 特A級を目指していた頃にはテキストのサンプルスピーチ、自作の作文などを暗唱してきました。

現在もCNNEE、JapanTimes社説集、通訳学校で使った教材など多くの英文を暗唱しています。

一方で暗唱には批判的な意見があり、あまり英語力が伸びない方法と言われることもあるのを、よく理解しています。

ということで、今回は暗唱の魅力と効果を伝えつつ、暗唱を取り巻く誤解も解消していきたいと思います。


英文暗唱にまつわる誤解

まず先に、英文暗唱の厄介な点をお伝えします。

それは「やった気分になりやすい」ということです。

書いたり唱えたり、繰り返し覚える過程はアウトプット練習に似ています。

だから覚えればOK、覚えたら使える、と無意識に期待しやすいです。

しかし英文暗唱でやっていることは「単語帳を使って単語を覚える」ことと本質的に変わりません。

単語帳で覚えた瞬間に能動語彙になるなんて、そうそうないですよね。

覚えたらすぐできるようになりそうな期待値の高さが、暗唱へのネガティヴイメージの原因の1つかもしれません。

「覚えたところがスタートライン。使えるように訓練しよう!」という気持ちで暗唱と向き合っていただければ、高い効果を見込めるのです。

効果的な暗唱のために意識すること

それでは効果的な暗唱とは何でしょうか?

私にとって暗唱の目的は「表現のための能動語彙を習得する」ことです。

英語を使う場面が実務であれ留学であれ試験であれ、皆さまも近い目的を持っているのではないでしょうか。

そして暗唱の意義は、

①単語、語句、文構造の習得、自動化
②論理構成の理解
③背景知識の習得

にあると考えています。順に説明します。

①単語、語句、文構造の習得、自動化

文そのものを暗唱するだけでなく、細かく区切って練習します。

単語で、句で、節で、文で、文章で。

その過程で構造の分析を徹底的に行います。

SVOの文型が体得できていれば、

He has a dog.

This incinerator emits large amounts of carbon dioxide.

この2つが同じ文(構造)だと認識できます。

SVOの文を作れる方であれば、本来どちらもすぐ作れるはずです。

すぐ作れないならば、文構造や語彙を頭の中で自動化できていないということで、さらなる練習を要します。

暗唱は語彙力・文法構文の基礎が固まっているほど早くなり、覚えた表現をより早く使えるようになります。

またフレーズ単位「だけ」で覚えていくことを私はお勧めしません。

覚えたフレーズを使いこなすためには、そのフレーズを入れ込む色々なパターンの文構造に習熟していることが前提になります。

文法の知識をもってそのインプットを消化し、自分の血肉にします。

フレーズ単位で覚えるだけでなく、そのフレーズがどう使われるのか、文の骨格を身体に染み込ませるところも暗唱の一部なのです。

暗唱の方が負荷が高く、高い負荷には相応の見返りがあります。

また、理解していない箇所のある英文を使えるようにはなりませんから、学習段階によっては文法書を片手に行ってもよいと思います。

②論理構成の理解

暗唱には文章の論理構成を頭に刷り込む効果もあります。

全体から具体、既知情報から新情報へ、といった論理の流れを意識します。これが自らの考えを述べる際の論理構成の土台になります。

英語の書かれ方、スピーチの構成などを先に学んだ方が効果が高いと思います。

③背景知識の習得

スピーチ原稿やニュース記事を暗唱することでそこに書かれた内容の知識を効率よく習得できます。

でも、そこに書いてある知識だけでその分野に関して意見を持てるか、と言われると難しいことが多いです。

記事を取っ掛かりにネットや本で調べて、知識を得ることでテーマに対する理解を深め、表現するだけの「意見」を持てるようにできればなおよいですね。

その意見を述べる時には、暗唱して覚えた表現がきっと役に立つことでしょう。

暗唱を捗らせるtips

さて、暗唱の効果について書いてきました。

まとまった英文の暗唱は最初は辛いのですが、慣れるとどんどん短く感じるようになります。

例文で説明します。

The world is on the brink of a food crisis that could result in starvation for millions, unrest, and mass migration.
(JapanTimes社説集2022 P62より引用)

これは21語の文ですが、各表現・文構造をつかみ、

The world
is on the brink of
a food crisis
that could result in
starvation for millions,
unrest,
and migration.

と捉えれば7語相当の文になります。

自分の中の英語のストックが増えればより早く、より大きな塊で認識できるようになります。

続けるうちに覚えるスピードもどんどん上がり、苦痛はなくなり、楽しくさえなります。

中々覚えられない英文は、自分の中にストックがない、特に注意すべき文だということもわかり練習に身が入ることでしょう。

覚えるだけで終わらない暗唱は英語力向上の大きな原動力になると思います。

しっかり身につけたならば、文章そのものを忘れてしまったとしても体得した文構造や表現は脳に染み付いているはず。その積み重ねでどんどん新しい英文を頭に叩き込んでいくとよいと思います。もちろん復習として過去の英文を暗唱しなおすのも新たな発見があるでしょう。

以上です。

皆さまが暗唱を取り入れ、学習に役立てることができれば嬉しく思います。

私も引き続き暗唱を取り入れながら、英語力向上に向けて頑張ってまいります。

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?