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いかに“継続”するか?が大事

『草創と守成と何れが難きや』(そうそうとしゅせいといずれがかたきや)
※ 『貞観政要』より(じょうがんせいよう)

創業の時とその後の守りの時ではどちらが困難か。築き上げてきた大変さと、それを維持していく大変さ、どちらが大変か。


答えは人それぞれであるが、私的には、後者(守成)の方が難きである。

ビジネスを築くのと、システム(仕組み)を築くのとでは少し異なってくるが、多くの人に馴染みのある“システム(仕組み)”の方で、簡単に説明したい。今まさにデジタルマーケティング業界で発生している“データ活用”を事例に。


例えば、データ活用を継続するシステム(仕組み)構築には、必ず、以下の4ステップを踏む必要がある。

ステップ1、今あるデータの調査と、今後のデータ活用合意形成

ステップ2、データ活用環境の整備と構築

ステップ3、データを利用したコミュニケーション戦略詳細設計

ステップ4、データ活用の実行と、その結果分析

もちろん、一番大事なステップは、ステップ4「データ活用の実行と、その結果分析」であることを絶対に忘れてはいけない。極論、ステップ4のシステム(仕組み)構築が難しければ、ステップ1~3に取り組んではならない。とすら考えている。

なのに、デジタルマーケティング業界で頻繁に説明されているのは、ステップ1~3のみである。。「これからはデータ活用の時代!乗り遅れちゃダメ!」とか、「ツールを導入して効率化を図りましょう!」とか、「カスタマージャーニーとコンテキストを大事に!」とかとか。これはやっぱり問題だと思う。。

ステップ1~3に関しても、一度、調査&整備&設計を行えば終了。ではなく、ステップ4の考えと同様に、「結果分析と改良を繰り返し実行ていく必要」があるはずである。なので、「ステップ4のシステム(仕組み)構築が難しければ、ステップ1~3に取り組んではならない。」と考えるのである。


では具体的に、各ステップにおいて「結果分析と改良」とは、何を行うべきか?

☆ステップ1「今あるデータの調査と、今後のデータ活用マインド構築」

会員データ/アクセスログ/広告接触ログ等を取得し、ユーザー単位で管理できる仕組みが最低限必要である。もちろん、データ取得が目的ではないので、より精緻に“ユーザー理解”が進むようにデータを可視化させる必要がある。これらを手段とし、データ活用を進める社内での合意形成を進める。ここで「結果分析と改良」のために最も大事なことは、「ユーザーの考えは日々変化している」ということである。一度、データを取得したら終わりではなく、古いデータは捨て&新しいデータを今一度取得する必要がある。ユーザーはオンラインだけで生活しているわけでもないので、オフラインデータの取得も必要である。


☆ステップ2「データ活用環境の整備と構築」

ここでは、ステップ1を実現するための「外部パートナーとの連携」が必要である。ユーザー単位で管理するためには、データプラットフォームの選定・設計・構築による共通IDによる管理が求められる。ユーザー理解を進めるためには、自社(1st)データだけでなく外部の2nd/3rdデータを活用したインサイト分析が求められる。データの可視化のためには、ダッシュボード化が求められる。そして「結果分析と改良」のために最も重要なのが、整備&構築後の具体的な「実行プラン=戦術」である。


☆ステップ3「データを利用したコミュニケーション戦略詳細設計」

具体的内容をあげるとキリがないが、データ活用とは“可能性を高める施策”である。コミュニケーションシナリオ/ペルソナ設計からのターゲティング設定/広告配信/クリエイティブ設計(LP/バナー/動画 etc)/SNS運用/コンテンツ企画等々。ここで「結果分析と改良」のために最も重要なのが、「クリエイティブ設計&実行/結果分析」である。クリエイティブの正否は結果を大きく左右する。それは過去のデータ分析結果からも明らかである。


ステップ4「データ活用の実行と、その結果分析」

よくある間違いとして、「データ/デジタル=魔法の杖/なんでも実現できる」がある。そんな玉手箱みたいなものはありません。データもデジタルも一つ一つトライ&エラーしながら実行していくしかないのです!では、一つ一つ実行した後に、どういった結果分析を行う必要があるのか?例えば、購買分析/ユーザースコアリング/デジタル広告効果検証/オウンドメディア解析/利用データ改善/オンオフ施策評価/ユーザー成長分析/サービス評価分析/トレンド調査/リスクモニタリング等々。ここで「結果分析と改良」のために最も意識しておかなければならないことは、「データ活用は目的ではない」ということです。「データ活用の目的は、ビジネス貢献=売上貢献」です。なので、最も重要なのは、「購買分析」である。直接的な“実績値”は出せないものですが、“売上増減傾向値”や、“クーポン利用値”や、“態度変容値”等々を事前にハカっておくことはとても重要なデータ活用施策の一つですね。


「いかに“継続”するか?が大事」な理由

デジタルの登場前は、“図る”ことに主眼が置かれ、何を根拠にかは分からないが、「認知取れましたね!」「注目されていましたね!」「取り上げられましたね!」等々でごまかされてしまっていたのが現実である。ただ、デジタルの登場は精緻な結果を“計る”ことを可能にした。つまり、“継続”がデータによって可視化されるようになったのである。可視化されるようになったからには、“草創=短期的な結果”では誰も満足しないですよ~。これは、データ活用&デジタルマーケティングの本質である。この“本質”に取り組まないって、やっぱり良くないことだと日々思いながら、デジタルマーケティング業務に取り組んでいます。