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オンラインセールスが変革する営業人材育成 〜営業は「データから学ぶ」時代へ〜

はじめに

新型コロナウイルスの影響により、自社の営業組織にオンラインセールスを取り入れる企業が急激に増えております。Googleでの「オンライン営業」「オンライン商談」の月間検索数推移を見ればその伸び率がどれほどのものなのか、何となくイメージを持っていただけるかと思います。

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しかし大変残念なことに、多くの企業では電話やメール、Web会議システムを活用した「遠隔営業」を行っているだけの企業様がほとんどであるように見受けられます。

オンラインセールスを行うメリットは、

◆ 移動の時間や交通費を削減できる
◆ 伴い、生まれた時間を活用することで商談数を増やせる
◆ 受注までのリードタイムを短縮できる
◆ 商圏を一気に拡大することで売上UPを図ることができる

など様々ありますが、実はこれらと同等以上に大きなメリットとして挙げられるのが、「商談をデータ(録画録音)として蓄積できること」にある点を、見落としている企業様が非常に多いように感じています。

事実、各種イベントやセミナーでオンラインセールス をテーマにお話をさせてもらう機会が多くなりましたが、決まって皆さまから大きな反響を頂くのは、この商談データを活用した各種Tipsについてです。

この領域を生業とする我々にとっては当たり前の感覚になってしまっておりましたが、確かにこれからオンラインセールスに取り組み始める企業様がほとんどであることを考えると、この点を画期的に感じられるのも納得ではあります。

ということで、勝手ながらこの「商談データ価値」を正しく皆様にお伝えすべきだ!との使命感・義務感が芽生えましたので、本記事を執筆するに至りました。

商談をデータとして蓄積することのメリット

弊社ベルフェイスではこれまで2,000社を超えるオンラインセールス組織の立ち上げ支援を行ってきました。その経験をもとに、日本中のどの企業よりも我々自身がこのオンラインセールスを駆使し、また商談データを活用することでデータドリブンな営業人材育成を行ってきた自負があります。

今回の記事では、社内での具体的な事例を用いながら、商談シーンをデータとして蓄積することのメリットを纏めていきたいと思います。

メリット①:いつでもどこでも営業同行!!

商談のデータを保管しておくことによるメリットの1つ目は「商談内容を確認する時間や場所を選ばない」ことにあります。

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日中の忙しい中、自身の時間を削って営業同行を行うのは、非常に重要であることは認識しながらも、なかなか時間を捻出するのが難しいものです。

これが録画録音されているデータを活用すればどうでしょうか。前述の通り、確認する時間や場所を選びません。

日中のバタバタした時間は避けて、夕方以降にじっくりと確認をすることもできれば、帰りの電車の中でスマホ片手に確認することもできます。弊社メンバーの中には、自宅で洗濯物を干しながら商談録画を聞いて自己学習しているメンバーもいます。

これまで相当な時間や労力をかけて行っていた営業同行も、データを活用することで「ながら作業」の1つに出来てしまうことは、営業の長い歴史における画期的な進化の1つである、と言えるのではないでしょうか。

メリット②:価値あるデータを永久保存!!

悲しいかな、「優秀な営業ほど辞めていく」のはいつの時代も変わりません。ただもっと悲しいのは、そんなレジェンドセールス達が培ってきた営業ノウハウが、社内に1カケラも残っていないことです。

こんな積年の課題でさえも、データを蓄積できるオンラインセールスであれば簡単に解決できます。歴代のトップセールスが行ってきた商談が全てデータとして保管され、例え退職したとしてもそれらは永久に残り続けるからです。

例えば弊社では、商談管理システム(Salesforce)に以下のようなセグメントでレポートを作成しています。

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※4月に新卒が8名入社をしましたが、ひたすら上記の受注が決まった商談録画一覧を身漁って、商談の勝ちパターンを身体に染み込ませています。

◆ 受注が決まった商談一覧
  ∟即決で決まった商談集
  ∟平均受注単価の倍以上で決まった商談集
  ∟インダストリー別の商談集
◆ 失注となった商談一覧
  ∟投資対効果をイメージしてもらえなかった商談集
  ∟競合ツールにコンペ負けした商談集
     ∟訪問営業から切り替えることが出来なかった商談集
◆ 具体的な事例トークが行えている商談一覧
  ∟商談数が倍加したN社の事例を語っている商談集
  ∟地方に商圏を広げて売上拡大に成功したS社の事例を語っている商談集
  ∟商談データを上手に活用しているE社の事例を語っている商談集

例えば、その日に行う商談に近しい録画を何商談か見ておけば、かなり具体的に実際の商談をイメージした上で、本番に臨むことが出来ます。

メリット③:録画2倍速で同行生産性を向上!!

訪問での営業同行を行おうとすると、例えば訪問先が電車で20分の距離にある場合でも、駅まで歩く時間や余裕を持って10分前に到着することを考えれば、結局往復で2〜3時間程度を使うことになります。

これがオンラインセールスとなると、まず移動の時間がなくなり、また商談時間も30分程度でおさまることが多くなります。そしてこの録画データを2倍速で確認すれば、1商談を15分程度で確認することができます。

そうすると、これまで訪問同行で2時間以上かけていたことを考えると、同じ時間で8商談分を確認することができ、移動の交通費がなくなること等も加味すれば同行の生産性は8倍以上になります。

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もちろん、訪問同行であれば同行者も商談に参加できる、というメリットがある点は間違いないですが、育成観点を主として、商談内容を確認しフィードバックを行うことを目的とするのであれば、もはや比べる必要もないほどに、その生産性はオンラインセールスに分があることは疑う余地がないのではないでしょうか。

「商談データ価値」の更なる可能性

この商談データが蓄積されていくと、その可能性は無限に広がっていきます。例えばbellFaceでは、データを解析し以下のような価値提供を行っております。

①楽々シークバー

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このシークバーは、「各営業パーソンの商談ストーリーを可視化した機能」と言い換えることができます。上記キャプチャにある通り「誰がいつ、どの資料のどのページを、何秒使って商談を行っているのか?」が一本のバーに再現されています。

また、どこでいつ笑いが起きたのか?も解析できるようになっており、商談がどれだけ盛り上がったのかが、パッと見で分かるようになっています。
余談ですが、弊社内で「商談時の笑いの数と成果の相関性」を分析しましたが、これらにはほぼ目立った相関がなかったことも、併せてご報告させてもらいます 笑

②会話検索

bellFaceをご利用いただくと、話した言葉が全て自動でテキスト化されます。これは「bellFace Speech」という自社開発機能を搭載しております。

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話した言葉が自動でテキスト化されるだけでなく、それがデータとしてライブラリ化されて、商談中に営業担当、もしくはお客様が発したであろうキーワードを自由に検索することができます。

日常生活の中で何か調べものがある時は、Googleで検索をされるかと思います。しかしどんなに一生懸命検索を行ったところで、当たり前ではありますが、自社の営業がどんな商談を行ったのか?リアルなデータを検索することはできるはずもありません。

これが、bellFace上では自由に検索をすることができます。これまでブラックボックスになっていた商談現場を、自由にネットサーフィンするような感覚でご利用いただくことができます。

③同じ場面検索

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これまでは音声解析をメインにご紹介をしましたが、こちらの機能は「画像解析」となります。文字通り、「営業資料の同じページを使っている全商談・全営業担当分を1クリックで抽出」することができます。

例えば事例の紹介や料金のご案内など、担当営業によって力量の差が大きく生まれるシーンがあります。この時に、一から商談データを確認してその特定の一部分を比較するのは非常に効率が悪いです。
そんな時に、この「同じ場面検索」を活用することで、瞬時に見比べたい商談シーンを抽出して、例えばハイパフォーマーとローパフォーマーの違いを検証することができます。

④営業しおり

例えば30分の商談の中で、周囲に共有すべきGoodポイントや改善すべきBadポイントというのは、ごく一部に限定されます。つまり、商談の1から10まで全てを確認するのは非常に効率が悪いです。

そんな時に、特にメンバーへ共有したい特定の場面に「しおり」をつけて、そこにメッセージを残して社内共有を行うことができる機能が「営業しおり」です。

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例えばトップセールスAさんが、ビッグクライアントであるN社の事例を上手に語っているシーンがあれば、そこにしおりを付けて「とても分かりやすく説明しているので、皆さん見ておいてください!」とコメントを残し、そのメッセージと録画URLが1クリックでコピペできて、社内チャットに共有されます。

そうすると、それを受け取ったメンバーは録画URLをクリックすれば、まさにそのN社の事例を語っているシーンから動画が再生され、ピンポイントでトップセールスのエッセンスを学ぶことができるのです。

さいごに

最後までお付き合いいただき有難うございました。
本記事の論点として、「訪問営業よりもオンラインセールスの方が価値がある」ということをお伝えしたいわけでは決してありません。私は「OLD営業の象徴」のようなキャリアを積んできておりますし、今も必要に応じて訪問も行っております。

ただし、コロナの影響により「無条件になんでもかんでも訪問する時代」には2度と戻らないことも間違いないと考えております。ともない、図らずもオンラインセールスが世の中の当たり前となり、受け入れ側もそれが当たり前となっていく時代がきていることも同時に実感しております。

その時に、今日お伝えさせてもらった「商談データの価値」を正しく理解し、それを会社の資産として活用できるかどうかは、今後の「営業人材育成」において決定的な差を生むことは間違いないと確信しております。

そして営業パーソン個人の話で言えば、これからは「Self Education」の時代になってくることを意識すべき、というのが私の考えです。これまでは知る由もなかった「営業現場」がデータとして可視化されるということは、それだけ「学ぶべき教材」が目の前に山ほど転がっていることを意味するからです。

センスや感覚だけで大きな成果をあげてきた営業が一人勝ちする時代は終わりを迎えます。これからは「商談データを有効に活用し、Self Educationを効率的に実戦できる営業パーソン」が活躍する時代がやってくるはずです。来たるべき営業の新時代に向けて、是非今から準備を進めていきましょう!

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